令和2年決算特別委員会 質疑


令和2年決算特別委員会(令和2年10月1日、6日、8日)で行った質疑の記録を掲載します。

 

(Q1)普通交付税と臨時財政対策債について

(Q2)市民相談事業について

(Q3)多重債務等相談事業補助事業について

(Q4)人権ケースワーク事業について

(Q5)共済会委託料について

(Q6)行政財産使用料について

(Q7)福祉サービス利用援助事業補助金について

(Q8)コミュニティソーシャルワーカー配置事業について

(Q9)新名神高速道路等整備促進事業について

(Q10)成年後見制度利用支援事業経費(介護保険特別会計)について

(Q11)個人未収金(病院事業会計)について

(Q12)感染症外来医療機関設備整備補助金(病院事業会計)について

 

 

※これは正式な議事録ではございません。正式な議事録は、数か月後に市役所や図書館、市議会のホームページで閲覧することができます。


(Q1)普通交付税と臨時財政対策債について

 

【かじや 質問1】

まず、普通交付税と臨時財政対策債についてお聞きします。

臨時財政対策債は普通交付税の代わりとなる財源である一方、市の責任と判断で発行している赤字地方債とも言え、その動向には注意を払っており、過去に何度か質疑をいたしましたが、今回も何点か確認をさせていただきたいと思います。

令和元年度決算では、臨時財政対策債の発行額が、約17億円減少したとのことですが、この要因についてお聞きします。

 

【中川財政課長 答弁1】

令和元年度決算では、臨時財政対策債につきましては16億6,700万円の減となっております。この主な要因としましては、国が示す令和元年度の地方財政計画において、税収の増を背景として臨時財政対策債について対前年度比18.3パーセントの減が示されており、これにより地方全体で臨時財政対策債発行可能額が減少していることによるものでございます。

 

【かじや 質問2】

それでは、普通交付税と臨時財政対策債の合計に占める割合と、市債残高に占める臨時財政対策債の割合について、過去5年の状況をお聞きします。

 

【中川財政課長 答弁2】

まず、普通交付税と臨時財政対策債の合計に占める臨時財政対策債の割合でございますが、平成27年度が37.4パーセント、28年度が35.3パーセント、29年度及び30年度が37.8パーセント、令和元年度が31.8パーセントとなっており、毎年度の国の税収見込みにより変動がございます。

次に、市債残高に占める臨時財政対策債の割合でございますが、平成27年度が57.1パーセント、28年度が60パーセント、29年度が61.8パーセント、30年度及び令和元年度が63.2パーセントとなっており、市債残高に占める臨時財政対策債の割合は年々増加傾向にあります。

 

【かじや 質問3】

臨時財政対策債の残高が年々増加しているとのことですが、臨時財政対策債についてはその公債費に対し、後年度に国による交付税措置が行われることになっています。

そこで、過去5年間における臨時財政対策債の公債費と、公債費に対する交付税措置の状況について、お聞きをします。

 

【中川財政課長 答弁3】

臨時財政対策債に対する交付税措置の状況でございますが、平成27年度が公債費42億7,700万円に対し、交付税措置が33億4,700万円、28年度が公債費36億600万円に対し、交付税措置が37億3,300万円、29年度が公債費46億8,600万円に対し、交付税措置が41億3,400万円、30年度が公債費42億4,900万円に対し、交付税措置が45億1,100万円、令和元年度が公債費46億3,800万円に対し、交付税措置が47億3,900万円となっており、概ね交付税措置が適切になされていると考えております。

なお、平成27年度は、公債費が交付税措置を約9億円上回っておりますが、これは将来負担軽減のため市債の繰り上げ償還を実施したことによるものでございます。

 

【かじや 質問4】

 臨時財政対策債に対する交付税措置が適切に行われているとのことですが、これは理論上、基準財政需要額に元利償還費用が含まれているというだけで、実際に交付金額ベースで上乗せされているかは不透明であり、注意が必要です。

さて、令和元年度決算では臨時財政対策債の発行額は減少していますが、市債残高全体に占める臨時財政対策債の割合は増加しているとのことです。

それでは、今後の臨時財政対策債の残高の見通しはどのようになっているのか、市債残高全体に対する臨時財政対策債の割合と併せてお聞きします。

また、概ね1000億円程度としている市債残高目標を既に超えており、将来世代の負担をできるだけ軽減するためには、残高を抑えていく必要があると思いますが、財政的にはどのように対応していくお考えなのか、見解をお聞きします。

 

【中川財政課長 答弁4】

臨時財政対策債につきましては、本年2月にお示しした長期財政の見通し上は、現行制度が継続するものとし、期間を通じた増加を想定しており、見通しの最終年度である令和13年度では約739億円を見込んでおります。また、市債残高に対する割合につきましては、その他の市債残高の状況により変動いたしますが、令和13年度には令和元年度決算の割合を上回る63.9パーセントになることが見込まれます。

また、市債残高の抑制につきましては、後年度における過度な公債費の増加を招くことがないよう、毎年度の収支状況を踏まえた上で、市債の繰り上げ償還や借り入れ抑制とともに、公債費に留意した計画的な投資的事業の実施に取り組んでいく考えでございますが、どの市債を抑制するかの点につきましては、あくまで市債全体において、交付税措置が無いなど財政的に不利な市債を中心に抑制を図っていく考えでございます。

 

【かじや 意見】

最後に要望します。本市の長期財政の見通しでは、概ね1,000億円程度という市債残高目標を掲げていますが、将来的には1200億円程度まで膨らむとの試算がされています。特に臨時財政対策債については市債残高の約6割を占める状況であり、市債残高の増加要因となっています。

そのような中、先日、令和3年度の地方財政の見通しとして、新型コロナウイルス感染症の影響による地方税収の落ち込みに伴い、その穴埋めとして臨時財政対策債が地方全体で3兆7,000億円増加するという報道がありました。

このように臨時財政対策債の動向は、経済情勢の変化や税収の変動によって左右され、将来的に不確定な要素が大きく、市でコントロールしようと思えば、独自で借入抑制を行う必要があります。

また、今後、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、枚方市駅前再整備事業や京阪本線連続立体交差事業などの大型プロジェクト、公共施設の老朽化による維持・更新費用等に多額の財源が必要となる中、臨時財政対策債がさらに増加することになると、市債残高が予想以上に膨らむのではないかと大いに危惧されるところです。

新型コロナウイルスによる財政への影響が懸念される中、将来世代の負担軽減のためにも、今後、臨時財政対策債も含めて市債残高の抑制に努めていく必要があります。

そのためには、自主財源の確保や事業の大胆な見直しを含めた行財政改革にしっかりと取り組んでいただくとともに、臨時財政対策債という借金ではなく、交付税による財源措置が適切に行われるよう、今後も国に対し強く要望していただくようお願いします。


(Q2)市民相談事業について

 

【かじや 質問1】

次に、各種相談事業について、順次お聞きしたいと思います。本市では、様々な相談事業を実施していますが、その中には部や課をまたいで目的や対象が重複している類似の事業が見受けられます。

複数の窓口があることは、一見、便利に思えますが、市民の方からはどこの窓口に行けばいいかわからないといったお声や、効果的、効率的な事業執行につながっているのかといったご意見もいただいています。そこで、効果検証を行う意味で、いくつかの相談事業についてお聞きしたいと思います。

まず、決算概要説明書75ページの市民相談及び広聴活動に要した経費のうち、1.の市民相談経費についてお聞きします。

(1)法律相談委託料381万4,720円の内訳について、また、相談内容の状況及びその傾向についてお聞かせください。

 

【永田広聴相談課長 答弁1】

令和元年度の法律相談委託料の内訳としましては、「法律の専門相談」を担当していただく弁護士および認定司法書士への委託料で、相談内容としましては、「専門相談」では、主なものとして、法律相談が1,282件、交通事故相談、登記相談がともに98件など、合計で1,593件となっております。

また、専門相談のほか、再任用の相談担当職員による「生活相談」では、主なものとして、相続に関するものが1,151件、家庭問題が686件、離婚に関するものが453件、不動産に関するものが430件など、合計で5,868件となっております。

相談内容の傾向としましては、5年前と比較しますと、離婚、金銭貸借が減少傾向にある一方、高齢化の進展や高齢単身世帯の増加などを背景に、不動産や近隣問題、心の健康等に関する相談が増加しております。

 

【かじや 質問2】

それでは「生活相談」についてお聞きします。

再任用の相談担当職員を配置されているとのことですが、市民相談事業の事務事業実績測定調書を見ますと、これまで4人だった再任用職員が昨年度から3人に減っています。年間約6000件の「生活相談」を、主に3人の職員で対応されていることになります。

高齢化の進展などで相談内容は多様化してきており、相談担当職員にも一定の専門知識や相談スキルが求められると思いますが、職員の質をどのように担保されているのか、また、専門性の高い相談の場合、具体的にどのように対応しているのか、お聞きします。

 

【永田広聴相談課長 答弁2】

相談担当職員は、行政経験が豊富な部長・次長経験者を配置し、専門知識を持つ担当副主幹と随時、情報共有を図ることにより、ノウハウの継承とスキルアップに努めております。また、大阪弁護士会や大阪府警主催の研修を受講するなど、必要な法知識についても更新をおこなっております。

相談担当職員が生活相談に応じる過程で、法律などの専門性の高い相談が必要となった場合には、事前に必要な助言を行ったうえで法律相談などの予約をお取りするほか、労働問題などであれば大阪府総合労働事務所等の団体の相談窓口をご紹介するなど、相談者に寄り添った対応を心がけております。

なお、相談担当職員の人数につきましては、課全体で相談対応ができるよう効率的な観点も踏まえて、令和元年度に体制の見直しを行ったものでございます。

 

【かじや 意見】

広聴相談課の市民相談事業の現状については、概ね理解しました。

事務概要の65ページを見ますと、「専門相談」と「生活相談」において、幅広いジャンルの相談に対応していることが伺えます。

また、経験のある職員と専門家が連携することで、専門的な問題についても解決につなげるなど、行政の相談業務の中で、一定の役割を果たしていることがわかりました。


(Q3)多重債務等相談事業補助事業について

 

【かじや 質問1】

それでは次に、決算概要説明書160ページの「多重債務等相談事業費について」お聞きします。

この事業につきましては、平成25年の決算特別委員会でも質疑をしましたが、当時から相談件数が減少傾向にあることから、廃止も含めた見直しを要望していました。

そこで、改めて現状についてお聞きしたいと思います。令和元年度の決算として130万円の補助金を交付していますが、まず、補助金を交付している理由と、令和元年度の相談体制、過去3年間の相談件数について、お聞きします。

 

【山口市民活動課長 答弁1】

多重債務等相談事業については、北河内地域における勤労者の福祉活動を推進している、北河内地域労働者福祉協議会が、債務整理に関する相談や、職場でのトラブル等の労働相談を実施しており、本市としましては、勤労者福祉の向上を図る支援策として、団体が実施している事業に対して補助金を交付しています。

令和元年度の相談事業は、毎週月・木曜日の午前10時から午後4時までで、メセナひらかた会館にある相談スペースにおいて1名の相談員が対応しています。

また、相談件数につきましては、平成29年度が73件、平成30年度が78件、令和元年度が50件となっております。

 

【かじや 質問2】

昨年度の相談件数が50件ということですが、以前の答弁を見ますと平成20年度には629件あったとのことですから、この10年で、10分の1以下にまで減少していることが分かります。

相談日が週2回ということですので、平均すると相談日の2日に1件しか、相談がなかったということになります。

債務に関する相談については、広聴相談課が実施している市民相談でも対応しており、先ほどの答弁でもありましたが、市の窓口においても金銭貸借の相談は減少傾向にあるとのことです。

当該事業における相談件数が非常に少ない状況や、市の窓口をはじめ他の公的機関、専門家の団体においても類似の相談を実施している状況を踏まえると、事業効果の面において課題があると思いますし、特定の団体の事業にのみ補助金を交付していることについても、合理的な説明がつかないのではないでしょうか。

今後、補助金交付の廃止を含め、事業の見直しが必要であると考えますが、市の見解をお聞きします。

 

【山口市民活動課長 答弁2】

多重債務等相談事業につきましては、近年の相談件数等を踏まえ、令和2年度より相談日を従来の週2回から週1回に変更し、補助金を50万円減額して、80万円としています。

その一方で、同様の相談窓口が、大阪府等の公的機関により設置されているほか、弁護士、司法書士による無料相談も実施されている状況がございます。また、相談実績等を踏まえた補助事業の効果においても課題があると認識しており、今後、事業の方向性について整理が必要であると考えております。

 

【かじや 意見】

改正貸金業法の完全施行から10年が経過し、民間の債務整理も進んでいることから、ニーズの減少は明らかであり、また広聴相談課の窓口でも十分に対応可能と考えられることから、この補助事業の役割は既に終わっているのではないでしょうか。

市も課題を認識し、事業の方向性について整理が必要との答弁がありましたので、改めて事業効果を検証し、類似事業への整理・統合の可能性を含めて、廃止に向けた見直しを行っていただくよう要望します。


(Q4)人権ケースワーク事業について

 

【かじや 質問1】

次に決算概要説明書 90ページ、人権施策推進事業費のうち、4.人権まちづくり協会経費のうち、(1)人権ケースワーク事業についてお聞きします。

人権ケースワーク事業委託料として、652万8,000円が支出されていますが、この事業は、特定非営利活動法人 枚方人権まちづくり協会に委託し、「人権なんでも相談」として市民からの人権に関する相談を受け付けているとお聞きしています。

そこで、まず、この事業における相談件数の内訳や相談者の実数など、令和元年度の実績についてお聞きします。また、受付時間や相談体制についても併せてお聞きします。

 

【牧人権政策室課長 答弁1】

人権ケースワーク事業の実績としましては、相談件数が延べ324件であり、そのうち、新規相談が77件、令和元年度より前の相談者から再度の相談を受けたものが12件、同一の相談者から2回以上連絡があり「継続相談」としたものが235件となっています。また、相談者の実数としましては89人でした。

相談の受付時間につきましては、月曜日から金曜日の平日9時から17時30分で、第1水曜日・第4木曜日のみ12時45分から17時30分としています。専門の相談員を1名配置しており、現在は、3名の相談員が曜日ごとにローテーションを組んで相談に対応しています。

 

【かじや 質問2】

ただ今、相談件数等、令和元年度における相談業務の実績について答弁いただきましたが、相談件数が324件、また、相談者数が89人とのことでした。

同じ相談者から複数回の相談があることで、相談件数と相談者数に差が生じることは理解しますが、延べの件数と実人数が大きく乖離しており、先ほどの説明でも、新規、再開、継続の内訳において「継続」の件数が多いとのことで、事務概要などで公表されている件数だけでは十分に実態がつかめません。

そこで「継続」の中には、長期化するケースもあるとお聞きしていますが、それはどういった内容のものであったのか、また、令和元年度において、同じ相談者からの連絡が多かったケースにおける相談件数についてもお聞かせください。

 

【牧人権政策室課長 答弁2】

人権なんでも相談の窓口ということで、明らかな人権侵害事案だけでなく、地域や職場、家族の人間関係に関わるトラブルや困りごとのほかさまざまな相談が寄せられており、その相談内容を整理し、具体的な問題解決の方策が想定される場合はその関係機関につないでおります。

一方、相談が長期化するケースでは、トラブル等に応じた問題解決や福祉制度等につながることが難しい場合や、すでに活用できる福祉制度等の支援を受けているものの不安な気持ちが強いことから心穏やかに過ごすことができていない場合、あるいは「ほかの相談窓口にも相談したけれども納得がいかない」といって相談してこられた場合などがあります。

その中には、ほぼ毎日相談をいただいている事例もあったと把握しております。

 

【かじや 質問3】

継続性のある相談事例のひとつとして、「ほぼ毎日相談がある」とのことでしたが、「ほぼ毎日」ということは、同じ相談者から年間で約200件の相談があったと推測されます。昨年度の延べ相談件数が324件ということですので、この継続相談を除く延べ件数は100件程度ということになります。

先程、相談を受け付ける体制として、平日の9時から17時30分を基本に相談員を常駐させているとお聞きしましたが、先ほどのケースを除けば2日に1件の相談しかなく、この状況では毎日1人の相談員を常駐させる必要があるのか疑問です。

それでは、この相談事業の委託料652万8,000円については、枚方人権まちづくり協会から示された見積書に基づいているとお聞きしていますが、この金額はどのように積算されているのかお聞きします。

 

【牧人権政策室課長 答弁3】

人権ケースワーク事業に係る委託料につきましては、枚方人権まちづくり協会からの見積の内容を踏まえて積算しており、令和元年度は、相談員に係る経費として約365万円、その他の経費が約288万円となっています。

 

【かじや 質問4】

委託料の内訳は、相談員の人件費と「その他の経費」ということですが、「その他の経費」の大部分は、団体を運営するための管理費としての職員人件費とお聞きしています。委託料という名目ではありますが、裏を返せば団体への運営補助金という一面もあるのではないかと思います。

先ほど質疑しましたが、市では広聴相談課の市民相談をはじめとして、様々な相談窓口において市民からの相談に対応している状況の中、重複あるいは類似しているものについては、一定、整理をする必要があると考えます。

枚方人権まちづくり協会の人権相談の内容は、生活での困りごとや、職場や地域における人間関係の悩みなどが多いとのことですが、こうした相談であれば、広聴相談課の相談事業でも十分に対応できるのではないでしょうか。

枚方人権まちづくり協会の相談事業については、平成29年度に実施された「外郭団体等経営状況等点検・評価」において、評価員から市の他事業との重複・類似性が指摘されていますが、令和元年度においても、相談窓口の統合などの抜本的な見直しは行われていませんが、枚方人権まちづくり協会に委託して相談事業を実施する必要性や、その意義についてどのように考えているのか見解をお聞きします。

 

【牧人権政策室課長 答弁4】

枚方人権まちづくり協会で実施する「人権なんでも相談」では、人権相談に係る研修等を受講した専門の相談員を配置しており、相談事案に応じた適切な助言や情報提供により、相談者が自らの判断で解決できるよう支援しています。

また、枚方人権まちづくり協会では、人権相談に対応する相談員のほか、福祉の相談に対応するコミュニティソーシャルワーカー、就労支援の相談員、進路選択支援の相談員と、各分野を専門とする相談員がそれぞれ配置されており、複合的な問題を抱えるケースにも横断的に対応できる「ワンストップ窓口」機能も備えています。昨年度における相談においても、「人権なんでも相談」で相談を受けた後に、就労相談などの他の相談に繋いだケースが6件ありました。

なお、相談に対応する中で、相談者の意向等を確認したうえで、法務局の人権相談窓口や市の法律相談窓口へ繋いだりもしています。

昨今においては、人権に係る課題は、多様化・深刻化してきており、そうした中、複合的な問題を抱える人からの様々な相談に対応することが求められます。

様々な問題を抱える方などにとっては、ためらうことなく、自分にとって相談しやすい窓口で相談できることが、相談者への支援として必要であることから、枚方人権まちづくり協会に委託して事業を実施する意義があると考えております。

 

【かじや 質問5】

これまで、広聴相談課、市民活動課、人権政策室とそれぞれに実施されている相談事業についてお聞きしてきましたが、各相談事業の目的や対象者、相談内容については、明確に区別されることはなく、重複や類似する部分が多いと改めて認識しました。

特に、枚方人権まちづくり協会が実施する「人権なんでも相談」は、本来の相談の対象とする人権侵害事象に係るものより「悩みごと相談」のようなケースが多く、何度も言いますが、広聴相談課でも十分に対応できると考えます。

また、人権相談の窓口として、広聴相談課に法務大臣から委嘱された人権擁護委員による相談窓口や、法務省の相談窓口など、他にも受け皿がある中で、枚方人権まちづくり協会に相談事業を委託する必要性や意義は乏しいと考えます。

そこで、これまで質疑してきた3つの類似事業を所管する市長公室長にお聞きしますが、類似する相談事業を整理・統合したり、より専門分野に特化するなど、事業の「選択と集中」図ることで、より効果的、効率的な相談体制を構築していくべきと考えますが、見解をお聞きします。

 

【乾口市長公室長 答弁5】

人権ケースワーク事業については、「外郭団体等経営状況等点検・評価」において、他の相談事業との類似性を含め、効率的・効果的な事業実施となるよう指摘をいただいたところであり、この間、相談受付時間の変更などの見直しを行ったところでございます。

今後も引き続き、さらなる事業周知や相談しやすい窓口となるよう工夫を行うとともに、必要に応じて見直しを行い、市民からの様々な相談に迅速かつ適切に対応できるよう取り組んでまいります。

 

【かじや 質問6】

外部の評価員からは「市の事業との間で効果的な調整・分担ができているか検証するべき」「当該団体以外に受け皿が存在しないわけでなく、コンペやプロポーザル方式等により事業者を募集することを検討すべき」などの意見があったとお聞きしていますが、昨年度において、これらの意見をしっかりと検討されたのでしょうか。

枚方人権まちづくり協会のこれまでの実績については一定評価しますが、特定の団体ありきの姿勢は、事業そのもののあり方を歪めることになります。

今回、指摘した事業につきましては、改めて効果検証を行い、見直しを行っていただきますよう要望します。

今回の決算審査において、相談という切り口で市長公室に関する類似事業をいくつか取り上げましたが、時間の都合もあり一部の事業だけになりました。

市全体で見れば対象や目的が類似している相談事業はまだたくさんありますし、相談事業以外にも重複・類似の事業というのは少なくないと認識しています。

しかし、これまでの答弁をお聞きしていますと、それぞれの所管課では、各事業個別の効果検証や見直しはできても、市全体の最適化を意識して、事業の見直しや改善を行うには限界があると感じています。

国においても「行政の縦割りの打破」に向け、取り組みを進めていこうとする中、セクションを超えた類似性の整理についてどのように考えているのか、市の見解を総合政策部長にお聞きします。

 

【田中総合政策部長 答弁6】

本市が実施する事業については、効率的・効果的に実施されているか、社会状況や市民ニーズに即したものとなっているかなど、不断の検証が必要と考えており、それぞれの部署において、必要な見直しや改善を行ない、また、全庁的な取り組みとして、事務事業・補助金の見直しや外郭団体等の点検・評価など、この間、新行政改革実施プランに基づく取り組みを進めてきたところです。

今後におきましても、こうした考えのもと、事業の類似性の整理の観点も含め、効率的効果的な執行となっているか、指標に基づく効果を測定するなど、全庁横断的に取り組んでまいります。

 

【かじや 意見】

所管課にお聞きすると、必ずその事業の効果や必要性を訴えられますが、市の事業全体を見渡した時に、最適化が図られているのかと考えると、大いに疑問を感じます。

行政の縦割りの弊害もあり、所管課だけで類似事業の調整、分担を行うのはなかなか難しいと思いますので、総合政策部を中心として全庁横断的に、事業の類似性の整理の観点も含め、しっかりと効果測定をしていただき、事業の見直しや改善に取り組んでいただくよう要望します。


(Q5)共済会委託料について

 

【かじや 質問1】

次に、決算概要説明書の70ページの職員福利厚生費についてお聞きします。

 (1)共済会委託料として3323万2734円が支出されていますが、枚方市職員共済会は、常勤職員及びその4分の3以上の勤務時間である職員を会員として構成されており、職員の福利厚生事業を担っているとお聞きしています。

そこでまず、この委託料の使途についてお聞きします。

 

【木邨職員課長 答弁1】

共済会委託料につきましては、本市職員の福利厚生を目的とした本市職員共済会への委託費として支出しているものです。

共済会では、この委託料を財源として各事業を実施しており、その内容といたしましては、宿泊や余暇活動を利用できる会員制福利厚生事業、家族で参加できるツアーや登録クラブへの助成金といった文化体育事業、職員会館の清掃業務等の管理運営費などとなっております。

 

【かじや 質問2】

次に、令和元年度事務概要の117ページに(3)福利厚生の①加入者数及び負担金のところで枚方市職員共済会の事業主負担金総額が2463万3000円、個人負担金総額が4551万5000円と記載されていますが、それぞれの負担金割合についてお聞きします。

 

【木邨職員課長 答弁2】

本市職員共済会に対し、本市の事業主負担につきましては、地方公務員法第42条の規定に基づき実施しています職員の厚生制度に係る本市の負担金であり、職員と事業主である本市の負担割合につきましては、職員は給料又は報酬の額の1,000分の4、本市はその1000分の2.234と定めています。

 

【かじや 意見】

職員共済会に対して一般会計から約3300万円もの委託料が支出されており、それを財源として職員の福利厚生事業が実施されていることから、市は職員全体の福利厚生について事業者としての責務を果たしていることは理解できました。

委託に関わる詳細な内訳などについて、さらにお聞きしたいことはありますが、時間の関係上、別の機会に譲りたいと思います。


(Q6)行政財産使用料について

 

【かじや 質問1】

次に行政財産使用料についてお聞きします。

決算概要説明書の42ページに、総務使用料4.行政財産使用料として2035万7789円が歳入として計上されています。

この行政財産使用料には、本市の2つの職員団体が職員会館の一部を、当該団体の事務所として目的外使用していることに伴う使用料収入が含まれているとのことです。また、その使用料は減免されているとお聞きしています。

そこで、事務所として使用を許可している床面積、条例における使用料の算定金額、減免の理由、減免率、減免後の使用料について、それぞれお聞きします。

 

【木邨職員課長 答弁1】

職員会館の延床面積1,485.42㎡のうち組合事務所として使用許可を行っている部分の面積は281.77㎡となっており、職員会館の使用料につきましては、枚方市行政財産使用料条例第3条に基づき算定を行っているところです。令和元年度における2つの職員団体の事務所使用料の算定では年額合計で204万3,390円となります。

この事務所使用料に対しまして、枚方市行政財産使用料条例に基づき、職員団体の活動目的のひとつが、職員の福利厚生の向上にあたることなどを考慮し、5割の減額措置を行っており、減額措置後の使用料は102万1,695円となります。

 

【かじや 質問2】

職員団体の事務所使用料については、職員団体の活動目的の一つが職員の福利厚生の向上にあたることを考慮し、減免措置を行っているとのご答弁でした。

しかし、本市職員全体の福利厚生については、先ほどの質疑でもありましたが、本市職員共済会に一般会計から年間約3300万円もの委託料を支出しており、大阪府市町村職員共済組合と併せて、その役割を十分に果たしているのではないでしょうか。

また、職員団体の行う福利厚生事業は、あくまで構成員である組合員を対象としたもので、職員全体のものではないことを考えると、職員の福利厚生を理由に、行政財産である職員会館の使用料を減免することには疑問がありますが、見解をお聞きします。

 

【木邨職員課長 答弁2】

職員団体の職員会館の事務所使用については、行政財産目的外使用許可の手続きのもと許可しているところですが、職員団体は、職員の勤務労働条件や処遇の改善に向けて活動している団体であり、その活動目的に職員の福利厚生の向上があたることを考慮し、使用料の減額を行っているものです。

 

【かじや 意見】

重ねてになりますが、職員全体の福利厚生については、大阪府市町村職員共済組合や本市職員共済会などが十分その役割を担っていることから、職員への福利厚生を理由として、行政財産である職員会館の使用料を減免することは妥当ではないと意見しておきます。

また、令和元年度において、本市が市駅前の民間建築物であるサンプラザ3号館410号室の約771㎡を借り上げているために支払った賃借料は、決算概要書の77ページにあるとおり、年額で約3400万円とのことです。

この賃借料については民法が適用されるとともに、共益費などが含まれていることなど、条例を根拠に算出する行政財産使用料と性質を異にするものであることは認識していますが、同じく枚方市駅前の一等地に建つ建物であるにもかかわらず、サンプラザ3号館の賃借料が、共益費を除き1平米あたり年間約2万2000円であるのに対し、職員会館の事務所使用料は1平米あたり年間約3600円と、信じられないほどの安価となっています。

その一方で、市民に対しては受益者負担の適正化の考えのもと、これまでも公共施設の使用料有料化を進め、今後は「行政改革プラン2020」において、公共施設の駐車場有料化や水道料金の福祉減免の見直しなどが計画されています。

市民には負担をお願いする一方で、職員団体には市場価格に比べ破格の金額で事務所の使用を許可しているとなると、「身内には甘い」という印象を市民に与えかねません。

市民の理解を得るためにも、まずは減免を見直すこと、そしてさらに、市場価格や市民感覚を意識した使用料への見直し行うよう要望しまして、私のA日程の質疑を終わります。


(Q7)福祉サービス利用援助事業補助金について

 

【かじや 質問1】

決算概要説明書107ページの「福祉サービス利用援助事業 補助金」についてお聞きします。

福祉サービス利用援助事業は、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が十分でない方に対して、必要な福祉サービスの利用手続きや、日常の金銭管理を支援する権利擁護の事業です。

この事業につきましては、昨年の6月定例月議会の一般質問においてもお聞きしましたが、今回、改めて確認させていただきたいと思います。

この福祉サービス利用援助事業は、社会福祉協議会が実施し、本市から補助金1248万2857円を支出していますが、この事業の枚方市社会福祉協議会の相談体制と、利用実績について、お聞きします。

 

【河田健康福祉総務課長 答弁1】

令和元年度の相談体制につきましては、枚方市社会福祉協議会での他の事業との兼務となる専門員が4名、生活支援員が7名の体制で事業を実施いたしました。

また、利用実績につきましては、令和元年度末時点で、認知症高齢者の方が39件、知的障害者の方が40件、精神障害者の方が47件の合計126件でした。

 

【かじや 質問2】

令和元年度末の福祉サービス利用援助事業の利用実績である契約者数は126件とのことで、毎年130人前後で推移しているとお聞きしています。

この事業は、成年後見制度に至る前段階での高齢者や障害のある方が地域で安心して生活を送るためのもので、高齢化率が増加の一途を見せる中、実際にはもっと多くのニーズがあるのではないかと推察されます。

そこで、本事業の待機者数の定義と令和元年度の待機者数、また、相談からサービス提供に至るまでどの程度の期間を要しているのか、そして、令和元年度の新規の契約件数と解約件数についてお聞きします。

 

【河田健康福祉総務課長 答弁2】

本事業における待機者については、相談時に事業を利用する方向性が決定しているが、契約準備に未着手なまま、既に1カ月以上が経過している方と定義され、これに照らしますと、本市では待機者数は令和元年度末で0人となりますが、今後、サービス利用が見込まれる相談が46件あり、状況の変化等に注視していく必要があることからリストアップするなど、継続的な対応に努めております。

相談からサービス提供に至るまでの期間につきましては、大阪府社会福祉協議会の審議等もあるため、サービス提供まで遅い方で、最初の相談から1年6カ月程度の期間を要し、早い方で2カ月から3カ月程度の期間を要しております。

また、令和元年度において新規にサービス契約を締結した件数は18件で、解約に至った件数は21件でした。

なお、現在、枚方市社会福祉協議会では、専門員業務のエリア分けによる効率化や訪問方法の工夫により1人当たりのケース数を増やすよう取り組みつつ、リストアップした相談ケースについて、その後の緊急度の変化やサービス提供が不要になった方の把握など、定期的な状況確認に努めております。

 

【かじや 質問3】

本市の定義によれば、待機者はいないとのことですが、最初の相談から契約まで、最長で1年6カ月程度の期間を要していることや、今後、サービス利用が見込まれる相談が46件ある状況を考えると、潜在的に待機している方がいる状態とも言えるのではないでしょうか。

現在、枚方市社会福祉協議会では、専門員業務の効率化や工夫により1人当たりのケース数を増やすよう取り組まれているとのことですが、それだけでは問題の解決につながりません。

相談からサービス開始に至るまでのアセスメント訪問や契約事務を担当する専門職員が不足しているため、そこがボトルネックになって、サービス開始までに時間がかかっているとお聞きしています。

契約事務を担当する専門職員を増員することで、サービス開始までの流れがスムーズになり、現在130人ほどの利用者を増やすことも可能になると考えます。

福祉サービス利用援助事業の円滑な実施に向けて、市も補助金を支出して支援を行っていますが、サービスを必要とする人が迅速かつ確実に利用できる体制を整えるためにも、今後も市として適切な支援を行っていくべきだと考えますが、見解をお聞きします。

 

【河田健康福祉総務課長 答弁3】

本事業につきましては、社会福祉法第2条において第二種社会福祉事業に規定され、社会福祉協議会が実施するものとされております。

そのため、大阪府社会福協議会から枚方市社会福祉協議会へ委託されておりますが、事業の円滑な実施に向けて本市としても補助しており、これまで利用者数の実績も踏まえ、生活支援員を増員するための増額も行ってまいりました。

本事業の役割は重要であると考えておりますので、今後も引き続き、事業の円滑な実施に向けての働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 

【かじや 意見】

現在の体制では、ニーズに合わせて利用者数を増やすことや、サービス利用に迅速につなげることが難しい状況であり、専門家や地域包括支援センターにおいて「サービス利用を積極的に勧められない」といったお話をお聞きしています。

サービス利用者については、同じ中核市である東大阪市で約350人、豊中市で約180人となっており、既に権利擁護支援の地域連携ネットワークにおける中核機関を設置している豊中市においては、その委託料に福祉サービス利用援助事業に係る経費を含むことで、人員体制の充実を図っているとのことです。

本市では、現在「成年後見制度利用促進基本計画」の今年度中の策定に向けて取り組みを進めており、来年度中には地域連携ネットワークにおける中核機関の設置が予定されています。

今後、福祉サービス利用援助事業については、中核機関の設置と併せて、体制の拡充が図られるよう、市として適切な支援を要望します。


(Q8)コミュニティソーシャルワーカー配置事業について

 

【かじや 質問1】

決算概要説明書107ページの「コミュニティソーシャルワーカー事業委託料」3161万3000円について、お聞きします。

この事業では、高齢者や障害者、子育て中の親など援護を必要とする方に、地域での福祉にかかわる各種相談を行い、必要なサービスや専門機関への紹介等の支援を行う「コミュニティソーシャルワーカー」を配置しているとお聞きしています。

まず、この事業における委託先ごとの委託料と、受付時間や相談体制についてお聞きします。

また、相談件数や相談者の実数についても、併せてお聞きします。

 

【河田健康福祉総務課長 答弁1】

コミュニティソーシャルワーカー事業委託料につきましては、委託先の枚方市社会福祉協議会に2183万3000円、枚方人権まちづくり協会に978万円を支出しております。

相談の受付時間につきましては、それぞれ平日の9時から17時30分としており、相談体制は、社会福祉協議会では他の業務と兼務の相談員5名、人権まちづくり協会では専従の相談員1名を配置して相談に対応しております。

相談件数につきましては、相談件数が延べ9524件であり、そのうち、社会福祉協議会で8603件、人権まちづくり協会で921件でした。また、相談者の実数は1344人で、そのうち、社会福祉協議会で1243人、人権まちづくり協会で101人でした。

 

【かじや 質問2】

それでは、委託をしている社会福祉協議会の窓口と人権まちづくり協会の窓口とでは、受け付けている相談内容は同じなのでしょうか、お聞きします。

また、相談を受け付けている場所と、その担当エリアについて、併せて、相談を受け付けた後、どのような関係機関につないでいるのか、お聞きします。

 

【河田健康福祉総務課長 答弁2】

相談内容につきましては、全てのセンターで、福祉サービスのことや生活する上での困りごとなど、幅広く福祉に関する相談に応じています。

また、相談場所と市内のエリア分けにつきましては、社会福祉協議会では、市内4つのエリアに分け、「ラポールひらかた」内で中部・南部、「地域包括支援センター社協こもれび」内で北部を、「地域支援センターゆい」内で東部を主に担当し、昨年度は、担当相談員4名と指導員1名を配置しておりました。

人権まちづくり協会では、サンプラザ1号館にある「人権まちづくり協会」内で市内全域を対象として相談員1名を配置しております。

相談を受け付けた後、相談内容に応じて、福祉関係の部署につなぐとともに、地域包括支援センターや障害者相談支援センターなどの関係機関とも連携して支援を行っております。

 

【かじや 質問3】

社会福祉協議会と人権まちづくり協会とで、受け付けている相談内容について違いがないとのことです。

先ほど、社会福祉協議会と人権まちづくり協会へのそれぞれの委託料をお聞かせいただきましたが、人権まちづくり協会への委託料978万円について、どのように積算されているのかお聞きします。

 

【河田健康福祉総務課長 答弁3】

コミュニティソーシャルワーカー事業委託料のうち、人権まちづくり協会に支出した委託料978万円につきましては、同協会からの見積の内容を踏まえて積算しており、令和元年度は、相談員に係る経費として約594万円、その他、啓発用の印刷費や通信費、交通費、事務に係る間接人件費等の経費が約384万円となっております。

 

【かじや 質問4】

この委託料の内訳については、A日程の「人権ケースワーク事業」の質疑においても、相談員の人件費以外に、団体を運営するための管理費としての職員人件費等が上乗せされているということで、団体への運営補助という一面もあるのではないかと指摘をさせていただきました。

また、平成29年度に実施された「外郭団体等経営状況等点検・評価」の報告書では、評価員から人権まちづくり協会で実施するこの事業について、社会福祉協議会等の事業との重複、類似性が指摘され「事業間で効率的な調整・分担ができているのかについて検証すべき」との意見をいただいていましたが、令和元年度においても検証がなされていないと思います。

そこで、社会福祉協議会にも委託している福祉にかかわるコミュニティソーシャルワーカーの相談業務を、なぜ、人権まちづくり協会にも委託しているのか、その理由についてお聞きします。

 

【河田健康福祉総務課長 答弁4】

コミュニティソーシャルワーカー設置事業につきましては、地域での福祉にかかわる相談に加え、特に障害者や高齢者など援助を要する方からの相談については、福祉と密接に関わる人権についても幅広く、一体的に対応する場合もあることから、人権行政を十分認識し、人権にかかわる様々な困難事例にも対応している枚方人権まちづくり協会に、本事業を委託しているものでございます。

 

【かじや 質問5】

人権まちづくり協会でしか対応できないケースって、一体どれほどあるのでしょうか。

むしろ、人権まちづくり協会で対応できずに、他団体に頼っているケースがあるとも仄聞しています。

また、社会福祉協議会では、市内を4つのエリアに分け、「ラポールひらかた」で中部・南部を、「地域包括支援センター社協こもれび」で北部を、「地域支援センターゆい」で東部を主に担当しているとのことですが、人権まちづくり協会は、「ラポールひらかた」にほど近い、枚方市駅前のサンプラザ1号館で市内全域を担当しているとのことです。

なぜ、市内全域を担当する窓口が必要なのでしょうか。枚方市駅周辺に窓口が2か所というのは、どう考えても非効率であり疑問に感じます。

南部エリアには窓口がない訳ですから、どちらかと言えば、枚方市駅周辺にある2か所のうち1か所を南部に移設した方が、利便性が高まると考えます。

また、委託先を2団体に分けていますが、そのことで間接経費にムダが生じているのではないでしょうか。委託先を1本化することで、合理化が図れると考えます。

以上のことから、枚方人権まちづくり協会への委託を見直すべきであると考えますが、見解をお聞きします。

 

【河田健康福祉総務課長 答弁5】

コミュニティソーシャルワーカー設置事業につきましては、福祉の相談に加え、福祉と密接に関わる人権についても一体的に対応する場合もあることから、枚方人権まちづくり協会に委託しているものでございますが、今後も引き続き、さらなる相談しやすい窓口となるよう工夫を行うとともに、事業内容の検証も行い、市民からの相談に適切に対応できるよう取り組んでまいります。

 

【かじや 意見】

この事業を、なぜ人権まちづくり協会に委託しなければならないのかとの問いに、合理的な説明はいただけませんでした。

また「外郭団体等経営状況等点検・評価」での評価員の指摘に対しても、その後、抜本的な見直しはされていないようです。

私の考えですが、市が団体の運営を補助するという意味合いで、間接人件費を何らかの形で支出する必要があるので、本来であれば社会福祉協議会だけでもできる事業を、あえて人権まちづくり協会にも委託しているということではないでしょうか。

A日程でも指摘しましたが、もし事業の効果的・効率的な執行よりも、団体の運営補助を優先しているとすれば、事業そのもののあり方を歪め、市民にとっても不利益になります。

この事業につきましては、委託先の団体ありきでなく、事業そのものの効果をしっかりと検証し、委託先の一元化も含めて適切に見直しを行っていただくよう要望します。


(Q9)新名神高速道路等整備促進事業について

 

【かじや 質問1】

令和元年度の事務事業実績測定調書にある「新名神高速道路等整備促進事業」について、お聞きします。

新名神道路整備等整備促進事業における施策目標は、安全で快適な交通環境が整うまちであり、その達成に向けて事業概要では、庁内関係課及び沿線住民の窓口業務を含めた連絡調整を行うとありますが、具体的にどのような業務を行っているのかお聞きします。

 

【佐々木土木政策課長 答弁1】

新名神高速道路は、生活圏の拡大や地域の活性化などに効果が期待できますが、地域への影響も大きいことから、沿線地域の周辺環境に十分配慮した道路として整備されるよう、関係機関、関係部署との協議を、事業者とともに校区コミュニティを通じた説明会や沿線自治会との意見交換を行うなどの連絡調整業務を行っております。

 

【かじや 質問2】

それでは、令和元年度における事務事業の実績として、沿線住民を対象とした説明会や意見交換は、どのようなタイミングで、また、どれくらいの回数実施したのか、お聞きします。

 

【佐々木土木政策課長 答弁2】

令和元年度は西船橋付近の工事着手に伴い、着手前の説明会を1回、工事実施中の工事に関連する意見交換会等を計18回、関係する自治会等に対し実施しております。

 

【かじや 意見】

昨年度の実績からも特に周辺地域に大きな影響を与える工事の着手に伴い、地域への説明会を実施していただいているようです。

これから工事が着手される地域においても、コミュニティ協議会という大きな単位だけでなく、自治会などからも要望があれば、適宜、説明会や意見交換会を開催するなど、きめの細かい丁寧な対応を事業者に働きかけていただくよう要望しまして、私のB日程の質疑を終わります。


(Q10)成年後見制度利用支援事業経費(介護保険特別会計)について

 

【かじや 質問1】

決算概要説明書の248ページ「成年後見制度利用支援事業費」についてお聞きします。

一般会計においても、障害者における「成年後見制度利用支援事業費」が、決算概要説明書の116ページにも記載されておりますが、今回は特別会計での質疑の機会ですので、高齢者に絞って質問させていただきます。

成年後見制度利用支援事業費として85万5,873円の決算額となっていますが、この経費は、認知症等により判断能力が不十分な方で、裁判所に成年後見の申し立てをする4親等以内の親族がおられない方に対し、市長が申し立てを行うにあたっての経費と、その後の報酬助成費用であるとのことです。

そこでまず、過去3年間の本事業における市長申し立てと報酬助成の予算計上の金額と内訳、その実績についてお聞きします。

 

【辻本地域健康福祉室課長 答弁1】

成年後見制度利用支援事業費は、平成29年度以降毎年、454万3,000円を予算計上しております。その内、市長申し立てを行うための費用として、24件72万7,000円、報酬助成については在宅生活者と施設入所者合わせて16件381万6,000円でございます。

市長申し立ての実績については、平成29年度は3件で2万8,288円、平成30年度は6件で3万3,744円、令和元年度は9件で4万6,865円となっております。

報酬助成については平成29年度が0件で、平成30年度は2件で37万8,000円、令和元年度は4件で助成額は80万9,008円となっております。

 

【かじや 質問2】

市長申し立て件数と報酬助成の実績をお聞きすると、少しずつ件数は増えているようですが、まだ利用実績数は少ないのが現状です。

予算額と実績を比べると、現在の枠組みでは、制度の利用が十分に図られていないのが実態です。

市長申し立ての件数が伸び悩んでいる理由として、報酬助成が生活保護受給者と後見人等に報酬を支払うことにより生活保護基準を下回る方が対象となっているため、低所得者層の方が選任につながっていないと考えます。

本市では、報酬助成の対象が市長申し立てのケースのみとなっていますが、吹田市など他の自治体では、市長申立て以外の方までを対象とするなど、利用者の枠を広げ、事業を実施されているところも見受けられます。

今後、高齢化社会が加速する中、権利擁護の観点からも、成年後見制度の利用促進が求められており、そのためには、現在の事業の対象者を見直すべきと考えますが、市の見解をお聞きします。

 

【辻本地域健康福祉室課長 答弁2】

成年後見人等への報酬助成制度につきましては、議員お示しのとおり、本市と比べ対象者の枠を広げ事業実施している自治体もございます。認知症高齢者やひとり暮らし高齢者の増加が見込まれる中において、認知症等により判断能力の低下に伴い、金銭管理や契約に困難が生じるおそれのある方が今後増加し、成年後見制度の利用が高まっていくものと推察されます。市民の権利を擁護し、成年後見制度の利用を必要とする方にとって、利用し易い環境を整えるため、助成制度のあり方について、他市の状況も参考に、今年度策定予定の「成年後見制度利用促進計画」の中で検討を進めてまいります。

 

【かじや 意見】

この事業につきましては、過去何度か質疑をさせていただいた中で、平成27年度から報酬助成が実施されるようになりましたが、それ以降、認知症高齢者の増加や親の高齢化による知的や精神の障害がある方の成年後見制度の利用ニーズはさらに高まっています。

成年後見制度が、判断能力が不十分な方の権利を法律的に保護し、生活をサポートする制度として、今後、必要とされる市民の方の制度利用に繋がるよう、事業の対象者の拡大も含めて、制度の周知や支援の充実を図っていっていただきますよう要望しておきます。

また、今年度中に「成年後見制度利用促進基本計画」の策定が予定されていますが、制度利用に関する助成制度あり方についても盛り込んでいただくとともに、利用促進につながる内容としていただくよう要望します。


(Q11)個人未収金(病院事業会計)について

 

【かじや 質問1】

次に、病院事業会計についてお聞きします。病院事業会計については、これまで多くの委員が質疑をされており、重複する部分もあるかと思いますが、私なりの観点で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

病院事業会計決算書の10ページ、貸借対照表の流動資産に未収金12億1955万8870円が計上されていますが、この多くは保険診療に対する給付団体からの未収であるとお聞きしていますが、この未収金の内、個人未収金の金額と回収状況についてお聞きします。

 

【大西医事課長 答弁1】

令和元年度における個人未収金については、過年度分2518万6000円を徴収し、元年度に新たに未収金となった3821万9000円を加えた5411万6000円となっています。なお、令和元年度に発生した未収金の多くは、クレジットカード払いや、交通事故などによる損害保険会社からの入金が多くを占めており、令和2年6月末時点には、2057万8000円となっています。

 

【かじや 質問2】

年度末の個人未収金は、5411万6000円ということですが、その6割ほどはクレジットカード会社や損害保険会社に関わるもので、ほぼ回収が確実なものだということがわかりました。

それ以外の未収金については、患者さん個人で様々な事情があると思いますが、殆どの方は適正に診療費を負担しているわけですから、患者間の公平性において疑問を持たれないよう回収に努めていく必要があると思います。

そこで、お聞きしますが、市立ひらかた病院では、事前に未収金が発生しないよう、どのような対策を講じられてきたのか、また、未収金が発生した場合、どのように回収に取り組まれているのか、お聞きします。

 

【大西医事課長 答弁2】

未収金が発生する原因には、様々な理由がありますが、その原因の一つとして高額な医療費の支払いがあります。

市立ひらかた病院では、高額療養費制度については、入院される患者用のパンフレット「入院のごあんない」の記載や、ホームページでの周知を行っています。

令和元年度からは高額医療費の限度額適用を過去1年以内に3回受ている場合に、4回目以降の限度額が減額となる「多数該当」の手続きをこれまで、市役所等で行うよう患者さんに求めていましたが、病院の会計窓口で対応できるよう見直したため、患者さんが病院で診療費を支払う負担が軽減し、結果として未収が発生しにくい環境整備にもつながったものと考えています。

なお、一括でお支払いができない患者さんには、分納制度の対応も行っています。

未収が発生した場合の対応につきましては、「病院事業に係る枚方市債権管理及び回収に関する条例施行規程」に基づき手続きを行い、それでもお支払いの意思が認められない場合には、債権回収業務を委託している法律事務所に移管しています。

 

【かじや 意見】

病院経営において、医療費の未払いはどの医療医機関でも問題となっています。

未収金が発生した場合は、回収方法の運用は適正にされているかとは思いますが、大事なことは、未収金が発生しない取り組みです。

例えば、窓口での高額な医療費が発生し、患者さんの負担が大きい場合は、窓口でのお支払いの負担を少しでも軽減できるよう、「高額療養費制度」や「限度額適用認定証」などの制度について、患者さんへ丁寧な説明を行うなど、患者さんに寄り添った対応を行うよう要望します。

また、発生した未収金に対しては、公平性やモラルの観点からも、回収の強化を図っていただくことはもちろんですが、効果的・効率的な観点から、適正な未収金管理に努めていただくよう要望します。


(Q12)感染症外来医療機関設備整備補助金(病院事業会計)について

 

【かじや 質問1】

次に、病院事業会計決算書49ページの収益的収入の欄、また54ページの資本的収入の欄に、府補助金として「感染症外来医療機関 設備整備 補助金」が計上されていますが、この補助金の内容についてお聞きします。

 

【小篠経営企画課長 答弁1】

感染症外来医療機関設備整備補助金につきましては、新型コロナウイルス感染症の疑い例いわゆる疑似症を診察するに当たり、疑似症から感染症の蔓延を防止する体制の充実を図るために創設された補助金となっています。

本院においても、同様の趣旨から整備した設備等に対して補助金の交付を受けたものでございます。

具体的には、1単位10万円未満である簡易ベット5台19万9980円を収益的収入として、1単位10万円以上のクリーンパーテーション12台245万9820円と空気清浄機1台90万4200円のそれぞれを資本的収入として交付を受け、合計356万4000円の補助金となっています。

 

【かじや 意見】

この補助金は、感染症指定医療機関における新型コロナウイルス感染症の初期対応としての整備を行ったことに対する補助金だということは理解しました。

しかし、新型コロナウイルス感染症については、いまだ終息の見込みがなく、今年度においてもマスクやガウンなどの感染症対策物品の確保に苦労されながら、引き続き対応されていることは、これまでからもお聞きしているところです。

今後も、財源確保に努め、必要な衛生材料が不足しないように、しっかりと備蓄も行っていただき、院内感染等の防止対策を徹底するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応による経験知を蓄積し、万全の体制を整えていただくよう要望して、私の質疑を終わります。