令和7年6月定例月議会本会議(令和7年6月24日)で行った一般質問の記録を掲載します。
1.生成AIの活用について
2.東部地域の道路整備について
(1)府道交野久御山線の歩道整備について
(2)都市計画道路枚方津田線について
3.学校規模適正化及び公共施設マネジメントの観点から見た今後の学校施設の在り方について
※これは正式な議事録ではございません。正式な議事録は、数か月後に市役所や図書館、市議会のホームページで閲覧することができます。
※質問・答弁の順序は、読みやすいように前後入れ替えて掲載をしています。
1.生成AIの活用について
【かじや 質問1】
まず「1.生成AIの活用について」お聞きします。
近年、急速に進化する生成AIの技術は、民間にとどまらず、行政の現場においても業務の効率化や職員の負担軽減、市民サービスの質の向上といった観点から、大きな可能性を秘めています。
とりわけ、今後本格化する人口減少と労働力不足という構造的な課題を前に、自治体が限られた人材や財源で、行政サービスを持続可能な形で提供していくためには、AIなどの新たなテクノロジーの活用が必要不可欠であると考えています。
そうした中で、本市においてもAI活用の取り組みが一部はじまっており、教育委員会では、昨年度、市内10校において、校務における生成AI活用に関する実証事業を実施されたとのことです。
そこで、まず、令和6年度に市独自で取り組まれた校務生成AI実証事業の内容及び成果についてお聞きします。
【新保学校教育部長 答弁1】
はじめに、1 生成AIの活用についてお答えします。本市では、令和6年度に市独自に小学校5校、中学校5校の計10校が参加した「校務生成AI実証事業」を行い、その目的は、校務で生成AIを活用し、教職員の事務作業の負担軽減や業務の効率化の可能性を検証することでした。
成果としては、生成AIを活用したおよそ90項目の事例集を作成し、業務の効率化の一助となっております。
また、実証事業に参加した教職員を対象に行った利用後のアンケートにおいて、「事務作業の負担軽減や業務の効率化ができた」と肯定的に回答した教職員が79.3%であったことからも一定の成果があったことを確認しております。
業務の効率化によって生まれた時間は、児童生徒と接する時間の確保や授業準備、研修に参加するといった教職員が担うべき業務へ充てることができたと捉えております。
【かじや 質問2】
それでは、順次2回目以降の質問と要望をさせていただきます。
まず「1.生成AIの活用について」お聞きします。
教育委員会での内容と成果については、よく分かりました。
私自身も日頃から生成AIを活用しており、議会活動においても、政策資料の要約や分析、議事録の整理、情報発信などに利用しています。
今回の一般質問についても、すべての質問の作成過程において、必要な情報の収集や論点整理、質問内容の構成などにAIを活用しました。
特に、これまで多くの時間を要していた情報の整理や構成作業が格段に効率化され、大幅な時短と業務効率の向上につながったと強く感じています。
さらに、AIを活用することにより視野が広がり、従来の枠にとらわれない多角的な視点から質問を構築することができたと実感しています。
しかし、使い方によっては非常に有効なツールである一方で、ハルシネーションなど情報の正確性の問題、また個人情報の扱いには慎重を要するとも感じているところです。
そこで次に、この実証事業において、生成AIの利用に伴う情報の正確性の問題や個人情報に関する情報の取り扱いといった課題について、どのような対策を講じてきたのか、また、教職員間の活用スキルの差については、どのような対応をしてきたのかお聞きします。
【新保学校教育部長 答弁2】
実証事業を進めるに当たって、参加する10校の担当者を対象に事業の説明会を開催しました。
そこで、文部科学省から令和5年7月4日に示された「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する暫定的なガイドライン」を活用し、生成AIの特性や利用する上での個人情報保護やセキュリティ等の注意点について研修を行いました。
また教職員間の活用スキルの差を縮小するために、オンラインによる定例会を開催し、情報共有を図りながら、各学校において校内研修を実施してまいりました。
【かじや 質問3】
それでは、今後、市内の小中学校にどのように展開していくのか、また授業など教育的活用の展望について見解をお聞きします。
【新保学校教育部長 答弁3】
現在、全教職員に教育機関用ライセンスを発行し、校務で生成AIを活用することが可能となっており、実証事業で一定の効果が確認できたことから、今後、実証事業の事例集を参考にし、校務における生成AI活用による、業務の効率化の推進を促していく予定です。
また、授業における教育的活用については、国の動向や先進校の事例を踏まえながら、段階的に導入することを検討しております。
その際、生徒が生成AI自体を学ぶことや使い方を学ぶことなど系統的に指導していくよう努めてまいります。
【かじや 質問4】
教育委員会における生成AIの活用については、実証事業を通じた具体的な成果と、それに伴う課題への対応、さらに今後の展開について一定の方向性が示されたものと理解しました。
校務生成AI活用事例集では「アンケートの集計・分析に、従来240分かかっていたものが、30分に短縮された」という具体的な成果が報告されているなど、煩雑な事務作業が効率化され、教職員が本来担うべき教育的な活動により多くの時間を割けるようになったことは、生成AI活用の大きな意義を示すものであり、今後の全校展開や授業への応用についても期待されるところです。
こうした教育現場での先行的な取り組みと成果は、本市全体にとっても大きなヒントになると考えます。
生成AIの導入は一部の部門にとどめるのではなく、全庁的な視点で捉え、業務効率化と職員の付加価値業務への集中を促す契機とすべきではないでしょうか。
そこで、市長部局に対しても同様にお聞きします。
まず、これまでにどの部署でどのような業務に生成AIを活用されているのか、その成果と課題についてお聞きします。
【藤原総合政策部長 答弁4】
本市では、これまでに生成AIの試行的な活用として、職員間の連絡用に利用しているチャットツールのオプション機能である生成AIを試行導入し、利用部署を対象に検証を行ったところです。
アンケート結果では、企画・提案・アイデアの取得をはじめ、調べたいものの検索や、議事録の要約などに活用されており、職員の負担軽減、業務の効率化、作業時間の縮減につながるとの意見が多くありました。
一方で、試行導入した生成AIツールには、本市が保有する行政情報等の資料を取り込む機能がないことから、出力される情報が一般的な内容にとどまり、本市固有の事情を反映した回答を得ることが出来ないなどの課題がありました。
そのため、今年度は市の資料等を取り込み、出力結果に反映できる「ラグ機能」を有する生成AIを新たに導入し、全庁的に利用できる環境を整備することで業務の効率化を推進する予定としております。
【かじや 質問5】
現在は試行導入で、限定的な活用となっているようですが、今後、どのような業務で効率化が図れるのか、またどういった課題があるのかなど、試行検証の中でしっかりと洗い出しを行っていただきたいと思います。
次に、生成AIについての職員への啓発など、今後どのように適正な利用に向けて取り組まれるのかお聞きします。
また、ガイドラインの整備やセキュリティ対策、職員への支援をしっかりと行っていく必要があると考えますが、今後の取り組みについてお聞きします。
【藤原総合政策部長 答弁5】
議員ご指摘の通り、生成AIの活用は業務の効率化を図るうえで、必要不可欠なものであると考えておりますが、生成AIの性能や特性を理解したうえで正しく利用していくことが重要であると考えております。
今年度の取り組みといたしましては、理事者向けに生成AIに関する研修を行うことで、経営層の理解を深めるとともに、DX推進リーダーを中心に生成AIを実際に利用し、業務での効果的な利用方法やセキュリティの観点から留意するべき点、使用ルールなどを整理し、ガイドラインを策定する予定でございます。
【かじや 意見】
本市では今年度より、「ラグ機能」を備えた生成AIを導入し、全庁的な活用環境を整備するとともにガイドラインを策定するとのことで、業務の効率化や職員負担の軽減に向けて、ようやく本格的な一歩を踏み出されたものと一定評価しています。
一方で、生成AIの活用には、情報の正確性の担保、個人情報や機密情報の取り扱いへの慎重な配慮、そして職員一人ひとりのリテラシー向上が不可欠です。
そのためには、まず理事者の理解を深めること、そして現場職員が安心してAIを活用できるよう、わかりやすく実用的なガイドラインの策定と、継続的な研修・啓発の実施が重要です。
また、それ以上に求められるのは、「職員の意識改革」です。
生成AIは、従来のやり方を大きく変える可能性を持つ一方で、「業務の主体性が損なわれるのではないか」といった漠然とした不安や抵抗感も、現場にはあるかと思います。
だからこそ、生成AIを単なる効率化ツールではなく、「発想を広げ、負担を減らし、価値を生み出すパートナー」として受け止められる組織文化の醸成が必要です。
株式会社ディー・エヌ・エー創業者の南場智子氏は、AI時代の新戦略を語る講演の中で「経営トップ自らがAIツールを使い倒し、その可能性に感激し、興奮し、そしてその興奮を改革のエネルギーへと変えていくのだ」と強調しています。
まさに、市長をはじめ理事者や管理職の皆さんが、自らAIに触れ、利便性や可能性を肌で感じたうえで、その“感激”や“ワクワク”を言葉と姿勢で現場に伝えることで、全庁的な意識改革と文化の醸成が進むものと考えます。
さらに、教育委員会においては、すでに実証事業を通じて一定の成果が見られており、事務作業の効率化により、教職員が子どもたちと向き合う本来の教育活動に専念できるようになっているとのことです。
今後は、教育委員会での知見や先行事例を市長部局にも共有・展開し、庁内横断的なAI活用の促進にもつなげていただきたいと思います。
また、試行にとどまらず、「活用の成果を組織的に蓄積・共有する仕組み」や、「他自治体・民間との連携による知見の活用」にも積極的に取り組まれるよう要望いたします。
生成AIは、職員の働き方を変え、行政サービスの質を高め、市民との接点をより親密かつ効率的にする可能性を秘めたツールです。
枚方市全体の業務改善と市民満足度の向上につながるよう、継続的かつ実効性のある取り組みとして、市長部局と教育委員会が連携しながら、庁内横断的に推進されることを要望します。
2.東部地域の道路整備について (1)府道交野久御山線の歩道整備について
【かじや 質問1】
次に「2.東部地域の道路整備について」のうち「(1)府道交野久御山線の歩道整備について」お聞きします。
枚方市東部を通る府道交野久御山線のうち、京都府境から約200メートルの区間においては、歩道が整備されておらず、歩行者が通行するには極めて危険な状態が続いています。
この区間は、見通しが良い直線道路であるがゆえに、車両のスピードが上がりやすく、過去には歩行者との接触事故も起きています。
また、周辺には長尾駅、医療機関、認定こども園といった施設も多く、歩行者の通行も一定数存在しているエリアです。
これまで大阪府では、現道内での安全対策として除草や雑木の伐採といった措置が講じられているものの、根本的な対策には至っていません。
そこで、枚方市として、この府道交野久御山線の当該区間における歩道整備の必要性をどう認識しているのか、また、これまで大阪府に対してどのような働きかけ・協議を行ってきたのかお聞きします。
【田村土木部長 答弁1】
次に2.東部地域の道路整備(1)府道交野久御山線の歩道整備についてお答えします。
市民が安全に安心して利用できるよう歩行者や自転車の交通量が多い幹線道路では、歩道の整備を進めることが望ましいと考えております。
この考え方のもと、議員お示しの区間を含む長尾駅周辺の府道交野久御山線の歩道整備につきましては、過年度から大阪府に対して要望を行っており、歩行者や自転車の交通量が多い長尾駅前から順次、歩行空間の確保などの安全対策を実施していただいておりました。
その後、令和3年3月に策定されました「大阪府都市整備中期計画」において、大阪府が管理する道路における歩道整備については、通学路や歩行者・自転車の交通量が多い路線、バリアフリー法に基づく生活関連経路などを重点化区間として、用地取得に関わる地元自治体や地権者の協力状況などを勘案し、事業化を検討するとの考え方が示されました。
これを受け、令和3年度以降はこの考え方に適合する路線の中から、必要性、実効性及び効率性を勘案して、本市として優先度が高い区間について歩道整備の要望を行っております。
その結果、現在、大阪府が示す重点化区間の要件を満たす府道交野久御山線の津田駅前の一部区間や府道枚方高槻線の牧野駅前の一部区間において、本市が事業用地の取得に対する協力を行うことで、大阪府と連携した歩道整備が実現したと考えております。
【かじや 質問2】
次に「2.東部地域の道路整備について」2回目の質問をします。
まず「(1)府道交野久御山線の歩道整備について」お聞きします。
現在は、大阪府都市整備中期計画で示された考え方に基づき、優先度が高い区間の要望を行っているとのことです。
しかし、当該区間における事故の発生実態や周辺の公共施設立地を踏まえれば、「人の命を守る歩行空間の確保」は単なる通行量の問題ではなく、地域の安全インフラとして必要不可欠なものだと考えます。
そこで、枚方市として、この区間が大阪府における「重点化区間」に指定されるよう、今後どのような形で大阪府に対して要望・働きかけを行っていく予定なのか、見解をお聞きします。
【田村土木部長 答弁2】
府道交野久御山線の当該区間周辺では、現在、地元地域が主体となったまちづくりの検討が進められており、このまちづくりが完成すると歩行者や自転車の交通量が増加し、同路線における危険性が更に増すことになると考えられます。
このため、令和4年9月に本市が策定した長尾駅周辺地区まちづくり構想では、議員お示しの区間を含む府道交野久御山線についてまちづくりにあわせて道路拡幅を検討することを記載しており、まちづくりの具体化により必要となる歩道や車道の幅員構成などの規格が明らかになった段階で大阪府と協議してまいります。
【かじや 意見】
交野久御山線の当該区間は、市民が日常的に利用する生活道路でありながら、歩道がなく、危険な状態が続いています。
除草などの応急措置だけでは不十分であり、事故の未然防止が求められます。
また、長尾駅周辺のまちづくりや、週末の渋滞の状況を考えると、歩行空間の整備と交通改善の必要性は今後さらに高まると考えます。
こうした状況を踏まえ、本市として大阪府と連携し、歩道整備に向けた協議を積極的に進めていただくよう要望します。
2.東部地域の道路整備について (2)都市計画道路枚方津田線について
【かじや 質問1】
次に「(2)都市計画道路枚方津田線について」お聞きします。
都市計画道路枚方津田線は、枚方市東部地域の東西を結ぶ重要な幹線であり、その整備状況は地域の交通環境や住民生活に大きな影響を与えます。
中でも、JR学研都市線から西側の津田大池までの区間は平成14年に暫定1車線の一方通行で暫定供用が開始され、そこから第二京阪道路までの区間は平成22年に暫定2車線で供用されています。
しかし、暫定1車線の一方通行区間があることにより、西行き車両が津田駅周辺の生活道路を通行するなど、歩行者にとっても危険な状況が続いています。
この一方通行化は、かつて踏切幅員の制約があったことからやむを得ない措置でしたが、現在では交野踏切の拡幅工事が完了し、対面通行化の条件が整ってきています。
現在、大阪府においては概略設計の段階と聞いていますが、枚方市としても住民の安全確保の観点から、対面通行化の早期実現を大阪府に対して強く要望すべきと考えますが、市の見解をお聞きします。
【田村土木部長 答弁1】
次に(2)都市計画道路枚方津田線についてお答えします。
JR学研都市線の交野踏切から東側の都市計画道路枚方津田線の未整備区間内にある道路の対面通行化を早期に実現させることは、地域の交通環境を整える上で、重要と認識しており、令和4年度には、大阪府が当該区間の対面通行化に取り組むことを確認しております。
その後、大阪府警との協議において、当該区間の対面通行化により交通量が増加し、府道交野久御山線との交差点処理が課題であるとの指摘を受けたことから、現在、大阪府と連携して取り組んでいる府道交野久御山線の歩道設置に関する設計時において同交差点を含む交野久御山線の歩道整備に向けた設計を行う際、当該区間の対面通行化も考慮した交差点としていただくよう、本市から大阪府に対し要望しております。
【かじや 質問2】
次に「(2)都市計画道路枚方津田線について」お聞きします。
「枚方津田線」は現在、JR学研都市線の東側まで暫定整備されておりますが、JR学研都市線から、さらに西側の国道1号まで延伸されることで、地域の交通ネットワーク機能は格段に向上し、特に災害時や救急搬送等においても有効なルートとなると考えます。
しかし、鉄道との立体交差化が必要となるために事業費が高額となるなど課題も多いと承知しています。
そうした中でも、将来的な整備に向けては、市として地域の発展や防災力強化の観点からも、大阪府に対して段階的な検討や事業化の必要性をしっかり伝えていくべきと考えますが、市の見解をお聞きします。
【田村土木部長 答弁2】
枚方津田線は第二京阪道路と国道1号を連絡する都市計画道路であり、JR学研都市線から更に国道1号まで整備されますと、この地域の交通ネットワーク機能が充実し、防災性の向上などに寄与することが期待されます。
しかしながら、大阪府においては議員ご指摘のとおり鉄道との立体交差化が必要であり、整備延長も約3500mと長く、多額の事業費を要するとのことから、沿道におけるまちづくりの進捗状況や周辺道路ネットワークの整備状況などを踏まえ、JR学研都市線から西側の区間の事業実施について見極めていくとしています。
本市としては、この区間の将来的な事業実施も視野に入れながら、まずは、暫定1車線区間の対面通行化が早期に実施されるよう府道交野久御山線との交差点の課題解消に大阪府と連携して取り組んでまいります。
【かじや 質問3】
この都市計画道路「枚方津田線」に関しては、市民の安全、利便性、地域経済への影響という観点からも、非常に関心の高い路線です。
一方で、府の事業であるため、整備の進捗が市民から見えづらく、また市としても府に対する要望の内容や進捗状況を丁寧に説明していく必要があると考えます。
そこで、枚方市として、当該路線の整備について、より住民ニーズを踏まえた要望活動や、情報共有の取り組みを強化していく考えはあるのか、市の見解をお聞きします。
【田村土木部長 答弁3】
大阪府が所管する道路の整備については、これまでも、市民や市議会のご意見もしっかりお聞きし、大阪府が定める事業化の要件を勘案し、事業促進のための市としての協力体制も整えながら、優先して要望すべき路線を選定して大阪府に働きかけてまいりました。
その結果、現在、都市計画道路牧野高槻線や京都守口線の整備並びに、枚方高槻線や交野久御山線の歩道整備が大阪府により進められています。
新規の路線を大阪府に要望する際には、このような考え方に基づき働きかけることが重要であると考えており、市内で進められている大阪府の道路事業に関する情報についても、市民の皆さまにも知っていただけるよう本市のホームページで一元的に発信するよう取り組んでまいります。
【かじや 意見】
都市計画道路「枚方津田線」は、東部地域の安全性や利便性を大きく左右する重要な路線であり、地域住民にとっても関心の高いテーマです。
特に、一方通行区間の対面通行化については、住民の安全確保の観点からも、早期の整備が求められており、市として引き続き、大阪府に対して要望を続けていただくようお願いします。
また、国道1号までの延伸については、事業費や技術的な課題があるとはいえ、防災性の向上や交通ネットワークの強化といった将来的な効果は非常に大きく、まちづくりと連動させた中長期的な視点での働きかけが重要です。
市としての役割と責任を明確にし、今後も地域住民や議会との連携を深めながら、丁寧かつ戦略的な要望活動と情報発信に努めていただくよう、要望します。
3.学校規模適正化及び公共施設マネジメントの観点から見た今後の学校施設の在り方について
【かじや 質問1】
次に「3.学校規模適正化及び公共施設マネジメントの観点から見た今後の学校施設の在り方について」お聞きします。
枚方市では、昭和57年度に小学校児童数が4万5,573人、昭和61年度に中学校生徒数が2万2,550人とピークを迎えましたが、令和7年度には、それぞれ児童数が1万8,596人、生徒数が9,367人へと、この40年余りで半数以下に減少しています。
また、平成28年3月に出された「枚方市学校規模等適正化審議会」の答申の中では、児童生徒数は2043年度には約2万3,000人まで減少する見込みが示されています。
しかし、学校数は小学校が昭和59年度の47校から現在44校へ、中学校は昭和61年度の20校から現在19校へと、実質的にはほとんど減っていない状況です。
このように児童生徒数が大幅に減少しているにも関わらず、学校規模・施設数の見直しが極めて限定的にとどまっている現状は、明らかに不均衡であり、教育環境にも施設運営にも重大な影響を及ぼしていると考えます。
また、小中学校の施設は、市有建築物全体の延床面積の55.7%を占め、老朽化の進行と維持管理費の増大が喫緊の課題であり、本市財政に与える影響が大きいにもかかわらず、学校の統廃合・再配置は進んでいません。
そこで、まず、このような児童生徒数と施設規模、施設数との乖離が続いている状況を、学校規模適正化の観点から、市としてどのように認識しているのか、見解をお聞きします。
【増尾総合教育部長 答弁1】
次に3.学校規模適正化及び公共施設マネジメントの観点から見た今後の学校施設の在り方についてお答えいたします。
本市における児童生徒数は、議員ご指摘の通り昭和の時代にピークを迎えて以降、減少を続けており、令和5年度に実施した枚方市人口推計調査結果のデータからも、将来的に児童生徒数は減少し続けることが見込まれております。
これに伴い市立小中学校の小規模校化も進んでいくことが予見されるため、将来像を見据えた教育環境の整備を進める必要があると考えております。
【かじや 質問2】
次に「3.学校規模適正化及び公共施設マネジメントの観点から見た今後の学校施設の在り方について」2回目の質問をします。
市は、これまで「学校規模等適正化基本方針」を改定しながら取り組みを行ってこられましたが、平成28年には「学校規模等適正化審議会」から具体的な答申を受け、学校ごとに統廃合の方針と実施時期が示されました。
しかし、それから9年が経過しているにもかかわらず、統廃合が実施されたのはごく一部にとどまり、極めて遅れているのが現状です。
例えば、「早期統合が必要」とされた高陵小学校と中宮北小学校は統合が完了した一方で、同じく「早期統合」とされた山田小学校・山田東小学校、山田中学校については、未だに統合の議論すら進んでいない状況です。
また、小規模校の数は依然として多く、クラス替えができないことや、交友関係の固定、教室不足による安全確保の懸念など、教育的課題が根本的に解決されず、先送りされている現状は、深刻な問題であると考えます
そこでまず、現在の小規模校・過密校の数と、その教育的・運営的課題についての見解をお聞きします。
また、禁野小学校以降、山田地区をはじめとして、基本方針や答申に沿った統廃合がまったく進展していない理由について、市はどのように分析・認識しているのか、見解をお聞きします。
【増尾総合教育部長 答弁2】
まず小規模校につきましては、令和7年度、小学校では学級数が11学級以下であるため小規模校に該当する学校が6校、中学校では学級数が8学級以下であるため小規模校に該当する学校が1校でございます。
また、過密校につきましては小学校のみ1校でございます。
小規模校につきましては、児童生徒が集団の中で多様な考えに触れ社会性等を身につけていく上で交友関係が限定されやすいこと等、教育環境面での課題があり、過密校につきましては、使用する教室に余裕がないことから、義務教育の教育環境面における公平性に課題が生じると認識しております。
これらの課題解消に向け、平成29年6月にまとめた学校規模等適正化基本方針に沿って旧高陵小学校と旧中宮北小学校の学校統合を行ったところでございますが、山田地区をはじめとする答申における他の取り組み方策につきましては、今後の児童生徒数を注視するとともに個々の課題への対応を検討する中で、改めて示すこととしておりました。
この間にも新型コロナウイルス感染症拡大に伴う感染症への対策や、児童生徒へ一人一台端末を配備した事等によるICT教育の飛躍的な進展など、社会情勢や教育環境が大きく変容しております。そのため、今後の学校規模等適正化の取組を進めるにあたり、こうした新たな要素を踏まえた議論を改めて行う必要があると考えております。
【かじや 質問3】
児童生徒数の減少は今後も確実に進行していくことが見込まれており、老朽化した学校施設の維持・更新にかかる財政負担も、年々増大しています。
そのような状況にもかかわらず、これまでに策定された基本方針や審議会からの答申が十分に実行に移されず、現状追認の姿勢が続いているのではないかと、危惧しています。
学校の統廃合は、単に教育環境の改善という観点だけでなく、公共施設マネジメント上も極めて重要な政策課題です。
社会情勢の変化を踏まえた再整理は当然必要ですが、教育と財政の両面から見て不可避な施策であるにもかかわらず、これ以上先送りをすることは、子どもたちの教育環境や地域の将来に対して責任ある対応とは言えません。
そこで、教育環境の公平性、教育の質の確保、公共施設の最適配置という観点から、学校統廃合の必要性をどのように捉え、市としてどのような基本姿勢で今後の取組を進めていこうとしているのか、改めて見解をお聞きします。
【増尾総合教育部長 答弁3】
学校の統廃合につきましては、児童生徒の教育環境の改善の観点とともに、学校施設が地域のコミュニティ活動等の拠点となる役割を併せ持つことから、学校の統廃合に伴うまちづくりの議論も必要であると考えております。
また、議員お示しの通り公共施設マネジメントとしての最適配置の観点も必要となることから、令和8年度末までに改訂される「公共施設マネジメント推進計画」との整合を図りながら取組を進めてまいります。
【かじや 質問4】
学校は単なる教育施設ではなく、地域のコミュニティ拠点としての役割も果たしており、統廃合にあたってはまちづくりの視点も含めた総合的な議論が必要であるという点については、私も同感です。
また、「公共施設マネジメント推進計画」との整合性を図るという方針についても理解しましたが、その調整を待っている間にも、教育現場が直面している課題は進行し続けています。
したがって、計画との整合性だけでなく、教育的なニーズや地域特性を踏まえた創造的な統合の在り方を、今このタイミングで描き始めるべきではないでしょうか。
とりわけ、統合後の学校を旧来の延長線上で捉えるのではなく、次世代の学びに対応した新たな教育の場として再構築する視点が不可欠です。
その一つの可能性として、全国的にも導入が進められている「義務教育学校」についてお聞きします。
先日、学校統廃合や義務教育学校の教育的効果、公共施設の統廃合・複合化によるまちづくり、学校統廃合後の跡地活用について学ぶため、豊中市の義務教育学校「庄内さくら学園」と隣接する「庄内コラボセンター ショコラ」を、会派で視察してきました。
「庄内さくら学園」では、小中9年間を1~4年、5~7年、8~9年と段階的に区切るステージ制を導入し、発達段階に応じた教育の継続性・連続性を高めています。
1年生から9年生までを貫く系統的な独自カリキュラム編成や異学年交流による教育的な効果をはじめ、教職員の連携や中1ギャップの解消といった効果も報告されており、他市においても積極的な導入が進んでいます。
枚方市においても、小中連携・統合を進める上で、義務教育学校の導入を積極的に検討すべきと考えますが、市としての制度への理解と導入の可能性、現時点での検討状況や課題について、見解をお聞きします。
【増尾総合教育部長 答弁4】
義務教育学校制度につきましては、9年間を見通した柔軟な教育課程の編成が行えるなど、これからの新たな学校のあり方の一つであるとともに、幅広い年齢の児童生徒が交流できる環境となることで、より豊かな人間性や社会性が育まれる事も期待されている制度であると認識しております。
教育環境の変容を踏まえた今後の学校規模等適正化の議論の中で、人的・物的課題や財源確保の課題などを整理しながら枚方市での導入の可能性を検討してまいります。
【かじや 質問5】
答弁にありましたように、義務教育学校はこれからの新たな学校の在り方の一つとして、極めて重要な選択肢になり得ると私も考えています。
人的・物的資源や財源の課題があることは十分承知していますが、だからこそ今の段階から構想を描き、必要な環境整備を前向きに検討していくことが求められます。
義務教育学校は、単なる制度導入にとどまらず、教育とまちづくりを結びつける契機にもなり得ると捉えています。
この視点に立つと、もう一つ極めて重要なテーマが「学校跡地の利活用」です。
学校統廃合を進めていく中で、当然その結果として複数の学校跡地が発生しますが、これを単なる課題として捉えるのではなく、地域の未来への投資機会と捉え直す発想が必要です。
その活用にあたっては、地域ニーズを踏まえることはもちろんのこと、
・公共施設マネジメントの視点による施設の複合化・統合活用
・支援学校や不登支援施設など学びの多様化支援、子育てや高齢者支援、地域交流・ 居場所づくり、就労支援など、教育・福祉・地域課題の多様化に対応する新たな機能の導入。
・活用の遅れによる遊休資産化や、それに伴う地域住民の不信感の防止
といった観点を踏まえた、先を見据えた戦略的活用が求められます。
旧中宮北小学校の跡地については、令和7年2月の総務委員協議会において、地域との協議などを通じて多機能公共施設としての活用方針が検討されているとの報告がありました。
そこで、旧中宮北小学校の跡地について、地域との協議の進め方や、活用方針に至る経緯、市の基本的な考え方についてお聞きします。
また、今後の跡地活用については、学校統廃合と同時並行で検討する体制が不可欠と考えますが、統廃合と連動した活用検討の進め方について、市の見解をお聞きします。
併せて、公募型プロポーザルなどを通じて、教育や福祉分野に限らず、地域に必要とされる多機能施設への再生や、民間活力の導入も視野に入れた利活用を進めるなど、他市の事例も踏まえ、枚方市として、跡地活用をどのような方向性で戦略的に描こうとしているのか、見解をお聞きします。
【藤原総合政策部長 答弁5】
旧中宮北小学校の跡地につきましては、これまでに地域の皆様との意見交換などを重ね、地域住民のコミュニティ活動の場としての機能や、現状の行政課題に対応した防災、子育て支援など多様な用途を想定した複合的な公共施設としての活用を視野に検討を進めているところです。
今後の小学校などの跡地活用につきましては、教育委員会とも連携しながら、今後の学校規模等適正化に向けた取組との連携を図りつつ、公共施設マネジメントの観点を踏まえながら、計画的に進める必要があると認識しております。
また、今後は学校統廃合と並行して他市事例等を踏まえた跡地活用方針を検討することが望ましいとのご意見につきましても、現在改訂に向け取組を進めている「公共施設マネジメント推進計画」の見直し作業の中で、施設総量の最適化や将来的な経費負担等を踏まえ検討してまいりたいと考えております。
【かじや 質問6】
学校規模適正化の必要性が叫ばれて久しいにもかかわらず、本市においては根本的な対応が進んでいないのが現状です。
この問題は教育委員会のみの所管事項ではなく、市政全体の持続可能性や、まちづくりの将来像に直結する重要なテーマであり、市長自らの政治的判断が求められるものと考えます。
先日、視察した豊中市では、「未来への投資実現チーム」という庁内横断型の専門組織を立ち上げ、学校施設の再整備や跡地利活用、財源確保の方針までを一体的に検討しているとのことでした。
こうした「施設整備+財政戦略」の両輪による政策立案は、枚方市においても極めて参考になる実践例であり、単なる施設更新ではなく「未来への投資」として全庁的に進めていく必要があります。
そこで、市長にお聞きします。
学校統廃合や、義務教育学校の導入、さらには跡地利活用といった一連の課題を、教育施策の枠に留めず、都市政策・財政戦略を含めた市政の柱としてどのように位置づけていくのか見解をお聞きします。
また、それらを進めていくための庁内体制や執行の枠組みづくりについて、今後、どのような方針で臨まれるのか、お聞きします。
【伏見市長 答弁6】
令和8年度にかけて改訂する公共施設マネジメント推進計画では、大幅な人口減少社会を踏まえ、将来を見通した持続可能なまちづくりに資するよう計画を見直す考えです。
その方向性としては、保有する公共施設の複合化や集約化、あるいは施設によっては廃止することも考えていく必要があります。
こうした施設の複合化や多機能の充実などにより、市民の利便性が向上し、多様な人々の交流が促進されることで、にぎわいの創出にもつながり、さらには施設の維持管理面で経済的メリットも期待できると考えています。
計画改訂においては、まちの魅力向上の視点を踏まえた整理も必要と考えていますが、複合化・集約化の際には、民間事業者の創意工夫を生かした快適な施設とすることやフェーズフリー施設の検討も重要な視点であると認識するところです。
今後、公共施設をマネジメントしていくにあたり、わたくし自らがリーダーとなり、人口減少社会における危機感を持ちつつも、常に市民サービス向上の視点に立ち、かつスピード感をもって対応していきたいと考えています。
また、そのためには、横断的な執行体制の構築も含めて全庁一丸となって着手していく考えです。
【かじや 意見】
市長からは、「わたくし自らがリーダーとなってスピード感をもって対応する」との力強いご答弁をいただきました。その姿勢は大変心強く受け止めています。
一方で、現実の学校統廃合の進み方を振り返ると、これまでの取組には明らかにスピード感が欠けていたと言わざるを得ません。
策定された方針や答申が十分に実行されないまま時間が過ぎ、その間にも子どもたちの教育環境や市の財政負担は確実に悪化しています。
人口減少という不可避な現実に正面から向き合い、限られた資源を未来へどう引き継ぐか。この問いに対して、先送りではなく、決断と実行で応えていくべきです。
教育の質を守り、地域の活力を維持し、そして持続的に発展が可能なまちを次の世代に残していく。
そのためにこそ、学校の規模適正化や義務教育学校の導入、跡地の戦略的活用も含め、抜本的な再編と、将来を見据えた構想力が求められています。
今後は、市長の強いリーダーシップのもとで、庁内横断的な体制を整え、未来志向の取り組みを、スピード感を持って具体化していくことを強く要望しまして、私の質問を終わります。