令和3年9月定例月議会本会議(令和3年9月22日)で行った一般質問の記録を掲載します。
1.環境に配慮した次世代自動車の普及拡大について
2.福祉サービス利用援助事業補助事業について
3.行政改革の取組について
(1)ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しについて
(2)各種相談事業の検証及び再編について
(3)市立デイサービスセンターの在り方について
※これは正式な議事録ではございません。正式な議事録は、数か月後に市役所や図書館、市議会のホームページで閲覧することができます。
※質問・答弁の順序は、読みやすいように前後入れ替えて掲載をしています。
1.環境に配慮した次世代自動車の普及拡大について
【かじや 質問1】
まず「1.環境に配慮した次世代自動車の普及拡大について」お聞きします。
枚方市では、国に先駆け「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」を宣言し、国・府と連携し、市民・市民団体・事業者と市が一丸となり、地球温暖化対策を進めていくことを表明されています。
しかし、実質ゼロという大変、高い目標を達成するためには、これまでの取り組みを継続するだけでは、困難であり、地球温暖化対策をより一層、強化していく必要があります。
地球温暖化対策としては、再生可能エネルギーの普及拡大や省エネルギーの推進など、様々な取り組みが必要となりますが、自動車によるガソリンの消費など、運輸部門から排出される二酸化炭素排出量を削減していくことも重要な取り組みの1つであると考えます。
運輸部門からの二酸化炭素排出量は、その8割以上が自動車からの排出となっており、運輸部門における脱炭素化を進める手段として、電気自動車(EV)をはじめとする環境に配慮した次世代自動車の普及拡大は不可欠です。
今後、市民や事業者への普及を進めていくためには、まずは、市が率先して、公用車に電気自動車をはじめとする環境に配慮した次世代自動車を導入していく必要があると考えます。
そこで、はじめに、総務部所管の公用車について、買い替えの基準、総台数、最近の買い替え台数及び、環境に配慮した次世代自動車の導入状況についてお聞きします。
【藤原総務部長 答弁1】
1.環境に配慮した次世代自動車の普及拡大についてお答えします。
買い替えの基準につきましては、購入後11年を買替目安としておりますが、コスト削減のため、メンテナンスを行いながら、長期間使用するよう努めております。
現在、総務部所管の公用車は42台で、最近3年間では、年度平均2台程度の買い替えとなっております。
また、環境に配慮した次世代自動車につきましては、電気自動車を平成24年度に1台、ハイブリッド自動車を平成22年度に2台、平成29年度に1台、合計4台導入しております。
【かじや 質問2】
それでは、順次2回目以降の質問と要望をさせていただきます。
まず「1.環境に配慮した次世代自動車の普及拡大について」2回目の質問をします。
公用車については、基準に基づきながら、費用とのバランスをとりつつ、出来る限り長く使ってから、買い替える方針であることはわかりました。
しかし、電気自動車をはじめとする環境に配慮した次世代自動車の公用車への導入については、この10年ほどでわずか4台、総台数の1割にも満たない状況です。
今後、市がカーボンオフセットの実現に向けて取り組んでいく中で、率先行動として、公用車の次世代自動車へのシフトは不可欠となってきます。
その一方で、公用車への次世代自動車の導入については、ガソリン車と比較して、購入価格がどうしても高くなることから、環境負荷低減や率先行動だけの理由では、買い替えを行なうことに対して、市民の理解や庁内的なコンセンサスを得るのが難しいなど、課題も多いと認識しています。
そこで、これまでの職員の移動手段としての利活用だけではなく、公用車に新たな価値を創造し、市の課題解決につなげていくことができれば、多少費用が高くても、導入への理解が得やすくなるのではないかと考えます。
例えば、電気自動車は大容量のバッテリーを搭載しており、もちろん移動も容易なことから、災害時に機動的な非常用電源として避難所等で活用することも考えられます。
現行の防災体制の中でどう活用できるのか一定整理する必要がありますが、災害時の非常用電源としての電気自動車の活用について、市の見解をお聞きします。
【佐藤危機管理監 答弁2】
電気自動車を非常用電源として活用するにあたっては、その発電量が1.5~9KWであること、移動が容易であるといった特性から、主に避難所での利用に適していると考えております。
現在本市では、全1次避難所に2.5KWのディーゼル式発電機を配備しておりますが、そのバックアップ電源としての活用や、2次避難所を開設するにあたっての、主たる非常用電源としての使用が想定できます。
災害時の電源確保については、その手段の多重化が求められており、電気自動車についても、有力な選択肢の1つとして認識しております。
今後、コスト面とその有効性を比較しながら、災害時の電源確保について検討して参ります。
【かじや 質問3】
災害時の避難所における非常用電源としての電気自動車の活用については、市としてその有用性を認識されているとのことです。
また、公用車の有効活用として、休日に電気自動車を市民とカーシェアリングする取り組みを、公民連携で進めている自治体が増えてきています。
公用車のカーシェアリングを推進することで、維持・管理などのランニングコストの削減はもちろん、電気自動車の省エネ性能や加速性能を、市民に体験してもらうことで、普及促進も図られ、環境負荷の低減につながるとのことです。
環境に配慮した次世代自動車の導入に当たっては、環境面だけでなく、災害対策や休日時の有効活用などの課題解決につながる様々な付加価値も考慮し、今後、国の財源なども活用しながら、積極的に進めていただくよう要望します。
さて、現在、国では、次期「地球温暖化対策計画」の案について、パブリックコメントが実施されていますが、その中で、運輸部門の2030年度の温室効果ガスの削減目標は、2013年度比で35%削減とされています。
この削減目標は、かなりハードルが高く、小手先だけの取り組みでは実現は難しいと感じています。
このような厳しい状況の中で、環境に配慮した次世代自動車の市民、事業者への普及促進に向けて、今後、市としてどのような取り組みを進めていこうと考えているのか、見解をお聞きします。
【川南環境部長 答弁3】
「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」の実現に向けて、地球温暖化対策を推進していくためには、電気自動車など環境に配慮した次世代自動車の普及は、重要な取り組みのひとつであると考えています。
今後、国が改定作業を進めている地球温暖化対策計画において、環境に配慮した次世代自動車の普及に向けた具体的な取り組みの方向性や、各種支援策も示されると考えられることから、こうした情報を注視し、環境に配慮した次世代自動車の公用車への導入拡大や、市民・事業者への普及・促進に向けて、効果的に取り組みを進めていく必要があると考えています。
なお、具体的な取り組みについては、「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」の実現を見据え、2030年度までの市の地球温暖化対策の取り組み方針を示す、次期地球温暖化対策実行計画に位置付けてまいりたいと考えております。
【かじや 意見】
枚方市では、現在、次期「地球温暖化対策実行計画」の策定作業を進めているとのことですが、地球温暖化対策が世界的な課題となっている中で、電気自動車などの環境に配慮した次世代自動車の普及促進は、国際的な潮流となっています。
今年7月、EUの欧州委員会は、2035年以降、ハイブリッド車を含むエンジン搭載車の新車販売を禁止する方針を表明するなど、今後、欧米や中国などを中心にEVシフトがますます加速していくことが予想されます。
国内の自治体では、横浜市で2030年度までに、一般公用車の100%を次世代自動車化する方針を示し、大阪市では2030年度までに、公用車のうち乗用車については、電気自動車などの電動車の割合を60%以上とする方針を示しています。
一方、枚方市においては、公用車への次世代自動車の導入が進んでおらず、具体的な方針や数値目標もない状況で、先進市の取り組みと比べ、大きく遅れをとっています。
先ほど、公用車についても触れましたが、市民に再生可能エネルギーとのセットで電気自動車が普及すれば、環境負荷の低減はもちろん災害対策にも効果があります。
ある国産の電気自動車では、1台で一般家庭の最大4日分の電力を賄えることから、自助の取り組みの強化にもつながり、市として普及を促進するメリットは十分にあると考えられます。
今後、計画を策定する中で、具体的な方針を示すとともに明確な数値目標の設定や、実効性のある取り組みを掲げることで、電気自動車をはじめとする次世代自動車の公用車への導入拡大や、市民・事業者への普及促進を早期に図っていただくよう要望します。
2.福祉サービス利用援助事業補助事業について
【かじや 質問1】
次に「2.福祉サービス利用援助事業補助事業について」お聞きします。
福祉サービス利用援助事業は、社会福祉協議会が実施する事業で、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者などで、判断能力に支障があり、日常生活上の支援が必要な方の金銭管理や福祉サービスの利用手続きを支援する権利擁護事業で、成年後見制度の対象となる前段階のものとして、地域生活を送るうえで不可欠なものとなっています。
本市では、この事業に対して補助金を支出していますが、ここ数年、市民の方をはじめ、専門家や福祉関係者などの方々から、この事業の課題について多くのご意見をいただいています。
例えば「利用するため相談に行ったが、2年待ちと言われて諦めた」「必要な時にすぐに使えないから、相談に来られた方にお勧めできない」「目の前に困っている人がいるのに助けてあげられない」など、サービスの利用開始までに相当の期間を要することに対するご意見が多く、サービスを必要とする方が必要な時に使えず、日常生活に支障が出ているケースがあるとのことです。
こうしたこともあり、この事業については、これまで何度か質問をさせていただき、利用の実態についてお聞きをしてきたところです。
そこで改めて、現在の事業の利用者数と、待機者数の状況についてお聞きします。
【竹島健康福祉部長 答弁1】
福祉サービス利用援助事業補助事業についてお答えします。
本事業につきましては、大阪府社会福祉協議会から委託を受け枚方市社会福祉協議会が主体となって、判断能力が十分ではない方々の権利と財産を守るための事業として取り組みを行っていますが、令和3年3月末時点での利用状況としましては、133人の方と利用契約を行っており、今後利用が見込まれる待機者としましては、60人となっています。また、令和2年度に新たに利用を開始したケースは19人、解約となったケースは12人となっています。
【かじや 質問2】
次に「2.福祉サービス利用援助事業補助事業について」2回目の質問をします。
昨年この事業についてお聞きした際に令和元年度の利用状況は、126人の方が利用され、待機者は、46人とのことでした。
先ほどの答弁では、令和2年度においては、利用者数は増え、新規と解約のケースの差も7件と新規のケースが多くなっていますが、それでも待機者が60人に増えている状況です。
新規の数を大幅に増やさない限り、ニーズの高まりと相まって、今後も待機者が増え続けていくのではないかと懸念します。
この事業は、高齢者や障害者の利益の保護を図る仕組みの一環として、社会福祉法で第二種社会福祉事業として規定されている事業です。
必要な方が必要な時にサービスを受けられる体制が求められており、長期間も待たされる状況は非常に問題があると考えます。
そこで、こうした利用に係る相談の多くは、どこから寄せられ、待機期間はどれくらいとなっているのか、またサービスを利用できない待機者の生活は、どのようにされているのかお聞きします。
【竹島健康福祉部長 答弁2】
制度の利用に係る相談の多くは、親族や地域包括支援センター、民生委員、施設をはじめとする支援関係者から寄せられることが多い状況となっております。
また、相談からサービス提供に至るまでの期間につきましては、大阪府社会福祉協議会の審査等もあるため最初の相談から早い方で2か月から3か月の期間を要し、やむを得ず待機となっている方につきましては、親族や地域包括支援センターなどのサポートを受けながら生活されているとお聞きをしており、最長で2年の待機となっています。
そうしたサポートも困難な場合につきましては、優先的に利用契約し支援を行うなど日常生活に支障が出ないように努めているところです。
【かじや 質問3】
ケースの状況に応じ、優先度を上げる対応をされているとのことですが、待機者数の解消には至っておらず、むしろ増加している状況です。
サービスが利用できず、日常生活に支障が出ている状況を見かねて、民生委員さんや地域包括のスタッフさんなどが職責を超えてご厚意で支援しておられるケースもあると聞いており、周辺の方にも多大な負担を強いている状況です
この事業の実施主体は大阪府社会福祉協議会であり、そこから枚方市社会福祉協議会へ委託実施していることは承知をしていますが、市が不足する事業費を社会福祉協議会へ補助されているには何らかの理由があると思います。
そこで、改めてお聞きしますが、市がこの事業に補助を行っている理由、また、こうした待機者の状況は、枚方市だけの状況なのか、市町村によっては利用者の多い自治体もあると聞いていますが、近隣市町村の状況や待機者解消に向けた課題認識、取り組みの方向性についてどのように考えているのか見解をお聞きします。
【竹島健康福祉部長 答弁3】
福祉サービス利用援助事業に係る補助金の交付につきましては、枚方市社会福祉協議会が再委託により実施をしているものですが、結果として、大阪府社会福祉協議会からの委託料だけでは、事業費を補いきれず、市からの補助なしでは支援の必要な高齢者や障害者の在宅生活の安定に支障が生じることから補助金等交付規則に基づき交付しているものでございます。なお、他市においても、同様の趣旨から補助を行っている自治体も多くある状況です。
また、大阪府内の中核市における令和2年度末の利用者でございますが、本市よりも多い市としましては、東大阪市の352人、次いで、豊中市の171人、八尾市の141人となっており、少ない市としましては、寝屋川市の113人、高槻市の75人、吹田市88人となっています。他市の待機者の状況につきましては、詳細は把握しておりませんが、数か月の待機が生じている市も多いとお聞きをしております。
今後の高齢者人口の増加などを踏まえますと、本事業は地域生活の送るうえで益々重要性が高まってくるものと考えており、まずは、本年7月に開設いたしましたひらかた権利擁護成年後見センターとの連携を通じた成年後見制度への移行、また、効率的な事業の執行方法などについて社会福祉協議会に待機者解消に向けた働きかけを行いたいと考えています。
【かじや 意見】
まずは、待機者が増えている要因をしっかりと分析をしていただきたいと思います。
今後、ニーズがますます高まってくることが予想される中で、利用者を増やすか、他の類似事業で補完する以外、待機者が減ることはないと考えられます。
現在の体制の中で、どうしたら利用者を増やすことができるのか、人員配置の見直しや業務の効率化で対応できることがあれば、そこから着手するのは当然のことですから、しっかりと業務改善を行っていただくよう要望します。
また、今年度「ひらかた権利擁護成年後見センター」が開設された訳ですから、しっかりと連携して、成年後見制度へ移行できるケースは速やかに移行するなどの方策も進めていただきたいと思います。
さらに、任意後見契約とともに事務委任契約を活用することで、金銭管理や見守り、死後事務などが可能となることから、市と社協、専門家などとの連携による様々な制度活用についても検討いただくよう要望します。
最後に、他市の状況についてですが、利用者が多い自治体は、スキームは様々ですがそれなりの予算措置が行われています。
今後、業務の効率化を行ったとしても、ニーズの増加に利用可能な枠が追い付かず、待機者が減少しない、逆に増加していくようなことがあるとするならば、高齢者や障害者の地域生活の維持に大きな支障が出ることが懸念されますので、市として何らかの予算措置についても検討していただくよう要望します。
3.行政改革の取り組みについて
(1)ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しについて
【かじや 質問1】
次に「3.行政改革の取り組みについて」のうち「(1)ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しについて」お聞きします。
先日の総務委員協議会で、ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しを今年度と来年度の2か年で行っていくとの報告がありました。
事務事業の見直しの内容では、全ての事務事業を対象にロジックモデルや指標等を活用し、社会経済情勢の変化や、類似事業の有無などの視点をもって事業の検証を行うとのことでしたが、これまでの取り組みとどこが違うのか、具体的な見直し手法について、お聞きします。
【田中総合政策部長 答弁1】
3.行政改革の取組について、(1)ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しについて、お答えします。
今回の見直しでは、事務事業実績測定に新たに導入したロジックモデルや指標、目標を活用することで、各指標の目標達成度、予算執行率を踏まえた、より客観的な視点での見直しとなることが、これまでとの大きな違いとなっています。
事務事業の所管部署では、これらのほか、社会経済情勢の変化や類似事業の有無などの視点をもって検証に臨むとともに、必要に応じて総合政策部がヒアリングで確認と調整を行い、事業の拡充や縮小、廃止、またICTの導入や公民連携の推進などの見直しに繋げていくこととしております。
【かじや 質問2】
次に「3.行政改革の取り組みについて」のうち「(1)ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しについて」2回目の質問をします。
以前にも指摘しましたが、各部署は事業の継続を前提とし、実施手法についても前例踏襲の考え方が根強くあると感じています。
有意義な見直しにつなげていくには、こういった姿勢を改善していく取り組みが必要だと思いますが、まずはこのことを踏まえ、どのように見直しに臨んでいくのか、お聞きします。
また、並行してロジックモデルや指標を、検証に耐えられるものへとブラッシュアップさせていくことも重要となりますが、これらの設定について、どのように取り組んでいるのか、あわせて見解をお聞きします。
【田中総合政策部長 答弁2】
今回の見直しにおいては、あらかじめ示した検証にあたっての視点等に基づいて所管部署で検証作業を行うことで、根拠に基づく政策立案(EBPM)について意識醸成を促すとともに、各々の検証内容について総合政策部との確認、調整を通じて、事業の見直しに向けて取り組んでいるところです。
また、指標の設定につきましては、事業の必要性や効果などを検証するうえで基本となることから、庁内での考え方を統一し、共有化を図るため、本年3月に「事務事業効果測定指標設定ガイドライン」を策定したところで、その設定にあたりましてはガイドラインに基づくロジックモデルにより目的と手段の明確化が、客観的な指標によりしっかりとした事業の効果測定が、それぞれ向上するよう努めてまいります。
【かじや 意見】
今回の事務事業実績測定に導入された達成度は指標に基づくことから、その効果を測定するには指標設定が非常に重要となってきます。
「事務事業効果測定指標設定ガイドライン」をもとに、指標をより客観的なものへとブラッシュアップするとのことですが、今後は、来年度に向けて新規事業も編成されることから、これらも含め適切に事業効果を測定できる指標設定に努めていただくよう要望いたします。
3.行政改革の取り組みについて
(2)各種相談事業の検証及び再編について
【かじや 質問1】
次に「3.行政改革の取り組みについて」のうち「(2)各種相談事業の検証及び再編について」お聞きします。
私は、これまでも類似性がみられる事業について、事務事業の見直しの観点から指摘をしてきました。
特に相談事業については、広聴相談課をはじめ、福祉、教育などの各部署、外郭団体、国や府などで実施されており、対象や内容が類似している事業が数多く存在していることから、適切に見直しを図り、再編をしていく必要があると感じています。
そこで、これらの観点から、市として相談事業全般についてどのように課題認識をされているのか、見解をお聞きします。
【田中総合政策部長 答弁1】
各種相談については、市民ニーズの多様化への対応として行政サービスが拡大するなかで、結果的に各事業が本来果たすべき役割が不明瞭となり、重複が生じているものもあるものと考えており、行政運営の効率性や市民へのわかりやすさといった観点などを踏まえ、事務事業の見直しなどでそれぞれの必要性を見極めてまいります。
【かじや 質問2】
次に「3.行政改革の取り組みについて」のうち「(2)各種相談事業の検証及び再編について」2回目の質問をします。
総合政策部としては、各種相談事業の中で重複が生じているという課題を認識していることは理解しました。
そこで、先ほどのロジックモデル等を活用した事務事業の見直しについての答弁では「社会経済情勢の変化や類似事業の有無などの視点をもって検証に臨み、見直しにつなげていく」とのことでしたが、相談事業の中には、類似性のある事業が複数の部署にまたがって存在しています。
まだまだ縦割り意識が根強い組織風土の中で、今回の事務事業の見直しにおいて、それらをどのように確認し、検証、見直しを図っていくのか、見解をお聞きします。
【田中総合政策部長 答弁2】
総合政策部におきまして、各部署が実施する事業目的や事業対象を元に確認を行い、指標の実績をもって効果検証し、現在の業務分担が効率的か、実施手法が目的到達に向けて効果的かという観点を踏まえ、見直しの方向性を定めていきたいと考えております。
【かじや 質問3】
それぞれの担当部署は、他部署が実施している類似の事業への関心が高いとは考えらえず、総合政策部がしっかりと横串を指して、全庁的な視点から検証を行っていただきたいと思います。
さて、「特定非営利活動法人 枚方人権まちづくり協会」に対しては、市の様々な部署から相談事業を委託していますが、私はこれまで、事業の実績や相談の内容、団体への運営補助的な側面、そして他の事業との類似性などの観点から、見直しを行っていく必要があるのではないかと指摘をしてきました。
そこで、人権ケースワーク事業をはじめとする「枚方人権まちづくり協会」へ委託している相談事業の見直しについて、とりまとめをしている市長公室に見解をお聞きします。
【乾口市長公室長 答弁3】
枚方人権まちづくり協会に委託している相談事業については、ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しの方向性を踏まえ、各相談事業の所管部署とヒアリングを行っており、検証しているところです。
一方で、今般、新型コロナウイルス感染症に係る偏見や誹謗中傷や、インターネットによる誹謗中傷などの人権課題が顕在化しており、人権を擁護し、支援していくことの重要性がより一層高まっている状況でもあると考えております。
今回の相談事業の見直しの検討に際しては、これまでの外部評価員や議会からのご指摘も踏まえ、効果的・効率的な相談体制とその支援、また、新たな人権課題への対応など、総合的な観点から進めていきたいと考えております。
【かじや 意見】
人権相談の窓口としては、広聴相談課に法務大臣から委嘱された人権擁護委員による相談窓口や、法務省の相談窓口などがあり、CSWについては社会福祉協議会にも配置されているなど、他にも受け皿がある中で、なぜ「枚方人権まちづくり協会」に委託しなければならないのか、現状ではその根拠が乏しいように思います。
「枚方人権まちづくり協会」に委託している相談事業については、市の他の類似事業との間で効果的な調整・分担ができないのか、事業者を公募にすることはできないのか、より専門性に特化した内容にすることはできないのかなど、様々な観点から改めて検証し、見直しを図っていただくよう要望します。
3.行政改革の取り組みについて
(3)市立デイサービスセンターの在り方について
【かじや 質問1】
最後に「3.行政改革の取り組みについて」のうち「(3)市立デイサービスセンターの在り方について」お聞きします。
現在、デイサービスにつきましては、利用者が様々なニーズに合わせて、自由に事業所を選択できる状況にありますが、本市では市立のデイサービスセンターを3か所設置しています。
以前も指摘させていただきましたが、介護保険制度が始まって約20年が経過し、介護事業を取り巻く環境など、社会経済情勢が大きく変化する中で、市がデイサービスセンターを運営していることに、疑問を感じます。
確かに、市立のデイサービスセンターは利用料金制を採用しており、指定管理料は発生していませんが、施設の維持管理には一定の費用が発生しています。
そこで、まず、わかりやすく目に見える数字として、直近2年間に支出した施設改修費の額について、お聞きします。
以上で、1回目の質問を終わります。
【竹島健康福祉部長 答弁1】
次に、市立デイサービスセンターの在り方についてお答えします。
現在、市立施設として3か所のデイサービスセンターがあり、その改修費については、市立特別養護老人ホームと併設の市立デイサービスセンターでは、令和2年度が593万6,176円、令和元年度が2,458万6,901円、くずは北デイサービスセンターでは、令和2年度が2,356万7,897円、令和元年度が23万1,000円、ラポールひらかた内の総合福祉会館デイサービスセンターでは、令和2年度が49万5,000円、令和元年度が237万1,510円となっており、これらの経費については、市有建築物保全計画に基づき平準化を図っているところです。
【かじや 質問2】
最後に「3.行政改革の取り組みについて」のうち「(3)市立デイサービスセンターの在り方について」2回目の質問をします。
ここ2年間における市立のデイサービスセンターの改修費だけを見ても、毎年の合計で2,700万円から3,000万円の支出があり、施設の老朽化により設備の更新費用なども含め、多額の費用負担が発生しているとのことです。
それでは次に、ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しの中では、社会経済情勢の変化も検証ポイントのひとつでしたが、介護保険制度が始まってから、これまで社会経済情勢がどのように変化してきたのか、ひとつの指標としてデイサービスを行う市内の通所介護事業所数の推移について、お聞きします。
【竹島健康福祉部長 答弁2】
市立デイサービスセンターを設置した平成5年当時、デイサービスを行う通所介護事業所は、同センターを含め市内に6つという状況でした。
その後、平成9年にくずは北デイサービスセンター、平成10年に総合福祉会館デイサービスセンターを設置するなど、介護保険制度の導入以前において、市みずからが拠点施設を整備することで、福祉施策の充実を図ってまいりました。
本年8月1日現在において、定員の大小はございますが、市内に160近くの通所介護事業所が存在しております。
【かじや 質問3】
通所介護事業所の数だけを見ても、市立のデイサービスセンターを設置した当時とは、介護事業を取り巻く環境が大きく変化していることがわかります。
現在のように、市内に多くの民間のデイサービスが存在し、それぞれが生き残りをかけて熾烈な競争を行っている状況の中、市立のデイサービスセンターは、市が施設改修費を負担するなど、経営的に有利な状況にあり、市場での公平性が損なわれていることから、民業を圧迫しているのではないかとの懸念があります。
このような社会経済情勢の変化や、民間サービスとの類似性という事務事業の見直しの視点に照らしてみると、今後も市がデイサービスセンターの運営を続けることには疑問を感じます。
改めて、この事務事業の見直しを機に、市立のデイサービスセンターの民営化や統廃合について検討を進めるべきと考えますが、見解をお聞きします。
【竹島健康福祉部長 答弁3】
市立のデイサービスセンターについては、現在、指定管理者を公募の上、事業を行っております。
必要サービス量の増加に伴いデイサービスを行う事業所が増加している状況については認識しているところですが、今後の方向性については、それぞれで土地・建物の所有状況や施設形態が異なっていることから、利用者のニーズや周辺地域におけるサービス充足の状況等も踏まえ、各施設の特性に応じた、多角的な検討が必要と考えております。
【かじや 意見】
私も3か所ある市立のデイサービスセンターがそれぞれ異なる状況にあることは認識しており、一律に民営化や統廃合を求めるものではありませんが、社会経済情勢の変化や施設総量の最適化、民間にできることは民間にという観点から見た時に、大きな方向性で言えば、今後、市が運営するデイサービスセンターは見直していく必要があると考えます。
各施設の課題を整理し、検証を行った上で、まずは可能な施設から、民営化や統廃合を含めて、時代のニーズにあった新たな活用方法の検討を進めていくことを要望します。
また、これらの3施設は、令和5年度に指定管理期間の更新を控えていますが、今後の事業の見直しにも柔軟に対応できるよう、今回の更新のタイミングに合わせて、5年の指定管理期間の短縮についても検討いただくよう要望しておきます。
最後に、これまでの答弁をお聞きしている限り、担当部署からすれば、様々な課題は認識しているが、事業を継続させる理由はいくらでもあるというスタンスだと思います。
先ほど「ロジックモデル等を活用した事務事業の見直しについて」のところでも指摘させていただきましたので、重ねてにはなりますが、担当部署が事業継続や前例踏襲、縦割りを前提とした意識のままで評価、検証を行っていては、うわべだけの見直しはできても、根本的な見直しは難しいと考えます。
だからこそ、評価、検証、見直しの各段階において、本市の事業全体の最適化を図る観点から、総合政策部がしっかりと関与することで、実効性のある仕組みにするとともに、職員の意識改革についても進めていただくよう、要望しまして、私の質問を終わります。