令和7年6月定例月議会「令和7年度 一般会計補正予算(第4号)」についての質疑


令和7年6月定例月議会本会議(令和7年6月27日)で行った議案第18号「令和7年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第4号)」についての質疑の記録を掲載します。

 

※これは正式な議事録ではございません。正式な議事録は、数か月後に市役所や図書館、市議会のホームページで閲覧することができます。


【かじや 質問1】                                      

「議案第18号 令和7年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第4号)」のうち「1.校務の情報化推進事業経費」の「(1)生成AIパイロット校事業費」164万2千円についてお聞きします。

本市では、令和5年度に長尾中学校をリーディングDXスクール事業生成AIパイロット校の指定校として、授業における生成AIの活用に関する実証的な取り組みが行われたお聞きしています。

そこでまず、長尾中学校での教育実践の成果と課題について、また今回採択された生成AIパイロット校事業の内容及び事業目的についてお聞きします。

 

【新保学校教育部長 答弁1】

まず長尾中学校での取組についてお答えします。

令和5年度は日本では生成AIの黎明期であり、長尾中学校での成果としては、生成AIがどのようなものであるか、また、教育の場でどのようなことに活用できるのか、その可能性と限界などを明らかにし、その知見を全国へ発信できたことがあげられます。課題は、学習の場面で活用するにあたり、当時は、解答の不正確さやハルシネーション(異なる情報を作り出す現象)などの生成AIの技術的制約により、効果的な活用につながらないことがあったことです。

今回採択された「生成AIパイロット校事業」は、文部科学省が指定した学校が、国の示すガイドラインに基づいて、生成AIを学習場面で適切に利活用し、成果・課題の検証、事例の創出・普及を図るものです。現在導入している教育機関用ライセンスは、生成AIの利用規約による年齢制限が18歳以上となっているため、中学校では活用することができません。しかし、今後13歳以上に引き下げられることが見込まれており、今回のパイロット校事業としての取組が、全国の中学校における生成AIの活用のモデルとなるととらえています。

今回、市立第二中学校が指定校としての採択を受けましたので、事業の趣旨を踏まえながら、生成AIを各教科の学習場面で利活用し、好事例の創出、発信に取り組んでまいります。

 

【かじや 質問2】                                     

それでは、2回目の質問をさせていただきます。

長尾中学校での成果と課題、また生成AIパイロット校事業の内容や事業目的については、分かりました。

生成AIを通じて、生徒自身が探究的な学びに取り組む力は、今後進展するAI社会において不可欠な素養だと考えます。

一方、生成AIをどのように教育に取り入れるかについて、指導体制やリテラシー格差などの課題も想定されます。

そこで、これまでの課題への対応策として、第二中学校ではどのような準備・工夫を考えているのか、また生成AIの導入を「AI社会を生き抜く人材育成の一環」と捉えたとき、本市として中長期的にどのような教育方針・育成ビジョンを持っているのか見解をお聞きします。

 

【新保学校教育部長 答弁2】

課題への対応策として、まず、現段階で生徒が活用できる有償の教育用生成AIサービスを導入し、子どもたちが安全に生成AIを活用できる環境を構築します。

また、校内研修の年間計画の検討、伴走支援をお願いする有識者について選定の準備を進めております。

中長期的な視点では、生徒の生成AIを踏まえた情報活用能力の育成強化を大切にしながら、全てを生成AIに任せるのではなく、生徒の主体的な学びにおけるパートナーとして活用していけることをめざします。

そして、情報技術を学習や日常生活に活用しながら、豊かに社会を生きる人材の育成に努めてまいります。

 

【かじや 意見】                                      

3回目は要望とさせていただきます。

ただいまのご答弁にあったとおり、生成AIを生徒の主体的な学びを支えるパートナーとして活用し、情報技術を学習や日常生活に活かしていくという方向性は、これからの教育において非常に重要な視点だと受け止めています。

AIが当たり前のように存在する社会において、知識を得ることだけではなく、「その情報をどう使うのか」「どう考えるのか」といった、より深い思考や判断の力が求められています。

生成AIは、個別最適な学びの支援や、教科横断的な探究学習、地域課題に向き合う実践的な学びなど、教育の可能性を広げる大きなきっかけとなるものです。

こうした新たな学びを現場で支えるためには、教員が安心して取り組める支援体制の整備や、保護者・地域との信頼関係の構築が欠かせません。

そこで、教員に対する継続的な研修と支援体制の充実、保護者・地域への情報共有と理解促進、そして「AI時代の学び」に対応した中長期的な教育ビジョンの明確化と発信に取り組んでいただくことを要望します。

あわせて、今回の第二中学校でのパイロット事業を契機として、実践から得られた知見や課題を丁寧に検証し、市内の他校にも展開していくことで、枚方市全体の教育の質を底上げしていただきたいと考えています。

そして何より、こうした教育の取り組みを通じて、子どもたちがAIを単なる道具として使うのではなく、AIと共に考え、判断し、創造し、他者と協働できる力を育てることが、これからの時代において不可欠です。

「問いを立てる力」「情報を見極め活用する力」「自分の考えを表現し、対話する力」――こうした資質を育むことこそが、AI社会を生き抜く人材育成の基盤になると考えます。

そうした視点を踏まえ、実践に根ざした仕組みづくりと現場への丁寧な支援を進めていただくよう、要望しまして、私の質疑を終わります。