令和5年12月定例月議会 一般質問


令和5年12月定例月議会本会議(令和5年12月18日)で行った一般質問の記録を掲載します。

 

1.教育に係る経済的負担の軽減について

2.公立の就学前施設の認定こども園化について

3.デジタル人材の確保、育成について

4.職員団体に対する行政財産の使用許可について

 

※これは正式な議事録ではございません。正式な議事録は、数か月後に市役所や図書館、市議会のホームページで閲覧することができます。

※質問・答弁の順序は、読みやすいように前後入れ替えて掲載をしています。



1.教育にかかる経済的負担の軽減について

【かじや 質問1】

まず「1.教育にかかる経済的負担の軽減について」お聞きします。

各家庭において子育てを行う中では、経済的負担を伴う学習塾や習い事等に通わせている家庭が一定あり、学校教育だけではなく、塾等も子どもたちの教育の一端を担っているのが現実です。

また、今、本市でも部活動の地域連携や、地域移行の議論が進められていますが、一部費用が家庭負担となる可能性も含めて議論されていると把握しており、今後、家庭の経済的な負担が増えることが想定されます。

このような状況の中で、これまで我が会派からは、子どもたちが家庭の経済状況を理由に、学習支援や野球、サッカー、ピアノなどの習い事をやりたくても諦めることがないようにし、子どもたちの才能を伸ばすことができる環境整備が必要であると要望してきました。

その一方で、塾代を助成するよりも、まず学校教育を充実させるべきとのご意見もあることから、支援のあり方について議論を進めていく必要があると考えます。

そこで、まず、そもそも義務教育として行われる学校教育の目的及び内容は、どのようなものなのか、お聞きします。

 

【新保学校教育部長 答弁1】

1.「教育に係る経済的負担の軽減について」、お答えします。

まず、義務教育についてですが、教育基本法第4条において、教育の機会均等が謳われ、第5条第2項において「義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ、社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする」、また公立学校の義務教育については、同条第4項において「授業料は徴収しない」と規定されています。

また、教育の内容については、教育課程の基準である文部科学省告示の「学習指導要領」に規定された教科や領域ごとの内容にしたがい、各小中学校が教育課程を編成、実施しており、その際、学校教育法第34条の規定に基づき、本市教育委員会で採択した教科書を用いて授業が行われております。

これらの仕組みにより、全国津々浦々で、家庭の経済格差に関わらず、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られる仕組みになっております。

 

【かじや 質問2】

それでは、順次2回目以降の質問と要望をさせていただきます。

まず「1.教育にかかる経済的負担の軽減について」2回目の質問をします。

義務教育の目的や意義、その必要性については、十分に理解できますし、本市の小中学校においては、各学校の特色を生かして創意工夫を重ねた様々な教育活動が実施されていることもよく認識しています。

しかし、保護者や子どもの教育に対するニーズが複雑多様化する中、現在の義務教育のシステムでは、学校の授業への理解をより深めたり、それ以上の内容、それ以外の内容を学びたいと思うニーズに十分に応えるのは難しいのではないかと感じています。

そこで、令和5年度全国学力・学習状況調査質問紙調査の中で「学習塾の先生や家庭教師の先生に教わっていますか(インターネットを通じて教わっている場合も含む)」という項目がありました。

家庭学習の状況(家庭の経済状況)を尋ねたように思えるこの項目について、全国の結果はどのような状況であったのか、お聞きします。

 

【新保学校教育部長 答弁2】

国立教育政策研究所が公開している全国の調査結果において、議員お示しの質問項目に対し、小学校では、「学校の勉強より進んだ内容や、難しい内容を教わっている」「学校の勉強でよくわからなかった内容を教わっている」「両方の内容を教わっている」と回答した児童の割合は合わせて38.2%でした。 また、中学校において同様の回答をした生徒の割合の合計は55.5%でした。

 

【かじや 質問3】

調査の結果からは、小学生で約4割、中学生では5割以上の子どもが学習塾等を学びの手段として用いていること、また学校以外の場で学びを充実させていることがわかります。

この様に一定数以上の子どもが学校以外の場でも学んでいるということは、保護者や子どもにとって、塾や習い事は、学校と同様に、教育の一端を担うものと捉えているのはでないでしょうか。

しかし、塾や習い事には費用がかかることから、家庭の経済的な事情が、子どもたちの教育環境に大きな影響を与えることが考えられます。

文部科学省が今年公表した「保護者に対する調査の結果を活用した家庭の社会経済的背景と学力との関係に関する調査研究」によると、世帯年収300万円未満と900万円以上の家庭の集団を比較すると、小中学生とも算数・数学で偏差値が約7ポイント世帯年収の多い集団の方が高く、また毎月の教育支出がまったくない家庭と5万円以上の家庭の集団では、小学生の算数で約11ポイント、中学生の数学で約6ポイント教育的支出が多い家庭の集団が高い結果が出ています。

また、家庭の教育支出が増加傾向にある一方で、教育支出がまったくない世帯は増加していることから、子どもの教育にお金をかけることのできる世帯と,そうでない世帯の二極化が進んでいることがわかり、教育的観点や福祉的観点からも、経済的困難を抱える家庭への支援は大きな課題であると考えます。

次に、先ほどもお話しましたが、現在、議論されている中学校の部活動の地域連携や、地域移行について、お聞きします。

先の教育子育て委員協議会で、部活動の「ひらかたモデル」の策定に向けて、4類型のたたき台が示されました。

その中で費用負担も検討課題のひとつとのことでしたが、保護者の費用負担について、現在、どのように考えているのか、他市の先行事例と併せてお聞きします。

 

【新保学校教育部長 答弁3】

部活動の地域移行についての保護者の費用負担が必要か否か、必要な場合はどの程度になるかということについては、現在、枚方市中学校部活動の在り方懇話会で意見徴収し、保護者アンケートなども基に、議論を進めています。

今後の議論の中では、家庭の経済的格差が与える影響を考慮しながら、経済的困難を抱える家庭への支援の在り方を含め、どのような費用負担が適切なのかについてもご意見をいただく必要があると考えています。

また、費用負担に係る先行他市町村の実践研究等の事例については、自治体の財政規模等の影響もあるため、本市で参考にする場合には、慎重に検討が必要ですが、例えば、千葉県柏市では、休日の部活動について、統括団体が各クラブを運営する形で行っています。

費用については、土日いずれか1日3時間の活動で、月会費2000円に加え、年間更新料として5,000円支払うことになっています。

また、富山県黒部市では、休日の部活動について、教育委員会事務局が事業の運営主体となり、競技団体等から指導者を派遣してもらう形で、中学校全2校に対する事業運営を行っています。費用については、土日いずれか1日の活動で、参加料として1・2年生は年5,500円、3年生は年1,500円、保険料を年800円支払うこととなっています。

これは、運営に必要な費用の一部となっており、その他は国の補助や市の予算など公費でまかなっています。

なお、柏市・黒部市ともに、生活保護、就学援助認定者については、全額、公費で補助していると聞いております。

東京都港区では、すべての学校、すべての部活に平日の指導も含め、部活動指導員を配置する形で、地域移行は行っておりません。

また、費用については、保護者負担はなく、全額、区の予算でまかなっています。

 

【かじや 質問4】

他市事例からは、部活動の地域移行に伴って、一定の費用負担が発生しているとのことです。

地域移行により、子どもたちの選択肢が増えることは歓迎するところですが、家庭の経済的な事情によって、やりたい部活動を諦めざるを得ないケースが出てくるとすれば本末転倒です。

現在、保護者への費用負担について議論を進めているとのことですので、何らかの負担軽減策を講じていただくよう、要望しておきます。

さて、先ほどの答弁では、義務教育により教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られるとのことでしたが、現実は、家庭の経済的な事情によって、教育環境に大きな格差が出ています。

これらの課題について、学校以外の学びについては自己責任というのでは、ますます格差が広がり、貧困の連鎖がつながっていくと考えられます。

そこで、経済的困難を抱える家庭への支援について、経済的負担の軽減も含め、政策的なアプローチが必要だと考えますが、市の見解をお聞きします。

 

【服部福祉事務所長 答弁4】

経済的な家庭の事情により、子どもたちの学びに格差が生じることがないよう、現在、子どもの貧困対策という観点から、関係部署と支援のあり方や支援方法などについて検討を進めているところです。

 

【かじや 意見】

現在、支援のあり方や支援方法などについて検討を進めていただいているとのことですので、財源などの課題も大きいかと思いますが、具体的な支援策の早期実現に向けて、関係部署がしっかりと連携し、検討を進めていただくよう要望しておきます。


2.公立の就学前施設の認定こども園化について

【かじや 質問1】

次に「2.公立の就学前施設の認定こども園化について」お聞きします。

本市では、喫緊の課題である待機児童対策など、子育て施策を推進するとともに、今後の保育需要の減少時期も見据えた公立施設のあり方を示すため、幼保連携の考え方のもと、平成30年11月に「就学前の教育・保育施設に係るひらかたプラン」を作成し、その後、昨年9月に策定された「後期プラン」において、本市における公立の認定こども園については、その必要性も含め、引き続き検討していく旨が記載されています。

全国的な少子化の進行を踏まえ、幼保連携の取り組みを推進し、子育て支援環境の充実を図る観点から、将来的には、本市の公立施設において、教育と保育を一体的に提供する施設である、認定こども園化を進めていく必要があると考えます。

そこでまず、令和元年度から、公立幼稚園4園において実施されている枚方版子ども園についてお聞きします。

本市では、公立幼稚園内に1、2歳の園児を預かる小規模保育施設を併設し、枚方版子ども園として運営されていますが、まずはじめに、そもそも枚方版子ども園は、どのような目的で始められたものなのか、お聞きします。

また、今年度で5年目を迎えるとのことですが、この間、運営されている中で、幼稚園と小規模保育施設を同時に運営されているメリットとしてはどのようなものがあったのか、お聞きします。

 

【乾口子ども未来部長 答弁1】

次に、公立就学前施設の認定こども園化についてお答えいたします。

枚方版子ども園につきましては、1、2歳児の小規模保育事業を実施することで、喫緊の課題である待機児童対策に資するとともに、小規模保育施設から同施設内の幼稚園につなげることで、切れ目ない教育・保育を提供することを目的に開始したものでございます。

また、枚方版子ども園のメリットといたしましては、幼稚園単体で運営しているときと比べ、幼稚園教諭は1歳児と2歳児の育ちの状況を知ることができ、また、小規模保育施設の保育士は幼稚園の教育・保育を知ることができたことで、それらを各々の分野で活用することができるようになりました。

加えて、子どもたち自身も、異年齢の交流が幅広く行えるとともに、近隣の保育所から小規模保育施設に運搬している給食を幼稚園にも提供するなど、枚方版子ども園の運営により、子どもたちにも職員にもメリットがあったものと考えております。

 

【かじや 質問2】

次に「2.公立の就学前施設の認定こども園化について」2回目の質問をします。

ただ今の答弁では、枚方版子ども園は切れ目ない教育・保育の提供を目的に実施されているとのことですが、1・2歳児を預かる小規模保育事業からは全ての園児たちが、幼稚園に進まれるのかお聞きします。

併せて、幼稚園に進まれないケースがあるとすれば、どのような理由があるのかお聞きします。

また、3歳から公立幼稚園に通うお子様の保護者で就労されている新2号の方は、何パーセントおられるのかお聞きします。

 

【乾口子ども未来部長 答弁2】

多くの園児達は、小規模保育施設から同じ敷地内の公立幼稚園に進んでおりますが、中には3歳からも保育所や認定こども園を希望される方が居られるのが現状です。

また、公立幼稚園を利用されている保護者の方の就労状況につきましては、園により異なりますが、概ね3割程度の方が就労されている新2号となっております。

 

【かじや 質問3】

これまでの答弁からしますと、枚方版子ども園内の小規模保育施設から公立幼稚園に進まれない方の中には、保育所や認定こども園を第一希望とされる方が一定数おられること、また、就労されている新2号の保護者の割合が約3割で、そのニーズには一定対応できているとのことです。

また、枚方版子ども園を運営されている中では、それぞれの育ちの状況を知ることや、子どもたちの異年齢交流、また幼稚園給食の提供などに、メリットがあったとのことです。

これらを総合的に判断しますと、やはり将来的には、枚方版子ども園を認定こども園にすることが、子どもたちにとっても保護者にとっても、また、先生方にとっても、よりよい教育・保育環境の整備につながるのではないでしょうか。

そこで、公立施設の認定こども園化について、市としてどのように考えているのか、見解をお聞きします。

 

【乾口子ども未来部長 答弁3】

現在、本市における就学前児童数につきましては減少傾向にあるものの、公立保育所におきましては、年々、希望者が増加しており、常に定員を上回るご利用をいただいている状況です。

このような状況の中、就学前の公立施設につきましては、令和4年9月に策定しました「就学前の教育・保育施設に係るひらかたプラン(後期プラン)」でお示した通り、今後も、教育・保育の量的ニーズや国の動向、また財源確保等の様々な状況も見極めながら、認定こども園化も含め、検討してまいりたいと考えているところです。

 

【かじや 質問4】

公立施設の認定こども園への移行の判断としては、保育需要だけではなく、複雑多様化する保育、幼児教育のニーズに対応し、子育て支援環境の充実を図るという観点から検討していく必要があると考えます。

また、今後、様々な観点から、認定こども園化も含め、就学前の公立施設の方向性を検討されるとのことですが、「後期プラン」には、認定こども園化への課題として、幼稚園教諭と保育士の給与体系の違いや相互理解、免許・資格の取得があげられています。

今後、認定こども園を設置するとすれば、教育・保育の内容はもとより、給与体系の整備や類型によっては保育士資格や幼稚園教諭免許の両方の保有が要件となるなど、職員の採用方法においても、事前に準備を進めておく必要があるのではないでしょうか。

昨年12月議会の一般質問において、人材の育成には一定の時間が掛かるため、早期に環境整備を図るなど、将来を見据えた対応を要望していましたが、その後の対応についてと、給与体系の整備についての見解をお聞きします。

 

【藤原総務部長 答弁4】

幼稚園教諭の採用試験については、これまでから、幼稚園教諭免許に加え、保育士資格を保有していることを要件としていたことから、保育士についても、今年度の採用試験から、保育士資格に加え、新たに幼稚園教諭免許を保有していることを要件として追加したところです。

また、給与体系の整備については、今後における本市としての就学前施設のあり方の方向性に応じた対応が可能であると考えています。

 

【かじや 質問5】

現時点では、保育士も幼稚園教諭も募集の際には、両方の資格・免許を求められており、また、給与体系の整備についても、今後の方向性に応じて対応可能であることは理解しました。

昨年12月の定例月議会において、私から公立の保育士と幼稚園教諭の人事交流についてお聞きしたところ、「まずは、保育職場と幼稚園職場の違いや双方の良さを経験できるような研修制度の取組みについて、担当部局とも連携しながら検討を進めていきたい」との答弁がありました。

そこで、現在の幼稚園教諭と保育士の人事交流については、どのような状況なのかお聞きします。

 

【乾口子ども未来部長 答弁5】

保育士と幼稚園教諭の人事交流につきましては、国に採択されました「架け橋プログラム」も活用し、管理職や担任等の実務者の交流を年3回以上実施するとともに、障害のある園児に関する合同研修等も実施しております。

加えて、公立保育所の元所長を幼稚園の預かり保育で活用するなど、その交流は深まっているものと考えております。

 

【かじや 意見】

保育士は保育所、幼稚園教諭は幼稚園という職場に縛られることなく、両方の職場を経験することで、職員の能力向上やお互いの連携強化が進み、ひいては本市の幼児教育、保育の質のさらなる向上につながると考えます。

今後、お互いの職場を実際に体験できるような取り組みなど、研修等のさらなる充実を図っていただくよう要望しておきます。

また、改めて認定こども園への移行についてですが、「後期プラン」では、今後の公立施設が担うべき役割のひとつとして「国から示される指針等を踏まえ、教育・保育を特に率先して実施する役割」が示されていますが、私立施設の認定こども園が増加している中、公立施設として認定こども園を持っていないと、その役割が十分に担えないのではないかと危惧します。

本来認定こども園の必要性は、保育需要だけではなく、3歳以上は保護者の就労の有無に関わらず利用が可能であることや、地域における子育て支援機能を合わせ持つといった点など、教育・保育の環境の充実という観点から見極める必要があると考えます。

調理場の設置などの課題はあるものの、まずは現在の公立施設である枚方版こども園を認定こども園化する方針を早期に出す必要があるのではないでしょうか。

保育需要も少子化や待機児童問題の解消により、保育所の利用児童数が2025年にはピークを迎えるという「2025年問題」はもうすぐそこです。

施設や人事面での環境整備に一定の時間が掛かることを考えると、早急に判断をし、動き出す必要があるのではないかと、意見しておきます。


3.デジタル人材の確保・育成について

【かじや 質問1】

次に「3.デジタル人材の確保・育成について」お聞きします。

市民の利便性の向上や市役所業務の効率化を図る観点から、今後、デジタル技術やAI等の積極的な活用により「スマートシティ」を実現していくことが求められています。

その一方で、行政や民間事業者のDXの加速化にあわせて、デジタル人材の慢性的な不足が大きな課題となっています。

本市では、IT資格枠の職員を採用するなど、DXを推進するための人材の確保や育成に取り組んでいますが、私もこれまでから、デジタル人材の確保、育成の重要性について要望をしてきたところです。

そこで、デジタルに関する業務は広範囲であるとは思いますが、市でIT資格枠の職員は主にどのような業務に従事しているのか、お聞きします。

 

【藤原総務部長 答弁1】

次に、「3.デジタル人材の確保、育成について」お答えします。

本市には現在9人のIT資格枠の職員が在職しており、その内4人をDX推進課に配属し、庁内のネットワークの管理やシステム標準化などの国制度の適用に関する検討、情報セキュリティに関することなど、市全体のDX推進の業務に従事しております。

また、その他の部署に所属している5人につきましては、配属部署における業務内容を理解した上で、専門知識やIT技術を活用し、より現状に即した効果的な手法で業務の効率化が図れることから、より効率化の成果が顕著に表れ、また、そのノウハウを課内又は課を超えて展開したことにより、結果として部の時間外勤務の削減にもつながった例もございました。

 

【かじや 質問2】

次に「3.デジタル人材の確保・育成について」2回目の質問をします。

IT資格枠の職員の状況については理解しました。

6月定例月議会の一般質問において志甫議員からも指摘がありましたが、庁内横断的にDXを進めるためには、IT資格を有する職員のみならず、やはり全庁的にスキルやノウハウを職員全体が兼ね備えていくといった人材育成にも力を入れる必要があると考えます。

もちろん、IT資格枠の職員の採用は必要とは考えますが、IT資格枠以外の職員に対するリテラシー向上などの人材育成や、9月定例月議会の代表質問でも指摘しましたが、必要な人材を必要な部署に配置する適正配置などもセットで行うなど、計画性を持って取り組まなければならないと考えます。

例えば、東京都では、デジタル業務及び人材の整理、可視化を図った上で、専門職であるICT職だけでなく、民間から任期付きで採用する高度専門人材の活用や、専門職でない職員がデジタルに関する知見を身に着けたリスキリング人材など多彩なデジタル人材の確保や育成を計画的に進めています。

そこで、今後のIT資格枠の職員採用やデジタル人材の育成について、どのように考えているのか見解をお聞きします。

 

【藤原総務部長 答弁2】

IT資格枠の採用につきましては、これまでから、積極的な採用に努めているところですが、今後、IT人材のニーズがますます高まることが予測されることから、庁内横断的なDXの推進には、IT資格枠の職員の採用だけではなく、IT資格枠以外の職員に対する人材育成が必要であると認識しております。

今後を見据え、IT資格枠の職員採用と合わせて、業務委託や外部人材の活用も並行して行いながら、研修等の人材育成プログラムを強化し、職員全体のITリテラシーの向上に努めてまいりたいと考えています。

 

【かじや 意見】

IT資格枠の職員だけでなく、すべての職員が備えることが望ましいデジタルスキルを可視化することで、市職員を配置すべき部署、外部人材の活用が見込まれる部署、業務委託できるものなどの振り分けができ、計画的に本市のDX が推進できると考えます。

これを実現させるには、職員採用や配置、人材育成を担当している人事課とデジタル人材の担う業務を計画立てて考え実施していくDX推進課との連携は、とても重要になってくると考えます。

本市がDXの分野で求める人材をしっかり確保し、育て、市全体のITリテラシー向上のために力を合わせて取り組んでいただきますよう要望しておきます。


4.職員団体に対する行政財産の使用許可について

【かじや 質問1】

最後に「4.職員団体に対する行政財産の使用許可について」お聞きします。

本市は、職員で構成する職員団体に対し、組合事務所として、行政財産である職員会館の一部の使用を許可しています。

この事務所の使用を巡り、一方の職員団体と労働委員会及び裁判の場で争っていたところ、先般、大阪高等裁判所の判決が確定したとお聞きしており、一つの区切りがついたものと認識しています。

この件については、職員会館の設置趣旨等を踏まえ、市が「職員の勤務条件の維持改善及び職員の福利厚生の活動に限る」との条件を付したうえで、目的外使用許可を行っていたところですが、令和2年12月定例月議会における議案「訴えの提起について」の質疑における市の説明では、当該職員団体の発行するニュースにおいて、政権批判等のいわゆる政治的主張が掲載されるなど、行政財産である職員会館を拠点としてこの条件を逸脱した活動が見受けられたとのことです。

そのような経緯から、争訟に発展したものと捉えていますが、今回の判決において、何が認められ、何が認められなかったのか、また、職員団体が行っていた活動がこの許可条件を逸脱していたかどうかについて、言及があったのかをお聞きしまして、1回目の質問を終わります。

 

【藤原総務部長 答弁1】

次に、「4.職員団体に対する行政財産の使用許可について」、お答えいたします。

大阪高裁判決では、本市の行為のうち、団体交渉を拒否したことと、許可の取り消しを行うことなく事務所の明渡しを求めた手続きの進め方について、不当労働行為であるとの判断がなされました。

一方で、地方公共団体が職員団体に行政財産を組合事務所として使用するために貸与する場合にあっては、行政財産は住民の負担する税金等によって賄われる公共財産であることから、適正な利用目的の制限を定め、必要な調査や是正のための警告をすることについては、一定の正当性があるとの判断が示されました。

なお、当該の職員団体が行っていた活動の条件に係る是非に関しましては、特に言及はございませんでした。

 

【かじや 質問2】

次に「4.職員団体に対する行政財産の使用許可について」2回目の質問をします。

高裁において、不当労働行為とされた本市の行為がある一方で、地方自治体における行政財産の適正管理に係る対応について、一定の正当性が認められたということは理解しました。

そこで、今般の司法の判断を踏まえて、組合事務所に関し、今後、市としてどのような姿勢で臨むのか、また、仮に、職員会館内において、許可条件を逸脱するような活動があった場合、どのような手続きの流れになるのか、お聞かせください。

 

【藤原総務部長 答弁2】

今般の判決を踏まえ、現在の条件を基準とした運用を続けていくことで、行政財産である職員会館の適正管理を行ってまいります。

今後、職員会館内で、仮に許可条件を逸脱するような活動が見受けられた場合は、法令の規定による適正な手続きを踏みながら、許可の取り消しを行っていくこととなります。

 

【かじや 意見】

行政財産は市民の財産であり、一切の制限がない状態で使用することができる施設ではないと認識しており、その適正管理のため、市が一定の条件を付すことは当然のことと考えます。

職員団体が民間の物件などを借りて事務所を構え、様々な活動をすることは自由だと思いますが、市の施設を使用する以上は、主体が誰であれ、定められた条件を守ることが求められます。

今後も職員会館における活動内容をしっかり確認するなど、引き続き、適正管理に向けた対応を要望し、私の一般質問を終わります。