令和4年6月定例月議会本会議(令和4年6月20日)で行った一般質問の記録を掲載します。
1.水難事故防止の取組について
2.自衛官募集について
3.くらしの資金貸付金について
4.広域連携について
※これは正式な議事録ではございません。正式な議事録は、数か月後に市役所や図書館、市議会のホームページで閲覧することができます。
※質問・答弁の順序は、読みやすいように前後入れ替えて掲載をしています。
1.水難事故防止の取り組みについて
【かじや 質問1】
まず「1.水難事故防止の取り組みについて」お聞きします。
これから、夏のシーズンにかけて、海や河川、ため池などでの水難事故が全国的に増加する傾向にあります。
警察庁の資料によると、令和3年7月、8月の2か月間において、全国で451件発生しており、水難者は565人、その内中学生以下の子どもは67件、110人となっています。
本市においては、今年の4月に、児童がため池に転落するという事故が発生しましたが、ため池の安全管理について、これまでどのような取り組みを進めてきたのか、また、枚方市内にため池はどの程度存在するのか、併せてその管理者についても、お聞きします。
【野田観光にぎわい部長 答弁1】
1.水難事故防止の取り組みについて、お答えいたします。
本市におけるため池の安全管理の取り組みとしては、ため池の役割と構造や非常時の対応などを明記した「枚方市ため池管理マニュアル」を作成しており、本マニュアルを管理者となる水利団体に配付し、日ごろからの日常管理や安全対策の徹底を依頼してきたところでございます。
また、枚方市土地改良事業等補助金交付要綱に基づき、ため池等の整備に係る安全柵の新設又は改修に対し補助金を交付するとともに、ため池水防に万全を期するため、大阪府との合同による、ため池の調査点検等を定期的に実施しているところでございます。
なお、枚方市内のため池は全部で88池あり、その中で大阪府防災減災アクションプランに位置づけられている防災重点ため池は61池で、主に財産区や水利組合、土地改良区が管理しています。
【かじや 質問2】
それでは、順次2回目以降の質問と要望をさせていただきます。
まず「1.水難事故防止の取り組みについて」2回目の質問をします。
今回の事故発生を受けて、我が会派から、4月18日に「ため池のさらなる安全対策を求める緊急要望書」を提出しました。
要望書では、「ため池管理マニュアルに、安全面の観点も盛り込み、チェックシートに反映させること」、「救助用ロープや浮き輪、安全ネットなどの設置についても、土地改良事業等補助金の対象として認めること」、「学校が地域などと連携して、ため池の危険性について学ぶ仕組みを構築すること」の3点について要望しましたが、その後の市の対応について、お聞きします。
【野田観光にぎわい部長 答弁2】
要望項目のうち、ため池管理マニュアルに転落及び水難事故防止などの安全面の観点を反映する点につきましては、新たに安全柵等に破れや老朽化等の破損がないか、危険を促す看板等の文字が消えていないか、などのチェック項目を追記し、改めて、各管理者に対し日常管理や安全対策の徹底について依頼をしたところでございます。
次に、土地改良事業補助金の補助対象に、救助用ロープや浮き輪などの設置費用を加える点につきましては、水難学会の有識者や水利団体等の意見も踏まえた上で、補助金要綱の見直しについて、検討してまいります。
【位田学校教育部長 答弁2】
次に、学校において、ため池の危険性について学ぶ仕組みを構築する点につきましては、本市立小学校では、社会科の副読本「わたしたちのまち 枚方」における「水との戦い~地蔵池をつくる~」に掲載されている内容を用いて、小学校4年生が、ため池がつくられた目的や歴史的な背景等を学ぶ機会を設けています。
現在作成中の4年生のデジタル版副読本においても、ため池について、わかりやすく学べるよう、視覚教材を取り入れていく予定です。
また、各校で作製している「校区安全マップ」のより実効的な活用として、タブレットを用いて、ため池も含めた校区の危険個所についての写真や、映像を示すなどの工夫をしながら、子どもが主体的に考える時間等を設けるなどの取り組みを全小中学校で実施済みです。
具体的には、生徒が作成した写真入りの「校区安全マップ」を見直し、校内で掲示したり、生徒自身が朝礼で注意喚起を行ったりしています。
他にも、児童がストリートビューを活用し、登校ルートや危険個所をチェックしながら、グループで話し合う活動を行い、一人ひとりが危険個所について考え、振り返る時間を設けるなどの取り組みを行っています。
さらに、地域・保護者に対しては、各校の取り組みを情報発信することで、校区内における危険個所について情報を共有するとともに、見守りや、危険な行動を見かけた場合の声掛け、警察等への連絡等について、協力依頼も行っています。
【かじや 質問3】
我が会派からの要望に対して、迅速に対応していただいていることは評価いたしますが、まだ継続中のものもあるとのことです。
今後、夏休みを控える中で、子どもたちが水難事故に遭う危険性が増すことが、懸念されます。
二度と同じような事故が起きないようにするには、ハード面はもとより、子どもたちへの教育などソフト面が大変重要になってくると考えます。
ため池も含めた水難事故を防止するという観点から、今後、子どもたちにどういった学びの場を提供していくのか、見解をお聞きします。
【位田学校教育部長 答弁3】
ため池を含めた水難事故防止につきましては、水泳の授業で使用するチェックリストの見直しを行い、リストに背浮きの指導を加え、発達段階に応じた、水中における安全確保につながる指導を必ず実施することとしました。
また、水泳指導の最終日に着衣水泳を行うなど、各学校の実情に合わせた取り組みを行ってまいります。
さらに、夏休み前には、各学校園において「夏休みの過ごし方」等を配付し、水難事故防止のための安全指導を行うなど、未然防止に努めてまいります。
今後とも、子どもの発達段階に合わせて、自ら危険を回避する力を育成するとともに、自らの命を守り抜くために「主体的に行動する態度」を育成するよう、安全教育を推進してまいります。
【かじや 意見】
本市には、住宅街に近接している河川やため池も多く存在することから、事故の危険性が高く、安全対策が重要な課題となっています。
水難学会の斎藤秀俊会長は、『柵やフェンスは「立入を制限するもの」であって、「命を救うもの」ではない。立入制限と救命方策の両方がため池になければ、事故は繰り返される。「ため池に近づくな」という注意だけでは、死亡事故の撲滅にはつながらず、指でつかまり、足をかけることのできる工夫を斜面に作ることが急務』と述べておられます。
今後、救助用ロープや浮き輪、安全ネット等など救命設備の設置が進むよう、土地改良事業等補助金の対象にするなどの取り組みを要望します。
また、学校での取り組みにおいては、水泳の授業における安全確保の指導はもちろんのこと、地域や保護者と連携した取り組みを、しっかりと進めるよう要望しておきます。
2.自衛官募集について
【かじや 質問1】
次に「2.自衛官募集について」お聞きします。
ロシアによるウクライナへの侵略をはじめ、東アジアで覇権主義的な動きを強める中国や、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮の動向など、我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しています。
そのような国際情勢の中、我が国においても、防衛力の抜本的な強化が求められているところであり、加えて、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の流行や、予想される南海トラフ巨大地震、近年多発する台風・豪雨災害などにおける人命救助や復興支援など、国民の生命と財産を守る任務を担う自衛隊の役割は、ますます重要になってきています。
しかしその一方で、人口減少・少子高齢化の進展などによって、自衛官の人材確保は非常に厳しい状況にあり、大きな課題となっています。
そのような課題がある中で、本市では、地方自治法上の法定受託事務として、自衛官の募集事務という大変重要な役割を担っています。
そこで、まず、この募集事務について、自衛隊地方協力本部から、本市に対してどのような依頼があるのか、また、本市が行っている募集事務にかかる広報活動の具体的な内容について、お聞きします。
【藤原総務部長 答弁1】
次に、自衛官募集について、お答えします。
自衛官等の募集事務につきましては、自衛隊法第97条の規定に基づく法定受託事務として行っており、自衛隊大阪地方協力本部から、同法施行令に基づき、募集に関する広報宣伝や、報告又は資料の提出等に関します依頼を受けております。
そのうち、本市で行っています広報活動といたしましては、「広報ひらかた」や市ホームページへの募集案内の掲載や、担当窓口であります総務管理課のカウンターにリーフレットを設置しているところでございます。
【かじや 質問2】
次に「2.自衛官募集について」2回目の質問をします。
本市の広報活動ですが、「広報ひらかた」もわずかスペース、ホームページも目立たない場所、リーフレットも、市民があまり訪れることのない総務管理課の窓口にだけ設置ということで、申し訳ないですが、やることだけが目的化していて、効果を考えて実施しているようには見えません。
そこで確認ですが、なぜ、地方公共団体が法定受託事務として募集事務を行うことになっているのか、枚方市がこの募集事務を行う目的や効果についてどのように考えているのか、見解をお聞きします。
【藤原総務部長 答弁2】
自衛官等の募集事務については、自衛官の募集に関する国民の理解を深め、志願者を増加させ、安定的に優れた資質の隊員を確保する上で、地域と深いつながりを有する地方公共団体を通じて、効果的かつ計画的に募集等を推進するため受託し、実施しているものでございます。
【かじや 質問3】
本市がこれまで取り組んできた広報活動が、志願者の増加や、優れた資質の自衛官の確保につながっているのか、疑問に感じるところです。
本市には、市役所本庁舎をはじめ生涯学習市民センターなどの公共施設が多数ありますが、これらの公共施設の目立つ場所にポスターの掲示を行うことは、特別な手間や費用が発生するわけでもなく、そんなに難しいことではないと思います。
また、本市の職員募集の際は、ホームページや「広報ひらかた」などで、大々的に告知する訳ですから、自衛官の募集についても、志願者の増加を考えるのであれば、同様の取り組みが必要ではないでしょうか。
公共施設へのポスター掲示はもちろん、リーフレットやのぼりの設置、学校において自衛隊の仕事を説明する出前授業の実施など、様々な取り組みを行っている自治体もありますので、本市でも、こういった手法も含めて、自衛隊と連携して、より効果が上がるような、広報活動や協力支援に積極的に取り組むべきと考えますが、見解をお聞きします。
【藤原総務部長 答弁3】
自衛官等の募集事務に係る広報活動につきましては、自衛隊大阪地方協力本部からの依頼に基づいて、募集資料であるリーフレットを総務管理課窓口に設置しておりますが、今後、議員お示しの募集ポスターの掲示や、のぼりの設置などにつきましても、自衛隊大阪地方協力本部と調整の上、取り組んでまいります。
【かじや 質問4】
できるところからでも、すぐに取り組んでいただくよう要望します。
さて、自衛隊地方協力本部が行う広報への援助等を行う「自衛官募集相談員」が、2年ごとに委嘱されているとお聞きしています。
市内にも「募集相談員」の方がおられ、地域で広報活動等を行っているとのことですが、主にどのようなことを担い、市としてどのような関わりをしているのか、お聞きします。
【藤原総務部長 答弁4】
「自衛官募集相談員」の方へは、自衛隊地方協力本部から、自衛官への志願者等に関する情報提供や自衛隊への理解促進活動などの協力活動のお願いをされており、本市としましては、議員お示しの委嘱に関しまして、自衛隊大阪地方協力本部長と本市を含みます北河内7市の市長で構成します連絡会の、その時々の会長市の市長との連名による委嘱、そして、委嘱式は北河内7市合同で行っており、その委嘱式に、本市も出席させていただき、大阪地方協力本部とともに、当相談員の方々へお願いしているところです。
【かじや 質問5】
「自衛官募集相談員」の皆さんは、地域の最前線で、自衛隊の行う募集のための広報活動への援助や協力を、ボランティアとして担われています。
市としても、募集相談員の方から広報活動への協力依頼や相談があった場合は、ぜひその活動に対して協力をしていただき、サポートをお願いしたいと思います。
次に、自衛官等の募集に関し必要となる基本情報の取り扱いについて、お聞きします。
基本情報の取り扱いについては、昨年2月に、防衛省と総務省の両省から、自衛隊法及び同法施行令に基づき「防衛大臣は市町村に対して、住民基本台帳の一部の写しを用いた資料の提出を求めることができ、これは住民基本台帳法上、特段の問題を生じるものではない」とする旨の通知があったと聞いています。
これまで、枚方市における基本情報の提供方法については、住民基本台帳法の規定に基づく提供依頼に対し、住民基本台帳の写しの閲覧を認めるという対応であったとのことです。
今回、基本情報の提供方法について大阪府内各市の状況を調査したところ、今年度から、住民基本台帳の写しの閲覧から、紙媒体や電子媒体による提供に変更されている自治体が大きく増加し、約8割の市が、紙媒体や電子媒体による提供を行ったとのことです。
今年度、本市においても、すでに基本情報の提供依頼を受けていると思いますが、どのように対応されたのか、お聞きします。
【藤原総務部長 答弁5】
自衛官等の募集に関し必要な基本情報の提供につきましては、今年度は「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要となる情報の資料の提出を求めることができる」とする自衛隊法施行令第120条の規定に基づく依頼をいただいている状況であり、基本情報であります4項目、氏名・住所・生年月日・性別について、電子媒体により先週末に提供を行ったところでございます。
【かじや 意見】
本市の個人情報保護条例では、利用目的以外の目的のために、保有個人情報を提供することについて制限していますが、法令等に定めがあるときは、提供することができると規定されており、今回、法令に基づく依頼があり、基本情報を電子媒体で提供されたとのことです。
これまでは、閲覧しか許されず、自衛官の方が、手間と時間をかけて、膨大な基本情報を手書きで書き写していたとお聞きしています。
DXの推進が叫ばれる中、自衛官の方に手書きで事務作業を強いていること自体、非効率であり、考えられないことですので、今後も法令に則った適正な運用を求めるとともに、自衛隊からの依頼に対しても、しっかりと対応し、協力していただくよう、要望します。
3.くらしの資金貸付金について
【かじや 質問1】
次に「3.くらしの資金貸付金について」お聞きします。
「くらしの資金貸付金」については、これまで継続して、我が会派から、制度の課題について指摘をし、抜本的な見直しや廃止の要望を行ってきましたが、今回、改めて現状と課題についてお聞きいたします。
この「くらしの資金」の貸付は、低所得の一時的生活困窮世帯等に貸付を行うことにより、世帯の自立更生を図ることを目的とした制度であるとお聞きしています。
そこで、これまでの基金残高等の推移と、昨今のコロナ禍における貸付希望の相談件数、また実際の貸付件数及びその金額の推移について、コロナ前と比較した状況についてお聞きします。
併せて、返済件数及びその金額についても、お聞かせください。
【服部福祉事務所長 答弁1】
くらしの資金貸付金は昭和44年から1億6,200万円の基金を活用して始まった制度でありますが、平成30年度から令和3年度に行った不能欠損により、基金の額は令和3年度末で6,205万9,129円、貸付金の累計については2,107万3,353円となっています。くらしの資金貸付についての相談は、コロナの影響を受ける前の令和元年度は132件、コロナ禍における令和2年度は44件、令和3年度は19件でした。
実際の貸付については、令和元年度が9件81万4,000円、令和2年度が3件29万円、令和3年度が0件でした。返済については令和元年度が308件194万7,000円、令和2年度が337件382万500円、令和3年度が359件294万7,500円でした。
【かじや 質問2】
次に「3.くらしの資金貸付金について」2回目の質問をします。
この数年で、基金の残高が大きく減少していますが、これは平成30年に施行された「枚方市債権管理及び回収に関する条例」に基づいた債権放棄の手続きを踏まえ、多額の不能欠損処理も実施されたからだと思います。
本来は、お貸ししたお金は全額返済してもらうべきだと考えますが、これまでに行った不能欠損処理の主な事由と、その件数及び金額についてお聞かせください。
また、連帯保証人への請求を行っているとお聞きしていますが、催告書を送付された件数とその後の反応についてお聞きします。
【服部福祉事務所長 答弁2】
平成30年に施行された、債権管理及び回収に関する条例に基づき、不納欠損処理が可能となり、令和3年度までに1,165件1億829万6,312円の不能欠損処理を行ってきました。不能欠損を行った主な事由は、返済期日から10年を経過している債権の放棄と、徴収停止後に一定期間経過した債権の放棄となります。
また、未返済の方のうち連帯保証人がいる10件に対して、令和2年度の催告書発送時には、貸付人だけではなく、連帯保証人に対しても催告書の送付を行い、未収金の回収に努めてまいりました。連帯保証人から借主に対して返済を促していただいたのかわかりませんが、完済にいたったケースは、2件ありました。
【かじや 質問3】
放棄した債権が、約1億円にものぼっており、連帯保証人への請求も、完済にいたったケースはわずか2件とのことです。
さて、令和3年度の包括外部監査の結果を見ますと、「くらしの資金貸付金」において「債権管理及び回収に関する条例」第9条に規定されている遅延損害金が徴収されておらず、条例違反の状態にあることが指摘されています。
なぜ、遅延損害金が徴収されていないのか、また、今後、改善の予定があるのかお聞きします。
【服部福祉事務所長 答弁3】
くらしの資金の債権管理につきましては、システム構築されておらず、督促や催告の発送、遅延損害金の計算はすべて手作業となっています。
遅延損害金を計算できる仕組みを整えておらず、過去5年間の貸付件数30件のうち、未返済者は5件となっており、新たにシステムを構築することについては、費用対効果の観点から、困難だと考えています。
今後は、包括外部監査の意見も踏まえ、遅延損害金が発生しないよう、これまで以上に債権の回収に取り組むとともに、遅延損害金免除申請の検討を進めてまいります。
【かじや 質問4】
条例違反の指摘については、放置することなく、何らかの形で早期の改善を要望します。
さて「枚方市くらしの資金の貸付けに関する条例」第3条には、貸付の対象者として「低所得の一時的生活困窮世帯」や「貸付けにより自立更生ができること」「返済能力がある者」などの要件が規定されています。
あくまで「一時的」な生活困窮者であって、「自立更生」ができ「返済能力がある」人に貸付しているのであれば、これほど返済が滞ることもないと思いますが、なぜ、こんなに多くの未収金が発生しているのでしょうか。
「くらしの資金の手引き」では、返済能力の審査において「収入要件、居住要件、効果及び返済能力に適合するかどうかを挙証資料により判断する」ことになっているようですが、これまでの審査に問題はなかったのか、もし適正に審査していたとすれば、なぜこれほどまで未収金が膨れ上がったのか見解をお聞きします。
【林健康福祉部長 答弁4】
本制度は、市民の生活を支えるセーフティネットとして、市独自の取り組みを実施してきましたが、適切な制度の案内や支援へつなぐ、市が設置している「自立相談支援センター」の利用が増えてきたことや、コロナ禍での対応として社会福祉協議会が実施する貸付制度が充実したこともあり、本制度の貸付は減少しているところです。
しかしながら、本貸付が一時的な生活困窮世帯向けであり、貸付に伴う審査につきましても、収入の状況や他の貸付の有無など返済能力についても確認を行っているものの、結果として、貸付による生活再建がなされず、未収金が発生する状況となっています。
【かじや 質問5】
返済能力について確認を行っているとのことですが、現実には多額の未収金が発生しています。
これまでの甘い審査によって、本来、貸してはいけない人にお金を貸し続けた結果、1億円もの市民の税金を消失させてしまったということになります。
その一方で、近年、貸付件数が減少していますが、これは相談時に審査を厳正に行い、他の窓口や制度につなげるなど、現状、適正な運用を行っていただいている結果ではないかと思われます。
もし制度を適正に運用することで、貸付件数が減っているとすれば、現状ではこの制度にニーズがないとも言えます。
令和3年度の包括外部監査では、制度の今後の方向性についても指摘がなされています。
包括外部監査人の意見として「近年は貸付件数の減少傾向が続いており、社会福祉協議会の生活資金融資制度との役割分担が明確でなければ、市独自の制度を継続する必要性が徐々に希薄化しており、社会福祉協議会と役割分担を協議する中で、制度の今後の方向性についても検討する必要がある」との指摘がありますが、これらの指摘を受けての市の対応や、今後の方向性についての見解をお聞きします。
【林健康福祉部長 答弁5】
今後におきましては、貸付制度が生活困窮世帯への生活再建に直結する支援策であることから、社会問題化している貧困への対応という観点、また、社会福祉協議会との役割分担という観点も含め、制度全体の在り方について、協議・検討してまいります。
【かじや 意見】
包括外部監査でも指摘を受けているにも関わらず、今回、具体的な方向性が示されなかったことは、非常に残念です。
貸付をしたにも関わらず、実際に「自立更生」ができていないのであれば、この貸付制度は、セーフティネットとして十分な役割を果たしているとは言えず、また近年の貸付件数の減少傾向に対して、債権の管理や回収事務に費やす職員の労力、費用対効果の面で条例違反を是正できない現状などを見ると、とても効果的・効率的な事業執行ができているとは思えません。
市にも様々な相談窓口ができ、生活困窮者に対する新たな制度や既存の類似事業などもあるわけですから、庁内や社会福祉協議会と役割分担についてしっかりと協議し、今後、事業の整理統合の方向性を打ち出していただくよう要望します。
4.広域連携について
【かじや 質問1】
次に「4.広域連携について」お聞きします。
令和元年12月定例月議会における我が会派の岩本議員の質問に対して、「行財政改革プラン2020において、広域連携による取り組みの検討について課題設定を行い、身近な取り組みについて具体化に向けた研究、検討を進めていく」とのご答弁がありました。
そこで、広域連携に関する現在の取り組み状況についてお聞きします。
【田中総合政策部長 答弁1】
4.広域連携についてお答えします。
広域連携に関する取り組みにつきましては、現在、大阪府を中心として府内連携によるアプリの共同調達や事務の共同処理など、自治体連携について研究、検討を進めているところで、令和3年度は、府下で実施した汎用的電子申請サービスの共同調達に参画し、LoGo(ロゴ)フォームの導入を行いました。
また、企業や大学とのマッチングによりスマートシティの推進を図る「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」にも参画しており、令和3年度は、市内のものづくり企業5社を対象に、中小製造業のデータ経営と生産性向上を目的とした「クラウド型基幹業務システム」を活用する社会実証に取り組んだところです。
他にも、一般の廃棄物処理など、本市行政課題を解決していくうえで、近隣自治体との情報共有や検討などにより、必要に応じて対応してきたところです。
【かじや 質問2】
次に「4.広域連携について」2回目の質問をします。
現状における広域連携については理解しましたが、自治体間の広域連携は、市民サービスの向上や業務の効率化、経費削減などのメリットから、広く連携する業務を検討・判断していく必要があります。
地方公共団体の広域連携については、令和2年6月に国の第32回地方制度調査会からの答申において、その基本的な考え方が示されています。
基本的な考え方として、それぞれの地方公共団体の有する強みを生かし、それぞれの持つ情報を共有し、資源を融通し合うなど、地域の枠を越えて連携し、役割分担を柔軟に見直す視点が重要とされています。
また、インフラの老朽化、利用者の減少に伴う維持管理コストの増大や、技術職員・ICT人材等の専門人材不足への対応といった課題に連携して取り組み、施設・インフラ等の資源や専門人材の共同活用が効果的であるとのことです。
また、この広域連携のメリットについては、大きく2つあると考えており、1つは、地方公共団体共通の管理や手続きなどを、集約することで働くスケールメリットと、もう1つは、地方公共団体の個性を組み合わせることで生まれる相乗的な効果です。
中核市である本市は、一定の人口規模を有した行政運営を行っているため、広域連携を進めることで、よりメリットが得られるのは、後者の相乗的な効果の方ではないかと考えます。
令和4年3月定例月議会の代表質問において、我が会派から要望した大阪・関西万博の開催地であるベイエリアと淀川でつながる沿川の地方公共団体の広域連携の取り組みについては、積極的に進めていくことで、賑わいの創出、魅力向上につながり、本市にとって大きなメリットが得られると思います。
こうしたことを踏まえて、今後の本市広域連携の考え方についてお聞きします。
【田中総合政策部長 答弁2】
議員お示しのとおり、周遊エリアとなる淀川沿川などでの観光コンテンツの創出に向けた広域的な連携についても、積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
今後においても、引き続き、広域連携の可能性を見極めつつ、様々な行政課題の解決において、より柔軟に広域連携の視点を取り入れていきたいと考えております。
【かじや 質問3】
淀川沿川での観光コンテンツの創出はもちろん、観光や産業振興の分野においては、近隣自治体や、何らかのテーマで関連のある自治体と連携することで、単独で取り組むよりも発信力や魅力の向上などの面においてメリットが発揮できると考えますので、連携できるテーマを設定し、本市から積極的に働きかけを行うなど、さらなる取り組みの強化を要望します。
次に、府域一水道を含めた広域連携について、お聞きします。
水道事業では、今後も人口減少や節水機器の普及等により、給水収益の減少が予測されている中、水道施設の老朽化による更新費用の増大、適正な維持管理・修繕、大地震等の災害への対応、また、将来を担う人材の育成や技術継承が、全国的に共通する課題であると認識しています。
特に水道施設の老朽化については、令和3年10月に和歌山市で発生した水管橋の崩落事故の原因も老朽化による腐食が原因のひとつだと報道がありましたが、計画的な更新とともに適正な維持管理が必要であると考えます。
こうした課題に対応し、水道の基盤強化を図るため、厚生労働省は、平成30年度に水道法を改正し、国、都道府県、市町村の責務を明確化するとともに水道事業の広域連携の推進を示しています。
また、大阪府は、水道法の改正を受け、広域連携の推進役として「府域一水道に向けたあり方協議会」を設置し、府域一水道を含めた広域連携について検討をしているとお聞きしています。
そこで、まず「府域一水道に向けたあり方協議会」での協議状況について、お聞きします。
【伊藤上下水道管理者 答弁3】
次に府域一水道を含めた広域連携について、お答えします。
「府域一水道に向けた水道のあり方協議会」は、大阪府が事務局となり、大阪広域水道企業団と府下の全市町村が参画する協議会です。
この協議会では、淀川系浄水場の最適配置や、一定条件下での府域一水道の財政効果の検討とともに、市町村間の送配水施設の統廃合などの広域連携について検討しており、令和2年3月には、あり方協議会の報告書が取りまとめられています。
報告書では、府域一水道による浄水場等の最適配置など経済性と危機管理上のバックアップを両立できる施設能力など、組み合わせの検討が行われ、本市の中宮浄水場は、府域一水道に必要な施設と位置づけられています。
【かじや 質問4】
水道の基盤強化を図るため、「あり方協議会」で浄水場の最適配置などを検討されていることは、理解しましたが、この検討のほか、大阪広域水道企業団において、事業統合による広域化が進められているともお聞きしています。
大阪広域水道企業団では、設立趣意に「大阪市を含めた府域一水道」を掲げており、市町村水道との連携拡大を図り、同一会計の経営による府域一水道をめざしていると認識しています。
現在までに、人口6.5万人未満の13市町村が事業統合をしており、令和6年度には、1町が統合を予定し、東大阪市、八尾市などの中核市を含む8市町が統合を検討しているとお聞きしています。
そこで、枚方市として大阪広域水道企業団への統合について、現状、どのように考えているのか、見解をお聞きします。
【伊藤上下水道管理者 答弁4】
枚方市としては、中宮浄水場で水を作る単価が、大阪広域水道企業団から受水する単価と比べ、安価であり、本市単独で事業運営が行えていることや、府下市町村の水道料金に大きな差がある中で、府域一水道がめざす、統一料金の議論も進んでいないことから、現時点では、大阪広域水道企業団との統合によるメリットは、見いだせていない状況です。
しかしながら、あり方協議会の検討による長期的な統合のメリットである市町村の枠を越えた、施設の最適配置等の財政効果や技術の継承、危機管理体制などについて、今後も検証を進めていきます。
【かじや 意見】
府域一水道については、自治体間で経営状況や水道料金に大きな差があり、これらを統合することで、経営基盤の強い団体や、水道料金が安い団体にとっては、短期的に見ると不利益が大きくなり、住民の理解を得ることが非常に難しい状況が、課題としてあげられます。
例えば、大阪府市町村振興協会が公表している令和3年9月1日現在の水道料金を比較すると、枚方市の水道料金は2290円であるのに対し、大阪府内で一番高い豊能町では4906円と2倍以上の格差があるなど、本市にとっては、現時点で、なかなか統合のメリットが見出しにくいのは一定理解できます。
しかし、大規模災害の発生リスクが高まる中、コスト削減による耐震化などの施設整備の財源確保や体制充実による災害対応能力の強化は喫緊の課題であり、これらの観点からも広域化の重要性は高まっていると言えます。
現在、「あり方協議会」に参画しているということですので、更新費用の削減につながる施設の最適配置や統廃合などの広域連携の検討は、ぜひ、進めていただきたいと考えます。
また、企業団との統合については、中長期的な視点でメリットとデメリットを検証するとともに、今後の市民負担のあり方については、市民が不利益を被ることのない形で進めていただくよう要望し、私の質問を終わります。