令和2年12月定例月議会 一般質問


令和2年12月定例月議会本会議(令和2年12月16日)で行った一般質問の記録を掲載します。

 

1.公共施設における木材利用の促進について

2.街かどデイハウスの在り方について

3.窓口業務の在り方について

4.ポンプ場の民間委託について

5.職員団体との交渉について

 

※これは正式な議事録ではございません。正式な議事録は、数か月後に市役所や図書館、市議会のホームページで閲覧することができます。

※質問・答弁の順序は、読みやすいように前後入れ替えて掲載をしています。



1.公共施設における木材利用の促進について

【かじや 質問1】

まず「1.公共施設における木材利用の促進について」お聞きします。

公共施設における木材利用については、木材の利用の確保を通じた林業の持続的かつ健全な発展を図るために、木材全体の需要拡大を目的として「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が、平成22年に制定されました。

私としても、木材利用の促進は、林業・木材産業の活性化や、森林の適正な整備・保全の推進、木材自給率の向上などにつながることから、積極的に推進していくべきと考えています。

しかし、先ほどの法律に、地方公共団体の責務として「公共建築物における木材の利用に努めなければならない」と規定されているにも関わらず、枚方市には木材利用について所管する部署がなく、もちろん「木材の利用の促進に関する方針」を定めた計画もなく、非常に消極的な印象を受けます。

木材利用に関連するかなと思われるような本市の各種計画を調べてみますと、ようやく令和2年3月に策定された「枚方市学校整備計画」に関連する記述が少しだけあるのを見つけました。

そこには、整備保全指針の手法として「教室等の内部空間の改善に当たっては木材使用を検討する」と示されています。

今後、この計画に基づいて木材利用の促進を図っていくとは思いますが、まず学校施設におけるこれまでの木材利用の実績や、その効果及び木材利用に関する今後の課題について見解をお聞きします。

 

【前村総合教育部長 答弁1】

学校施設における木材利用の実績については、主に体育館や教室の床改修において木材を使用しております。

また、香里小学校や第一中学校の長寿命化改修工事においては、教室の物入やくつ箱などを取替える際に木製の家具を使用しております。

木材利用の効果としましては、木材がやわらかで温かみのある触感などの優れた性質を持っており、教室の内装に木材を使用することにより、豊かな教育環境づくりに繋がるものと考えております。

今後の課題としましては、国産の木材は他の建築材料に比較してコストがかかるため、木材利用に向けては財源の確保が必要となります。

 

【かじや 質問2】

それでは、順次2回目以降の質問と要望をさせていただきます。

まず「1.公共施設における木材利用の促進について」2回目の質問をします。

学校においては、木材利用の実績があることがわかりましたが、今後の公共施設における木材利用の促進については、財源の確保が課題とのことです。

財源については、昨年度の12月定例月議会の一般質問において、小・中学校で使用する木製品の購入費用に森林環境譲与税の充当が可能との答弁をいただきました。

そこで森林環境譲与税について改めてお聞きします。この財源は昨年度から市に交付されていますが、現在までの交付状況と今後の推移について、また譲与税の活用実績と今後の活用予定について、お聞きします。

 

【武田観光にぎわい部長 答弁2】

はじめに、森林環境譲与税の交付状況についてですが、昨年度は約1,540万円、今年度以降は、災害防止や国土保全機能強化の観点から当初の予定より増額となり、令和2年度と令和3年度は約3,270万円、令和4年度と令和5年度は約4,270万円、令和6年度以降は約7,780万円が毎年交付される予定で、これらの財源は森林環境基金に積み立て、活用していくものです。

次に、譲与税の活用実績についてですが、今年度は、効果的に森林整備を進めるため、森林整備方針の策定業務を委託しているところです。

また、次年度以降の活用予定につきましては、策定された森林整備方針や今後想定される災害対策等を踏まえ、効率的な森林整備事業の着手を検討してまいります。

 

【かじや 質問3】

森林環境譲与税の使途について、当面は主に森林整備事業への充当を検討しているとのことですが、お聞きする限り、今後、基金への積み立てが増加する一方で、十分に譲与税を活用しきれない状況になるのではないかと危惧をします。

森林整備も重要な課題ではありますが、森林面積が少なく人口規模の大きい本市においては、森林環境譲与税の趣旨や目的、また「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に則すると、森林・林業への理解促進につながる木材利用や普及啓発における役割が一定、期待をされているものと思います。

今後、森林環境譲与税という財源を有効に活用するためにも、木材利用や普及啓発を目的とした活用についても検討していただくよう要望します。

次に、教育委員会にお聞きします。昨年の12月定例月議会の一般質問で、小中学校の児童・生徒が使用している机と椅子の維持管理の状況をお聞きしたところ、児童・生徒の増加により机、椅子が不足する場合、あるいは、老朽化や破損した場合に新規購入や買い替えを行っているとのことでした。

木材利用促進の一環として、小・中学校の児童・生徒が使用している机と椅子を、木製にするという取り組みを行っている自治体もあるとお聞きしています。

この木製の机と椅子は、高さ調節機能がついており、例えば1年生から6年生までの成長過程において同じ机と椅子を使用することができ、またメンテナンスも容易であり、耐用年数もスチールを用いたモノよりも長いとお聞きしています。もちろん、古くなって処分する際も手間が少なく環境にもやさしいといった利点もあります。

本市でも学校園において、新規購入や買い替えを行う際などに、木製品の導入を検討してはどうかと考えますが、見解をお聞きします。

 

【前村総合教育部長 答弁3】

木製品の有効性につきましては、先ほど答弁させて頂きました通り、認識しているところで、今後、机や椅子の使用につきましては、他市事例等を参考にするとともに、その導入につきましては、お示しの森林環境譲与税という、限りある財源をどのように有効活用していくのかという観点から、庁内での協議検討が必要であると考えております。

 

【かじや 意見】

例えば、施設整備に木材を利用すると多額のコストが必要となり、なかなか難しいかとは思いますが、国の「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」には、「木造化が困難な場合でも内装等の木質化、備品や消耗品としての木材の利用の促進」が示されていることから、机や椅子などの備品類の導入であれば財政面でも比較的ハードルが低く、取り組みやすいのではないかと考えます。

木製品の有効性については、既に認識いただいている通りで、気持ちを落ち着かせリラックスさせる効果や、湿度調整機能などの効果があるとともに、地球温暖化の抑制にも寄与するとされています。

学校に木製の机や椅子を導入することは、安心、安全な学習環境の創出にもつながり、森林環境譲与税の趣旨・目的に即した効果的な活用方法であると考えますので、まずは特別教室への導入など、できるところからでも検討をしていただくよう要望します。


2.街かどデイハウスの在り方について

【かじや 質問1】

次に「2.街かどデイハウスの在り方について」お聞きします。

市内に11か所ある「街かどデイハウス」は、高齢者が住み慣れた地域でいつまでも自立した生活を送られるよう、ボランティアスタッフが主体となり、創作活動など通じて介護予防活動に取り組んでおられます。

枚方市では、平成 12 年度から、「街かどデイハウス」を運営する団体に対し、補助金を交付し、その活動を支援していますが、当時から社会状況や高齢者を取り巻く環境が大きく変化する中、「街かどデイハウス」に求められる役割や、市の関与のあり方も時代に応じて変わっていくものと認識をしています。

そこで、まず「高齢者の通いの場」として位置づけられている「街かどデイハウス」と、同様の位置づけにある「高齢者居場所」との、それぞれの役割の違いについてお聞きします。

また、コロナ禍における「街かどデイハウス」と「高齢者居場所」それぞれの活動状況が、どのようになっているのかお聞きします。

 

【山崎健康福祉部長 答弁1】

街かどデイハウスにつきましては、平成12年度に府の補助金事業として創設され、行き場のない高齢者が長時間滞在することができる施設として、週に4日以上、1日に6時間以上の開所を条件に、多様なメニューを用意し活動を行っているものです。一方、高齢者居場所につきましては、月2回以上、1回あたり90分の活動を行うことが登録の条件となっています。

次に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言時における活動につきましては、街かどデイハウス、高齢者居場所とともに活動の自粛を要請し、通いの場としての活動が中止されておりましたが、街かどデイハウスにつきましては、感染拡大状況が少し落ち着きを見せていた7月から、飲食の提供の中止やソーシャルディスタンスを確保するため利用者数を減らすなど感染防止対策を徹底しながら開所している状況でした。しかし、先日の府が発令したレッドステージへの移行を受け、再度、一時活動を見合わせている状況です。

また、高齢者居場所については、マスクの着用や換気や手洗いの徹底など感染対策を行いながら徐々に活動が再開されてきておりましたが、昨今の感染者の増加に伴い、活動自粛の傾向にある所が多くなっております。

 

【かじや 質問2】

次に「2.街かどデイハウスの在り方について」2回目の質問をします。

コロナ禍における、それぞれの活動に関しては、自粛や感染症対策の徹底を行うなど大変なご苦労をされているようです。

特に「高齢者居場所」に関しては、自主的な活動であるため、ある意味仕方のないことだとは思いますが、緊急事態宣言以降も活動を自粛されているところも少なくないとお聞きしています。

一方で「街かどデイハウス」は、補助金事業ということもあり、7月からこのレッドステージまでの間は、感染防止対策を徹底しながら開所をしていたということで、このコロナ禍においても一定「高齢者の通いの場」という役割を果たしていたのではないかと認識をしています。

そこで「街かどデイハウス」の役割について、改めて確認をしていきたいと思います。

本市では平成29年度に「高齢者の通いの場」として「高齢者居場所づくり事業」を開始し、今では地域の中に高齢者が活動できる多様な通いの場が複数ある状況です。繰り返しになりますが「街かどデイハウス」事業が発足した当時とは環境が大きく変わってきており、その役割や事業の在り方についても再定義をしていく必要があると考えます。

「街かどデイハウス」事業については、「第7期ひらかた高齢者保健福祉計画21」において「高齢者の通いの場の中心的な施設として位置づけ、地域における福祉拠点として、高齢者の孤立を防止し、人と人をつなげる専門的な役割を担う拠点となるよう、事業内容の検証と見直しを行っていきます」と記載されています。

現在、第8期の「ひらかた高齢者保健福祉計画21」の策定作業が進められていますが、この間、「街かどデイハウス」事業に関して、どのような検証が行われたのか、また、どのような課題があると認識しているのかお聞きします。

 

【山崎健康福祉部長 答弁2】

街かどデイハウスの利用者数は、過去3年間は、微増傾向にありました。しかし、おひとりの一月あたりの利用回数は平均4回となっており、お一人当たりの滞在時間につきましては、発足当時に比べ短くなっており、長い時間を過ごす居場所として通っておられる方よりも、特定の講座等を目的に通われる方が増えている傾向となっております。

また、街かどデイハウスのスタッフの高齢化やスタッフ不足などを含め、先々への不安があることなどが課題となっており、社会状況の変化にあわせた街かどデイハウスが担うべき役割については、代表者と定期的に意見交換を行い、現状における課題の整理を引き続き行っているところでございます。

 

【かじや 質問3】

役割の変化もさることながら、補助金に対する考え方についても時代とともに変化をしてきており、公益性や公平性、妥当性などの観点から、公費支出については適正な運用が求められています。

今後、「街かどデイハウス」と「高齢者居場所」など他の類似事業との役割を明確にし、公費支出のあり方についてもしっかりと検討し見直すべきではないでしょうか。

その一方で、利用者数が増加してきているという状況も含め、長きにわたり高齢者の通いの場としての役割を担っている「街かどデイハウス」は、介護予防など本市の高齢者施策の目的を達成する上において貴重な資源でもあります。

せっかくこれまで築き上げてきた「街かどデイハウス」というリソースを、市の高齢者施策に有効活用していくべきと考えますが、「街かどデイハウス」の今後の方向性についての見解をお聞きします。

 

【山崎健康福祉部長 答弁3】

街かどデイハウスにつきましては、長きにわたり高齢者の集いの場としての役割を担い、地域の中で介護予防につながる活動や交流の拠点として運営されてきましたことから、時代の変化にあわせた見直しも行ってきておりますが、今後、街かどデイハウスが今まで培ってきた知識や経験を活かした介護予防の取り組みの強化と通いの場の中心的な拠点として担える具体的な役割を示しながら、街かどデイハウス代表者と意見を交換し、街かどデイハウスが担うべき役割を検討してまいります。

 

【かじや 意見】

それぞれの「街かどデイハウス」では、工夫をこらした運営をされており、多くの高齢者の方が参加されています。

また、地域包括ケアシステムを構築するためには、地域の中で人とのつながりや生きがいを持って生活できる環境づくりが大切であることから、今後「街かどデイハウス」が担う役割はより重要なものになっていくと考えています。

地域の人たちが交流する目的で集まる場では、住民の自発性や自律性を損なわない、伸長するような支援が必要となりますが、「街かどデイハウス」を介護予防拠点や福祉拠点として強化していく方向性であるならば、活動を支援するという姿勢ではなく、市が目指すべき明確な役割を示したうえで業務委託という形で、その役割を担っていただく必要があるのではないでしょうか。そうすることで、団体の自由度が増し、自主財源の確保に向けた様々な自主事業の実施や、団体としての透明性の確保にもつながると考えます。

他の施策との整合を図るためにも、今後期待する役割や、適切な関与の在り方について、しっかりと検証するとともに、代表者のご意見もお聞きしながら、「街かどデイハウス」というリソースを最大限に活用できるような仕組みの再構築を図っていただくよう要望します。


3.窓口業務の在り方について

【かじや 質問1】

次に「3.窓口業務の在り方について」お聞きします。

窓口業務については、先の総務委員協議会において、「窓口業務の最適化について」で、本館1階の市民室や、別館2階の国民健康保険室などの業務について、窓口委託等の報告があったところです。

私は、原則、民間にできる業務は民間に任せ、AIやRPAなどのICTにできる業務はICTに任せ、職員はより付加価値の高い市民サービスに注力していくべきであると考えます。

しかし、民間委託やICT化を推進していくうえで、ユーザーである市民にとって、サービスの向上やコスト面などのメリットがなければ、本末転倒になりますので、今回、その点を確認させていただきたいと思います。

まず、この窓口委託については、そもそも、どのようなことを目的として、検討を進めてきたのかお聞きします。

 

【田中総合政策部長 答弁1】

3.窓口業務の在り方についてお答えします。

人口減少や行政需要の多様化などの社会情勢の変化に適切に対応し、市民サービスの向上や魅力ある施策の展開を行うためには、限られた人的資源を最大限活用することが必要であると考えています。

そうしたことから、「行政でしかできないことは行政」で、「民間にできることは民間で」の考え方のもと取り組みを進めているもので、窓口業務の委託につきましても、民間のもつ知識や経験、ノウハウを活用して、市民の利便性向上や業務のより一層の効率的・効果的な執行が期待できるものとして検討を進めているところです。

 

【かじや 質問2】

次に「3.窓口業務の在り方について」2回目の質問をします。

市民サービスの向上や効率的・効果的な執行が期待できるとのことですが、府内でいえば箕面市、豊中市、八尾市などが、北河内でいえば寝屋川市や守口市、大東市など既に窓口業務の委託を行っている市は多くあります。

そもそも、総務省が窓口委託に関する見解を出したのは、平成20年のことであり、当初であれば、大きな財政効果も期待でき、早期の業務改善にもつながっていたのではないかと思われますが、なぜ導入検討が今になったのか、かなり遅い印象を受けます。

この間、なぜ市は窓口業務の委託について検討を行っていなかったのか、疑問に思いますが、この点について見解をお聞きします。

 

【田中総合政策部長 答弁2】

これまでからも、民間委託の推進や指定管理者制度の活用など、民間活力の活用については、その折々で導入効果を検証しつつ随時導入を図ってまいりました。

窓口業務につきましても、上下水道局やパスポートセンター、また、今年度は、市民室のマイナンバーカードに関する窓口業務について委託を行うなど、導入を行ってきたところですが、一方で、転入・転出に伴う手続きや、医療や介護などの連続する複数の手続きについては、繁忙期には、それぞれの窓口で長時間お待ちいただくなど、市民にご負担をおかけしている状況となっておりました。

こうした現状を改善するため、部署を越えた対応がより図りやすくなるよう、窓口業務の最適化の一環として、RPAや窓口支援システムなどのICTの導入とともに検討を進めているもので、今後、委託する業務の範囲や費用対効果等について、更なる検討を進めてまいります。

 

【かじや 質問3】

委託の判断が遅きに失した感はありますが、部署を越えた対応がより図りやすくなるよう、窓口業務の最適化の一環として、委託化に向けてさらなる検討を進めていくとのことです。

窓口業務においては、これまでも様々な工夫をするなど業務改善に努めてこられたとは思いますが、「複数の窓口を周らなければならない」「それぞれの窓口で長時間にわたって待たなければならない」「同じような書類を何度も書かなければならない」などの点は、市民の方にとって大きな負担になっており、市としても十分に課題認識があったにも関わらず、組織の縦割りなどの弊害もあり、結果として、現在の体制では根本的に改善することが難しかったのではないでしょうか。

近年、最低賃金の上昇や消費増税等の影響もあることから、委託を行ったとしても、コストの面に限れば、思ったほどの大きなメリットが出ないとも言われています。

しかし、委託をすることによりこれまで改善できなかった課題が解消され、市民が実感できるサービスの向上が図られるのであれば、委託導入を進める価値があると考えますが、委託により市民サービスがどのように向上すると考えておられるのか見解をお聞きします。

また、委託によるデメリットとして懸念される「職員の専門性やノウハウの蓄積がなくなること」や、「個人情報の適正管理」「委託業者が対応できない事象などへの対応」などについても、しっかりと策を講じておく必要があると思いますが、併せて見解をお聞きします。

 

【田中総合政策部長 答弁3】

窓口業務の委託による効果としましては、民間事業者の持つ柔軟な勤務形態による人的ストックを活用し、「ワンストップ窓口」、「ツーストップ窓口」の実現により、市民が庁内の様々な窓口に出向くことなく必要な手続きを行えること、また、繁閑にあわせ窓口数をフレシキブルに増減させることにより、お待たせすることのない窓口の運営が期待できると考えております。

あわせて、封入封緘やシステム入力など、各窓口業務で共通するプロセスの集約化についても、窓口業務と合わせ組織を横断する運用がより図りやすい体制となり、業務の効率化も期待できるものと考えており、こうした効率的な業務の執行により生み出された人的資源についても、更なる市民サービスの向上に活用することができるものと考えております。

また、職員の専門性やノウハウの蓄積につきましても、職員間で共有できるよう、業務をマニュアルや詳細な業務フローにより可視化を図ること、個人情報の管理についても、国が示すガイドラインを踏まえ、業務内容に限定した端末へのアクセス制限を実施するなどの措置を講じていく考えです。

また、委託業者による対応や判断ができない場合につきましては、市が対応を引き継ぐことなど業務の仕様やマニュアルに記載するとともに、窓口業務の課題などを共有できるよう定期的な協議の場を設定するなど、市と委託事業者が連携して対応できる体制の構築を行ってまいります。

 

【かじや 質問4】

これまでの体制では、改善できなかった課題が委託によって解消し、市民サービスの向上につながるとのことは一定理解しました。

委託による効果は、市民サービスの向上だけでなく、職員の業務負担の軽減にもつながったとの話もお聞きします。先ほども言いましたが、職員は職員にしかできない、より付加価値のある業務に注力していただきたいと考えていますので「職員にしかできない業務」と「委託した方がいい業務」をしっかりと整理していただき、適正な役割分担を行っていただくようお願いします。

また、窓口業務の委託については、先行して導入している自治体が多数あるわけですから、懸念される課題への対応を含め、先行市の状況も参考にしながら、今後、検討を進めていただきたいと思います。

最後に、委託する窓口の規模についてですが、行政手続きのオンライン化の進展や、現在、検討が進められている「③街区」での市民窓口をはじめとする行政サービスなどの機能集約に伴い、将来的に、本庁舎に来庁される方が減少していくのは明らかです。

そこで、「③街区」については、どのような市民手続きが行われるのか、また、今後具体的な検討を進めていく中で、将来的な状況の変化について柔軟な対応がとれるような仕組みが必要と考えますが見解をお聞きします。

 

【田中総合政策部長 答弁4】

行政手続きのオンライン化への対応については、これまでから、RPAや窓口支援システムの導入など、ICTの活用を図ってまいりましたが、更なる市民サービスの向上や業務の効率化が期待できるものについては、委託後におきましても、その活用を図っていくものです。

また、そうした技術の導入や「③街区」での窓口の設置により、本庁舎に来庁される方が少なくなる場合については、本庁舎での窓口機能を縮小するなど、状況に応じて体制等の見直しを行えるよう委託業務との整合を図っていく考えです。

 

【かじや 意見】

将来的に市役所の窓口業務のあり方が、大きく変わっていくことが予想される中にあって、目の前の課題解決と、未来を見据えた施策の両立を図っていくことが求められています。

ICTを積極的に活用して、庁舎の窓口に来なくても手続きができるような仕組みを構築していくことは当然ですが、その過渡期においても、できる限り利便性の向上を図っていくよう努めるべきであり、窓口において来庁された方にできるだけストレスを掛けない取り組みは重要です。また同時に、今後の変化に対応できるような、柔軟な体制にしておく必要もあります。

これまで行政だけでは解決できなかった課題も、民間のノウハウを活用することで解決できるのであれば、積極的な導入を図っていくべきです。

今後も、オンライン化や「③街区」の窓口との整合性を図っていくとともに、課題の解決に向けて、多様な主体と連携しながら、窓口業務のサービス向上に努めていただくよう要望します。


4.雨水ポンプ場の民間委託について

【かじや 質問1】

次に「4.雨水ポンプ場の民間委託について」お聞きします。

先日の本会議で議決された「令和2年度 下水道事業会計補正予算」の中には、さだポンプ場の維持管理等委託が含まれているとのことでした。

また、維持管理業務を民間委託する目的として「行政改革実施プランの取り組みを踏まえ、民間にできることは民間に委ねるなど、より効果的な行政運営をめざす」との答弁がありましたが、民間委託を行うに当たっては、先の質問の繰り返しになりますが、市民にとってどのようなメリットがあるのかがポイントとなります。

そこでまず、民間委託を行うに当たって、雨水ポンプ場の現状について確認したいと思います。現在、本市の雨水ポンプ場は、雨天時の排水作業等は職員により運営をされていますが、雨水ポンプ場は何か所あるのか、またポンプ場の現状や職員出動状況、人員配置についてお聞きします。

 

【白石上下水道事業部長 答弁1】

本市では8カ所の雨水ポンプ場を直営で排水運転等の対応を行っています。

ポンプ場の多くは供用開始から40年以上経過し、最も経過年数が長いポンプ場は57年となっています。また、令和元年度における職員の各ポンプ場への出動状況は、夜間、休日において、総数で130回となっています。

人員配置につきましては、ポンプ場1カ所に対して交代も含めて4人配置とし、技能労務職員の定数は32人となっています。

 

【かじや 質問2】

次に「4.雨水ポンプ場の民間委託について」2回目の質問をします。

ポンプ場の現状をお聞きしますと、施設の老朽化と職員の適正配置に課題があると理解しました。

平成31年度までの「新行政改革実施プラン」には、ポンプ場の機器自動化や遠方監視設備の導入に合わせて、技能労務職員の配置基準の見直しを進めると示されていましたが、実際には、機器自動化や遠方監視設備の導入とは関係なく、ポンプ場の民間委託を進めることになったと思いますが、その理由についてお聞きします。

 

【白石上下水道事業部長 答弁2】

技能労務職員の適正配置を考える中で、ポンプ場の維持管理業務等について、民間にできることは民間に委ねるなどの工夫を行い、配置基準の見直しも含めてこれまで検討を進めてまいりました。

その結果、ポンプ場の運転業務や維持管理業務について、一部民間委託することで配置人員を削減できることによる効果額も見込まれることなどが確認できたことから、行政改革の具体化として民間委託を進めることとしました。

 

【かじや 質問3】

一部民間委託することで、配置人員を削減できることによる効果額が見込まれるとのことですが、具体的にどのような効果を確認しているのかお聞きします。

 

【白石上下水道事業部長 答弁3】

民営化に取り組むに際してのメリットは効果額と考えています。

効果額の確認は、下水道事業に携わっている技能労務職員の平均人件費を根拠数値とし、1ポンプ場あたり4人での人件費を算出し、複数業者からの見積もりによる委託費を取得して、1ポンプ場当たりの人件費と委託費を比較することで効果額を確認しました。

 

【かじや 質問4】

人件費の面において効果があるとのことですが、今回のさだポンプ場の委託については、同じく先日の「令和2年度 下水道事業会計補正予算」についての質疑において、令和3年度から令和5年度までの3年間の委託期間で、委託業務の効果検証を行うとの答弁がありました。

そこで、その検証ポイントと、今後のポンプ場の運営課題やその方向性についてお聞きします。

 

【白石上下水道事業部長 答弁4】

検証するポイントとしては、ポンプ場の日常管理業務の内容や、大雨警報等発令時のポンプ運転業務が適切に行えるか、またポンプ場の委託に伴い、技能労務職員が減員となる中で、突発事象や要望対応が市民サービスの低下を招くことが無いように従前どおり行えるかなどです。

また、現在策定中の下水道整備基本計画に基づき中長期的な視野のもとで老朽化した設備の点検・調査・診断・設計・工事等のサイクルを確立することが課題となります。

最後に今後のポンプ場運営の方向性については、効果検証の結果を踏まえて効率的・効果的なポンプ場運営に取り組みます。

 

【かじや 意見】

今後の下水道事業については、老朽化したインフラの維持管理や更新について大きな課題がありますので、委託を行うことにより、コスト面の効果があるということであれば、より効果的・効率的な管理手法のひとつとして民間委託を進めていく意味があると思います。

その一方で、雨水ポンプ場の民間委託は、市として初めての試みでもありますので、今後、災害時の対応や安全面、職員の適正配置などの課題について、心配な面もあります。

これらの課題については、この3年間の委託期間でしっかりと検証を行い、より効果的・効率的な管理運営に向けての取り組みを進めていただくよう要望します。


5.職員団体との交渉について

【かじや 質問1】

最後に「5.職員団体との交渉について」お聞きします。

前の質問で「雨水ポンプ場の民間委託」についてお聞きしましたが、この件で本市が職員団体と交渉を行っているとお聞きしました。

そこでまず、この間の交渉経過についてお聞きしまして、1回目の質問を終わります。

 

【白石上下水道事業部長 答弁1】

次に、職員団体との交渉について、お答えします。

雨水ポンプ場の運転及び維持管理等業務の一部民間委託に関しましては、2つある職員団体に対して、それぞれ平成30年度末に申し入れを行いました。

その後、各職員団体と令和元年度には2回、令和2年度には3回、計5回ずつ、意見交換、交渉等を行ったものでございます。

その結果、令和3年4月から一部委託を実施することにつきましては、職員団体に通知を行い、今後は、必要に応じて交渉等を行っていくものでございます。

 

【かじや 質問2】

最後に「5.職員団体との交渉について」2回目の質問をします。

先ほどの答弁では、雨水ポンプ場の一部民間委託に関し、職員団体と意見交換や交渉などをされているとのことでした。

私の認識では、市の業務の民間委託などを推進することは、行財政改革の取り組みの一つであり、地方公共団体の「管理運営事項」に該当すると理解をしています。

「管理運営事項」については「地方公務員法」第55条第3項と、「地方公営企業等の労働関係に関する法律」第7条但し書きに「交渉の対象とすることができない」と規定されています。

そこで改めて確認の意味でお聞きしますが、この「管理運営事項」とは、どういったものなのか、また、法律上「管理運営事項は交渉の対象とすることができない」とされている理由について、お聞きします。

 

【藤原総務部長 答弁2】

管理運営事項については、具体的には、行政の企画・立案や予算の編成又はその執行、あるいは職員の定数にかかわることや機構、公租公課の賦課徴収に関することなどが相当するものであると考えています。

また、この管理運営事項は、判例等に示されておりますとおり、住民の福祉の向上のために行われる地方公共団体の機関本来の職務又は権限として、法令、条例、規則、規程及び地方公共団体の議会の議決に基づき、その機関が自らの判断と責任において執行されるべき事項であることから、交渉の対象外とされているものと認識しております。

 

【かじや 質問3】

今の答弁をお聞きしている限りでは、市の企画・立案や予算の編成又はその執行は「管理運営事項」に該当し、例えば、行財政改革プランなどに示されている民間委託や民営化、指定管理者制度の推進などの行革課題についても、そもそも交渉の対象にすることができないということだと理解しました。

先ほどのポンプ場の民間委託についての答弁では、職員団体と交渉を行った経過もあるとのことでしたが、「管理運営事項」であるにもかかわらず、交渉を行ってきた理由について、市としてどのような整理をされているのかお聞きします。

 

【白石上下水道事業部長 答弁3】

職員団体との交渉につきましては、管理運営事項であったとしても、勤務労働条件に影響を及ぼす場合は、行う必要があるものと考えております。

また、この間の交渉等につきましては、委託化や配置基準の見直しに加え、今後の公舎の存廃なども含まれており、公舎に居住している職員につきましては、勤務労働条件の変更にあたるため、行ってきたものです。

 

【かじや 質問4】

「管理運営事項の処理によって、影響を受ける勤務条件に限り交渉の対象になる」との解釈があることは理解していますが、例えば、職員団体が発行しているビラを見ますと「市立保育所の新たな民営化の提案は行わないことを確認しました」などの記載があり、「管理運営事項」そのものに係る部分についても交渉を行っているように見受けられます。

当然、市としては勤務条件に限って一定の整理をしたうえで交渉されているものと思いますが、これまで市の施策を進める上で、職員団体との交渉によって、大きく方針や実施時期等に影響を与えるようなケースはなかったのか、また今後も影響を受けることがないのか、確認の意味でお聞きします。

 

【藤原総務部長 答弁4】

例えば、生涯学習市民センターと図書館の複合施設に係る指定管理者制度の導入、公立保育所の民営化、ゴミ収集業務の委託拡大、穂谷川清掃工場における第3プラントの運転管理業務の委託化につきましては、それぞれ管理運営事項ではあるものの、委託化等に伴い、勤務形態や業務内容など職員の勤務労働条件に影響がある場合は、その部分に関し、職員団体と交渉を行っているものです。そのことに関しては、交渉の到達点を尊重するものでありますが、管理運営事項そのものについて、変更となったケースはないものと認識しています。

今後におきましても、このような姿勢に変わりはありません。

 

【かじや 意見】

法律を遵守した運用をされているということで、当然の答弁だとは思いますが、念のため、最後に要望させていただきます。

今後、雨水ポンプ場の民間委託をはじめ、窓口業務の適正化や公立保育所の民営化などの様々な行革課題を進めていくと思いますが、交渉に当たっては、影響を受ける勤務条件に限定していただくことはもちろん、交渉によって「管理運営事項」そのものに影響を受けることのないよう、交渉事項については、引き続き法律に則った対応をしていただくよう、改めて要望しまして、私の質問を終わります。