平成23年決算特別委員会 質疑


平成23年決算特別委員会(平成23年10月26日、11月1日、9日)で行った質疑の記録を掲載します。

 

(Q1)地方交付税及び臨時財政対策債について

(Q2)平成22年度における一般会計速報値について

(Q3)職員の再任用制度と定年延長について

(Q4)職員の時間外勤務手当について

(Q5)事業仕分けと施策評価について

(Q6)職員提案制度について

(Q7)校区コミュニティ活動補助金について

(Q8)ケーブルテレビ放送活用事業及びホームページの運営について

(Q9)まち美化啓発事業及び健康福祉フェスティバル開催事業について

(Q10)健康家庭表彰事業について

(Q11)公設浄化槽事業について

 

※これは正式な議事録ではございません。正式な議事録は、市役所や図書館、市議会のホームページで閲覧することができます。


(Q1)地方交付税及び臨時財政対策債について

【かじや 質問】

平成22年度の普通交付税と臨時財政対策債の合計額は、176億9357万3000円で前年度と比較して、66億6901万5000円の増、率にして60.5%の増となっています。しかし、国が示す平成22年度の地方財政対策では、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた財源不足額は24.6兆円で、前年と比べ3.6兆円の増、率にして17.3%の増となっています。国が示す地方財政対策の状況に比べて、本市の普通交付税と臨時財政対策債の合計額が大きく増加している理由についてお聞きします。

 

【福岡財政課長 答弁】

平成22年度の普通交付税と臨時財政対策債の合計額が大幅に増加した主な理由といたしましては、交付税等の算定における基準財政収入額では、景気の後退の影響を受け、個人市民税が減収になったことや、平成21年度に法人市民税の還付金が大幅に増加したことから平成22年度の法人市民税が大きく減収になると算定されたこと、また、基準財政需要額では、生活保護費が大きく増加すると算定されたことなどから、本市の普通交付税と臨時財政対策債の合計額については大きく増加しております。

 

【かじや 質問】

今の説明の中で、法人市民税については、前年度の還付金などの状況を踏まえて大幅な減収になるとの予測に基づき交付税等の算定がされているとのことですが、実際の決算における法人市民税は、前年度比で約9億円の増となっています。平成22年度は、算定における予測額と実際の額との差異により、交付税を多くもらい過ぎていたということでよろしいでしょうか。

 

【福岡財政課長 答弁】

法人市民税については、前年度の還付金の状況等を踏まえて算定することとなるため、平成22年度のように、交付税の算定における数値と決算上の数値との間に差異が生じることがあります。これによって生じる普通交付税の差額につきましては、翌年度以降の普通交付税で3か年分割により精算されることとなります。

なお、交付税の精算につきましては、法人市民税における法人税割のほか、個人市民税における所得割、利子割交付金についてのみ制度が設けられております。

 

【かじや 質問】

それでは、多くもらい過ぎた分の差額は、翌年度以降の交付税で精算されるとのことですが、平成22年度分の法人市民税の精算額をお教えてください。

 

【福岡財政課長 答弁】

平成22年度分の法人市民税に係る精算額は、総額で10億2342万9000円となっております。なお、平成22年度では、精算による翌年度以降への影響についても考慮したうえで、財政調整基金への積立を行っております。

 

【かじや 意見】

今回、基金の残高が過去最高になったと言っていますが、交付税と臨時財政対策債の大幅な増額があって積み増しをしたことが、その要因のひとつとして考えられます。また、臨時財政対策債の74億7199万円は交付税の穴埋めの措置だとしても、借金に変わりはなく、危機的な財政状況にある国が将来にわたって交付税で措置してくれるのかとなると疑問であります。

さらに、前年度に比べ市税収入が約10億6000万円の減収、扶助費は約64億5000万円の増加となっており、社会情勢などを考えると今後もこの傾向は続くと思われます。本市の財政は「9年連続の黒字」だと言っても、決して誇れる状況ではありません。


(Q2)平成22年度における一般会計速報値について

【かじや 質問】

本年8月に発行された「広報ひらかた」には、「平成22年度決算 一般会計速報値」として「9年連続の黒字」といった見出しとともに記事が大きく掲載されました。他にも「平成2年度に次ぐ2番目の黒字額」「経常収支比率は80%台に改善」など楽観的な見出しが躍り、危機感のかけらも見られません。行政にとって都合のいい事実だけを掲載するのではなく、今後の見通しなどを含めて懸念材料や先ほどの交付税や臨時財政対策債の増加などの事実にも触れるべきでなかったかと思いますが、見解をお伺いします。

 

【福岡財政課長 答弁】

広報ひらかた8月号では、速報値として一般会計の収支状況のほか、基金現在高の状況や経常収支比率の状況など、確定した数値について掲載したものでございます。また、10月号では、あらためて詳細版として、一般会計や特別会計、企業会計の状況、健全化判断比率の状況、また、今後、人口の減少や少子高齢化の進行などから市税収入が回復することは期待できない中で扶助費の増加が見込まれるなど、厳しい財政状況が予測されるといったことや、今後の対応などについても掲載しております。

 

【かじや 質問】

また例年であれば8月号にではなく10月号に決算の概要として掲載されていました。8月といえば監査委員による審査中の時期です。なぜ、今年に限ってこのような対応をされたのか、お伺いします。

 

【福岡財政課長 答弁】

決算の概要につきましては、例年、広報ひらかた10月号に掲載しておりますが、各会計別の収支状況がまとまる中で、市の状況をいち早く市民にお知らせする必要があるとの判断のもと、監査委員へ決算状況の説明をさせて頂き、その後、市議会議員の皆様へ決算速報値資料を配付させていただくとともに、直近の8月号に決算速報値として掲載いたしました。また、広報紙への掲載にあわせまして、より多くの方により早く本市の状況を知っていただけるよう本市ホームページにおきましても、速報値として決算に関する記事を掲載いたしました。

 

【かじや 質問】

議会に対してあくまで参考資料としての速報値を知らせることについては問題ないと思いますが、市民に対して決算が確定していない段階の数値、それも都合のいい事実だけを公表するのは如何なものかと思います。今回、市長選挙前というタイミングもあり、市民の方からは「何らかの意図を感じる」「広報紙の私物化ではないか」などのお声もお聞きしました。市民に不確定で断片的な情報を発信することで、変な誤解や混乱を招く恐れがあるのではないかと大変懸念をします。

それでは次年度以降の決算についても、今年度と同時期に速報値として「広報ひらかた」等で市民に公表するお考えなのかをお聞かせください。

 

【福岡財政課長 答弁】

市民に市の状況をより早くお伝えする観点から、来年度においても同様の対応が必要と考えております。

 

【かじや 意見】

それでは、今後、決算の状況がどのようになろうとも、毎年8月にはきちんと公表し、行政にとって都合のいい偏った情報だけではなく、プラス材料、マイナス材料をバランスよく掲載してください。「より早く」だけでなく「より正確」に公表して頂くよう強く要望しておきます。


(Q3)職員の再任用制度と定年延長について

【かじや 質問】

次に、職員の人件費という観点から、再任用制度についてお聞きします。本年6月の一般質問の機会に私から、また9月議会での代表質問においても、私どもの会派の池上議員が取り上げましたが、本市の再任用職員は今年度の4月1日で318人に達し、職員の9人に1人となっているとのことです。また、任用率も高く9割近くに及んでいる状況であり、行政改革の必要性あるいは人件費削減の観点から制度そのもののあり方について指摘をしてきたところです。そこで、まずここ3年間の本市における再任用職員の人件費の推移はどのようになっているのかをお聞きします。

 

【小菅職員課長 答弁】

最近3年間の本市における再任用職員の人件費の推移ですが、一般会計の決算ベースで申し上げますと、平成20年度が約5億2620万円、平成21年度が約6億7180万円、平成22年度が約7億3200万円となっております。

 

【かじや 質問】

再任用職員の人件費も年々増加してきていますが、そのような状況の中、この9月に人事院より国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための意見の申し出、簡単に言いますと「定年延長制度」に関する内容が示されました。そこで、まず、今回示されました定年延長制度に関して、これまでの経過と制度の概要についてお聞きします。

 

【淨内人事課長 答弁】

今回、人事院から示されました定年延長の経過と概要についてですが、国家公務員制度改革基本法第10条に、雇用と年金の接続の重要性に留意して定年を段階的に65歳に引き上げることについて検討する旨が規定されていることから、人事院ではこれまで、これに関連する研究会を開催するなど、平成25年度からの新たな人事管理に必要な制度及び運用の見直しの検討が行われてきました。

そして、公的年金の支給開始年齢が平成25年度以降段階的に65歳へと引き上げられることにあわせて、既に民間企業では「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」において65歳までの雇用確保措置の義務化が図られていることも踏まえまして、国家公務員においても定年を段階的に65歳に引き上げることが適当であると示されたものでございます。

制度の概要としましては、定年の年齢を65歳とすることをはじめ、60歳を超える職員の給与については、民間企業の高齢層従業員の給与水準を踏まえ、年間給与を60歳前の7割水準に設定すること、管理職員の新陳代謝を図り組織活力を維持する観点から一定の範囲の管理職員について60歳を区切りとする役職定年制を導入すること、また、多様な働き方を実現するための短時間勤務制を導入することといったものが示されています。

 

【かじや 質問】

人事院が示した定年延長制度の概要については、ただ今の答弁で概ねわかりました。それでは、この定年延長制度に関する本市における今後の取り扱いや方向性についてお聞かせください。

 

【淨内人事課長 答弁】

定年延長制度に関しましては、今回、人事院からその概要が示されたところでございますが、本市としましても年金支給開始年齢が段階的に引き上げられることによる雇用と年金の接続につきましては課題であると考えており、国の地方公務員に関する検討を注視し、導入に向けての検討を行って参りたいと考えております。

 

【かじや 質問】

今後、定年延長については検討を進めていくということですが、いまだ多くの民間企業は再雇用という形で高齢者の雇用を確保している状態で、定年延長を導入している企業はそう多くありません。それも50歳台以降の社員の給与抑制や役職定年制の導入などで何とか維持しているのが現状です。公務員だけが率先して制度導入に動くことについては、そう簡単に市民の理解が得られないと思います。

そこで、60歳を超える職員の給与水準についてお聞きします。人事院が示した内容によると、年間給与を60歳前の7割水準に設定するということですが、それはどのような根拠に基づいたものなのでしょうか。

 

【小菅職員課長 答弁】

人事院の報告によりますと、60歳台前半層の民間企業従業員については、給与のほかに在職老齢年金や雇用保険制度に基づく高年齢雇用継続基本給付金が支給されていることから、これらを加味し、当該従業員の年間所得額を60歳前の国家公務員の年間給与と比較すると、ほぼ70%となることから、官民の均衡を図る必要性から設定されたものとなっています。

 

【かじや 質問】

それでは、このような人事院の報告を受け、今後、枚方市としてはどのような対応を考えているのかお聞きします。

 

【小菅職員課長 答弁】

本市におきましては、これまで国や民間企業従業員が受ける給与水準との均衡を図る観点から、民間給与実態調査に基づき行われる人事院勧告に準拠した給与改正を行ってきました。

定年延長に伴う60歳以上の給与につきましても、制度構築の手法について十分な検証が必要とは思いますが、基本的なスタンスといたしましては、人事院勧告に準拠することが、地方公務員法に掲げられる情勢適応の原則及び給与決定における均衡の原則の観点からも望ましいものであると考えており、今後、地方公務員に係る法整備の動向を注視し、適切に対応してまいります。

 

【かじや 意見】

現在、再任用職員の給与は平均で60歳前の約4割となっていますので、定年延長制度が導入され、それが7割にまで上昇するとなれば、人件費の増加が懸念されます

また、人事院勧告に準拠することが望ましいということですが、実際に今回の人事院勧告の基準となる民間給与実態調査によると民間の平均給与は月額39万6824円となっています。これは賞与を含んでいない額であります。一方、本市の納税義務者の平均給与収入金額は約460万円となっており、単純比較はできませんが、そこには大きな開きがあります。また、本市の平成23年度予算における職員一人当たりの平均給与は670万円となっている現状を考えると、民間の給与実態を正確に反映しているのか甚だ疑問であります。

長引く景気の低迷に加え、東日本大震災の影響など、これからの日本を取り巻く状況は非常に厳しいと言わざるをえません。このような状況であるにも関わらず、人事院勧告に準拠にして給与を決めるという従来のやり方では、公務員の既得権を守っていると言われても仕方がないと思います。

今後、定年延長制度を導入するに当たっては、総人件費の抑制が前提であるのは当然のことです。民間の実態に即した給与制度の導入や50歳台での役職定年制の導入、総合評価制度の給与への反映を全職員に拡大すること、現在の半期定年退職制度を誕生日月や誕生日での定年退職制度に見直すなど、定年延長制度導入の前にまずやるべきことがあるはずです。ぜひ、市民の理解が得られるよう、できうる限りの努力して頂くようお願いします。


(Q4)職員の時間外勤務手当について

【かじや 質問】

職員の時間外勤務状況について、お聞きします。事務概要の160ページから163ページにかけて、課ごとの1人あたりの時間外勤務時間数が示されており、これを見ますと課によって随分ばらつきがあるように思われます。1人当たりの月時間にして1時間を切る課もあれば、30時間を超える課もあります。これはどのようなことが原因だと考えていますか。

 

【小菅職員課長 答弁】

時間外勤務時間数にばらつきがある原因については、一口で申し上げるには難しいところがございますが、それぞれの時点で生じてくる行政課題への対応や、時期的な事務繁忙、または災害発生時の緊急対応など様々な理由により、やむを得ず時間外勤務を命じる必要があるものと考えております。

 

【かじや 質問】

行政運営の必要上、待ったなしの対応を迫られる場面では、やむを得ず時間外勤務を命ずることも多いとは認識しています。そういった中でも、例えば、それぞれ繁忙時期が異なる部署間で事務の応援体制をとるなど、時間外勤務を減らす工夫は出来るのではないでしょうか。どのように時間外勤務縮減に向けた対策をとられているのかお聞きします。

 

【小菅職員課長 答弁】

時間外勤務縮減の取り組みにつきましてお答えいたします。時間外勤務の縮減については、ワーク・ライフ・バランスの推進や健康被害の防止といった観点からも重要であると認識しており、各職場において、所属長が業務遂行の進行管理を行うとともに、効率的な事務執行や事務量の適正配分等に留意することはもちろんのこと、出退勤管理システムを活用した適正な時間外勤務管理や、ノー残業デーの徹底などにより、時間外勤務の縮減に取り組んでいるところでございます。

また、例えば、選挙、国勢調査など著しい事務量の増大が予想される事案については、臨時職員の活用や、部内や部を越えた職員応援体制などにより、臨機応変に対応しているところです。

 

【かじや 質問】

時間外勤務縮減の取り組み状況について、私はワーク・ライフ・バランスの推進や健康被害の防止といった観点も重要ではあると認識していますが、それだけでなくコスト管理の観点も重要であると思っています。そのためには、削減の目標値といったものが必要であり、各年度において時間外勤務手当の予算額が、この目標値のひとつとなるのではないでしょうか。

そこで、時間外勤務手当の予算額と決算額との差額はどのくらいあるのかをお聞きします。

 

【小菅職員課長 答弁】

時間外勤務手当の予算額及び決算額についてお答えいたします。一般会計における平成21年度の予算額は3億8192万4000円、決算額は4億2944万677円で、差額は4751万6677円、平成22年度の予算額は4億1973万8000円、決算額は4億6809万1297円で、差額は4835万3297円となっております。

 

【かじや 意見】

予算額と決算額にかなりの差があるようですが、予算というのもひとつの目標値と捉えることができるわけです。サービス残業に繋がることがないよう配慮しつつ、時間外勤務手当をできるだけ予算の範囲内に収める努力をすることも管理職の職務ではないのかなと思います。

職員が削減されている中で、大変苦労しながら様々な対策をとられているのは理解できます。その一方で、今後、職員数を増やしていくという方向性は考えられない訳ですから、事務事業の廃止・統合などの見直しや民間委託、業務改善などを進めながら、縮減目標をしっかりと決めて時間外勤務の縮減に取り組んでいかれることを要望します。


(Q5)事業仕分けと施策評価について

【かじや 質問】

次に事務事業の見直しという観点から、決算概要説明書80ページに記載されている施策評価等関係事務経費についてお聞きします。事業の費用対効果や手法を外部の視点でチェックをするという趣旨で事業仕分けを実施しましたが、市としてどのように評価されているのか。また、今後の事業仕分けのあり方についてお伺いします。

 

【新内行政改革課長 答弁】

昨年度に試行した事業仕分けにつきましては、市政に対する理解や職員の説明能力の向上など一定の成果はあったものの、課題や議会でのご指摘を踏まえますと、同様の「事業仕分け」という手法については改める必要があると認識しているところです。

今後、各施策を構成している個々の事務事業の有効性や効率性を評価という観点から、外部の視点も加えた形での事務事業の総点検が行える仕組みづくりについて、検討していきたいと考えています。

 

【かじや 質問】

事業仕分けについては、外部の視点を入れたということは一定評価できますが、大々的に実施した割には、対象事業の選定方法にも疑問がありますし、削減額も約5000万円と少ないなど課題も多いのではないかと感じています。しかし、事業仕分け的な事務事業の見直し作業は必要だと思いますので、今後、課題を整理して手法などにも工夫を加えながら、事務事業の総点検について検討を進めていってもらいたいと思います。

同じく施策評価等関係事務経費の中で、総合計画の進捗状況の把握し、施策の効率的な推進や見直しなどを図るため施策評価を行っていますが、事務事業の総点検との関連性はどのように考えているのかお伺いします。

 

【新内行政改革課長 答弁】

施策評価を有効なものとするためには、事務事業の成果を適切に評価し、施策評価に反映していく必要があります。こうした観点から、事務事業の総点検を行い、見直すべき事業については改善や廃止に取り組み、また事務事業の実績測定も活用しながら、施策評価に反映していく考えです。

 

【かじや 質問】

それでは、施策評価についてですが、アンケートを実施して市民の満足度を調査されています。先日、議会にも今年度分の結果報告がありましたが、アンケートにお答え頂いた市民の方の男女比や年齢・職業などの属性を見ていると、実際の市民の構成比率からすると少し差異があるのではないかと思います。統計学的には誤差の範囲内なのかも分かりませんが、意見に偏りがあるように思いますがいかがでしょうか。

 

【岡本企画課長 答弁】

施策アンケートについてお答えします。施策アンケートは、昨年度、今年度とも実施しており、市政モニターの方を含んで、20歳以上の市民2000人以上の方を対象にお願いさせて頂きました。対象者は、本市の年齢や住居などの分布と同じ配分となるよう無作為で抽出しております。頂きました回答は、昨年度、今年度どちらも50%を超えており1千人以上の方から回答を得ております。統計学的には、有効回答数が1千人あれば住民意向の把握として十分納得できる数字であるといわれており、決して偏った回答ではないと判断しております。また、回答者の属性別で傾向の分析もしており、施策評価に活用することについては問題ないと考えております。

 

【かじや 質問】

施策評価だけでなく、市が実施するアンケート全般に通じる話だと思いますが、お仕事などでどうしても時間的に余裕のない方などは、アンケートにお答え頂きにくいというのがあると思います。そのような声なき声を吸い上げる仕組みも今後検討していってもらうようお願いします。

さて、事務事業実績測定についてですが、以前の事務事業評価のシートや事業仕分けのシートに比べて現在のシートは簡略化されており、一覧するにはとても見やすいものになっています。しかしその反面、詳細な項目に関しては示されておらず、事務事業を点検するには少し物足りないものを感じます。施策評価にその実績が反映される主な事務事業についてだけでも、より詳しい事業内容を示して欲しいと思いますが、如何でしょうか。

 

【新内行政改革課長 答弁】

施策評価に反映する事務事業につきましては、委員のご意見の趣旨も踏まえ、事務事業の総点検を行う際に、必要な内容を示した資料の作成に努めてまいります。

 

【かじや 意見】

また、事務事業実績測定の公表時期については、今回大変努力をして頂いて決算委員会よりも前に公表を頂きましたが、先週の金曜日ということで、本日まであまり時間がなくゆっくりと見て検証をすることができませんでした。できましたらあと1週間くらい早めに頂けると助かります。よろしくお願いします。


(Q6)職員提案制度について

【かじや 質問】

次に決算概要説明書79ページに記載されている行政改革関係事務費についてお聞きします。事務の効率化などの業務改善における庁内的な取り組みとして「職員提案制度」がありますが、制度の趣旨、概要についてお聞かせください。

 

【新内行政改革課長 答弁】

職員提案制度について、お答えします。職員提案制度は、職員の創意・工夫による事務改善等の提案を求め、課題提案に積極的に参加することで職員の意識改革を促すことを目的として、実施しております。

また、本市の制度における「提案」には、新たな取り組みを提案する「企画提案」と、既に取り組んだ内容を実績として提案する「実績提案」がございまして、「企画提案」につきましては、新規事業の立案から日常の事務改善に至るまで、提案内容に制限は設けておりません。

また、「実績提案」につきましては、担当業務における改善やシステム化など、他の部署においても、改善の波及効果が期待できるものなどとしており、市役所全体で、提案内容の共有化が図られるよう、周知に努めております。

 

【かじや 質問】

次に職員提案制度の応募状況、また、どのような賞があり、受賞提案がどれくらいあるのか、そのうち実現に結びついた提案はどれくらいあるのかをお伺いします。

 

【新内行政改革課長 答弁】

まず、応募状況ですが、平成22年度においては、合計74件の提案がございました。また、賞としましては、優秀賞、奨励賞、努力賞がございますが、平成22年度は、優秀賞の該当はなく、奨励賞が3件、努力賞が20件となっております。

次に、実現に結び付いた提案でございますが、平成13年度に職員提案制度を開始して以降、賞の区分について変更している要素はございますものの、件数で申しますと、受賞提案215件のうち、67件が実施、20件が一部実施となっております。

 

【かじや 質問】

受賞提案215件のうち、実現に結びついた提案が一部実施のものも含めてこれまでで87件と言うことですが、せっかく受賞までした優秀な提案であるにも関わらず、なぜ半数以上の提案が実現に至らなかったのかお聞かせください。

また、1年間の提案数が74件とのことですが、この数字について多いとお考えですか、少ないとお考えですか。

 

【新内行政改革課長 答弁】

職員提案については、必ずしも実現できるものだけを対象としたものではなく、制度の大きな目的は、職員の意識改革や新たな気付きを促すこととしています。受賞提案においても法的な課題があったこと等から、実現にいたらなかったものもございますが、そのアイディアなどを業務の中で生かすなど、職員の改善・改革意識の醸成に一定の効果を生み出しているものと考えています。

なお、提案件数につきましては、決して多いというふうには考えておりませんので、制度の活性化に向けて、改良を重ねていく必要があるものと考えております。

 

【かじや 質問】

少ないと感じておられるのであれば、増やすための方策が必要です。「職員提案制度」については、職員の改善・改革意識を醸成するものとして、より充実した制度にしていく必要があると感じています。職員のモチベーションを上げて提案を増やす工夫や評価方法など常に見直をしていく必要があると考えますが、今後の方向性をお聞かせください。

 

【新内行政改革課長 答弁】

職員提案制度につきましては、その活性化を図るため、これまでにおきましても、提案推進期間を通年としたこと、審査回数を年1回から年2回としたこと、表彰式を課長以上の全職員が出席する会議の場で行うこととしたこと、過去に提出された提案でも、新たな内容を加味すれば再度提案できることとしたことなど、見直しを重ねながら運用しております。

今後におきましても、職員の気付き、改善・改革意識の醸成を図るため、必要な見直しを行いながら、制度のさらなる活性化を図ってまいりたいと考えております。

 

【かじや 意見】

現在、「職員提案制度」として一本化されていますが、「企画提案」と「実施提案」は、性格の違うものですから、制度として異なった運用が必要になってくるのではないでしょうか。

先進市や民間企業の例などを聞いていますと、「企画提案」でいえば、職員1人につき毎月1回の提案は当たり前と聞いております。そして上がってきた案については実現可能性を該当セクションですぐに調査・研究し、可能であれば実施に結びつけ、見事実施された企画に対しては表彰するといった制度をとっているそうです。

一方、「実施提案」の方は、毎年、各課を単位にチーム作って、テーマ設定から実行計画、月次管理表の作成、チーム内の役割分担まで自主的に行い、実際に課内で改善案を実施していく。そして年度末にその成果を発表し、優秀なチームには市長賞などの賞が授与されるといった制度を実施しているという例をお聞きします。

業務改善活動は、職員の課題解決能力や組織運営能力のスキルアップを図るとともに、市民サービスの向上や行政改革などにも寄与するのですから、全職員に業務の一環として積極的に取り組んでもらいたいと思います。

高い意識を持って仕事に取り組んでいれば「今のままでいいのか?」「もっといい方法はないのか?」などと考えるのは、当然のことであります。職員からは「余計な仕事が増えた」とか「負担が大きい」などの声もあろうかとは思いますが、あくまでこれら業務改善活動は本来業務であり、やって当然であるということを職員にも理解して頂く必要があるのではないでしょうか。

職員のモチベーションを上げる意味で、業務改善活動の成果も人事評価の対象にし、がんばれば昇進につながっていく仕組みづくりや、特別な研修が受講できる特典などを付けていくことも考えられます。いずれにしても、先進市や民間企業の例を参考にしながら、今後よりよい制度を構築していってもらいたいと思います。


(Q7)校区コミュニティ活動補助金について

【かじや 質問】

次に決算概要説明書の73ページに、校区コミュニティ活動補助金として4100万6079円が計上されています。校区コミュニティ活動は平成17年、18年に地域活動の活性化を図る観点から、小学校区単位で交付されていた各種補助金を統合した経過があると聞きましたが、当時の経過をお聞かせください。

 

【清水市民活動課長 答弁】

校区コミュニティ活動補助金は、校区コミュニティ協議会の行う地域コミュニティ活動を支援し、安全で魅力あるまちづくりの推進及び地域住民の連携に資することを目的としており、現在、45校区に対して、均等割と人口割からなる基礎額と、自主防災、青少年健全育成など使途を限定した特別事業の二段構成の補助金を交付しております。

平成16年度までは、各担当部署から地域の各団体へ直接、交付されていましたが、校区内組織の連携強化、補助金の効果的・効率的な活用とその使途の透明化を図るため、平成17年度に地域コミュニティ活動補助金、小学校区体育祭補助金、地域青少年参加モデル事業補助金の3つの補助金を統合、18年度には、青少年を守る会連絡協議会補助金、交通対策協議会に係る校区支部活動助成金、防犯協議会に係る校区支部活動助成金を統合し、校区コミュニティ活動補助金として一本化しております。

 

【かじや 質問】

市は「校区コミュニティ協議会」に対して、1校区につき約100万円もの補助金を出して、積極的に支援をしているわけですが、その「校区コミュニティ協議会」の定義についてお尋ねします。併せて条例や規則等の根拠があればお聞かせください。

 

【清水市民活動課長 答弁】

本市では、校区コミュニティ協議会を「地域の窓口」として共にまちづくりに取り組むことを基本方針としており、地域づくりの中心的な役割を担っていただいていると認識しております。校区コミュニティ協議会は法人格を持たない任意団体で、組織としての法的な位置づけはございませんが、校区コミュニティ活動補助金交付要綱において「自治会、町内会等の住民自治組織及び目的別に組織された各種の団体で構成され、かつ、おおむね小学校の通学区域を単位として地域の自治と連帯とを目的に組織されるもの」と定義しており、安全で魅力あるまちづくりの推進及び地域住民の連携の促進に資することを目的として、補助金などの支援を行っているところでございます。

地域のさまざまな課題解決に向け、主体的かつ自主的にまちづくりに取り組んでいただいている校区コミュニティ協議会の現状を踏まえ、今後も、積極的に支援してまいりたいと考えております。

 

【かじや 質問】

校区コミュニティ協議会への補助金の一本化には、事務の効率化や透明性を高めるという意味でも賛成ですが、補助金の受け手側である校区コミュニティ協議会は、その地域によって運営方法や事情も様々であるように感じています。

それでは、市に対して市民の方から「校区コミュニティ協議会」の運営に関して何らかの問題点等のご意見は寄せられていますか。

 

【清水市民活動課長 答弁】

校区コミュニティ協議会の運営は、各校区において主体的、自発的に地域でお話し合いのもと進めていただいており、それぞれ創意工夫して多種多様な活動をされていると認識しております。しかしながら、各校区で目指すべき地域像が異なり、その活動内容にも温度差があることから、ご指摘のようなご意見を頂くこともございますが、やはり、こうした問題については地域において解決して頂くべきものと考えております。

 

【かじや 質問】

大多数の「校区コミュニティ協議会」は、公正な運営をされ、魅力的なまちづくりに取り組んでおられますが、ある一部のコミュニティ協議会のことで住民の方から私のもとに、問題事例が多数寄せられています。

その一部を紹介しますが「規約を会長の都合のいいように改正している」「役員の選出や公職の推薦が公平でない」「会計帳簿の閲覧が自由にできない」「コミュニティ会長の言うことを聞かない自治会長は辞めさせると言われた」「コミュニティの新聞を私的な宣伝に使っている」などです。しかし、このような運営が行われていてもコミュニティ協議会の規約上は問題がなく、住民にとっては何の手も打てないというのが現状だとお聞きしています。

そこで、部長にお聞きしますが、もし一部の「校区コミュニティ協議会」でこのような問題のある運営が行われているとして、地域住民が困っておられても、地域の自主性ということで放置されるのですか。また、「校区コミュニティ協議会」を「地域の窓口」と位置付け、税金から年間100万円ほどの補助金を支出していますが、このような地域住民から乖離した「校区コミュニティ協議会」でも「地域の窓口」であるとお考えですか。

 

【佐藤市民安全部長 答弁】

議員ご指摘の、一部の校区コミュニティ協議会の運営に問題があるというお話ですが、補助金の実績報告などからは、現在のところそのような実態は把握しておりません。

自主自立した組織である校区コミュニティ協議会は、行政と対等の関係で共に安全・安心なまちづくりに取り組んでおり、行政はその自主性が損なわれない範囲で支援を行っております。また、コミュニティ活動は住民自治を基本として進めて頂くことが原則であり、住民相互の理解と信頼が重要であると考えております。

今後も、行政と連携したまちづくりを進めるため、校区コミュニティ協議会を地域の窓口として位置づけ、引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。

 

【かじや 意見】

補助金の実績報告の書類を見ているだけでは分からない問題は山ほどあります。市民から直接多くのご意見を頂いているのですから、その事実から目をそらすことなく、真摯に受け止める努力をしてもらいたいと思います。

何の問題もなく運営をされている多くの「校区コミュニティ協議会」からすれば、規則等でがんじがらめにされると逆に運営しづらいことが出てくるかもしれません。もちろん、住民団体を行政が規則で縛ることは私の本意ではありません。しかし、一部の「校区コミュニティ協議会」で住民を無視した運営がなされているとすれば、行政として何らかの対策が必要になってくるのではないでしょうか。

市が補助金を支出している先としては、社団法人や社会福祉法人、NPO法人などの法人格を持った団体が多数であります。それらは法律によって規定された団体であり、定款の記載事項が決まっているなど、公正で適切な運営がなされるよう、法律で一定の制約がかかっています。

一方「校区コミュニティ協議会」は、法令での規定がない任意団体であり、行政や市民、構成員がチェックする仕組みがなく、運営に問題があったとしても誰もブレーキをかけることができません。年間100万円ほどの補助金を受けている団体が暴走した時に、それを止めるまたは防止するルールがないのは問題です。

今後、「校区コミュニティ協議会」の支援を拡充していくのであれば、より一層、公正で透明性のある運営が求めていく必要があると思います。そのためにも、市として「校区コミュニティ協議会」の定義や最低限の運営ルールについての規定を作ることが必要だと考えますので、最後に要望をしておきます。


(Q8)ケーブルテレビ放送活用事業及びホームページの運営について

【かじや 質問】

次に決算概要説明書72ページの「ケーブルテレビ放送委託料」について質問します。市政情報番組の共同制作及び放映の委託料として、年間の費用が480万円となっていますが、ケイキャットでの放送も含めて市民がどのような方法で、またどのくらいの人が視聴しているのかをお伺いします。

 

【鈴木広報課長 答弁】

本事業は、20分の市政情報番組を月1回の更新で、毎日ケーブルテレビのケイキャットで放送しています。また、放送終了後は図書館などでの貸出やインターネットでの動画配信も行っています。

今年2月に市民200人を対象に行ったアンケートでは、ケイキャットの市政情報番組を見ていると答えた人は回答者825人のうち約17%でした。また、図書館での貸出は22年度の1年間で、のべ120本、動画配信におきましては、市のサーバーからの配信では1日平均約16アクセスでしたが、今年7月からユーチューブなどからの配信に改善してからは、1日平均約30アクセスと倍増しています。

 

【かじや 質問】

この事業はケイキャットとの随意契約と認識していますが、年間480万円という金額は、20分番組の制作・放送料としては妥当なのか、入札で他の制作会社に委託方が安価にできるのではないかをお伺いします。

 

【鈴木広報課長 答弁】

本事業はケイキャットと共同制作しているもので、放送料全額に加え、制作費用の約半分はケイキャットが負担しています。そのため、他の制作会社で同様の番組を制作するよりかなり安価であり、費用対効果は高いと考えています。

 

【かじや 質問】

ケイキャットが制作費の半分を負担しているため、かなり安価で制作しているとのことですが、市が保有するケイキャットの株式を売却した後も、同様に番組は継続できるのかお伺いします。

 

【鈴木広報課長 答弁】

株の売却にあたっては、市政情報番組も含め、地域の情報の放送を継続するよう、申合せ書を交わす予定ですので番組は同様の形で継続できるものです。

 

【かじや 質問】

確かに安価で制作できているとは思いますが、PR効果という点では少し物足りません。アンケート結果も常に見ている人だけでなく「たまに見ている人」も含めた割合が17%ですし、DVDの貸出本数も決して多いとは言えません。ネットでの動画配信はユーチューブに変更してからアクセスが大きく伸びていますが、今後もできるだけ多くの方に視聴してもらえるよう、番組内容や視聴媒体に関してさらなる創意工夫を重ねていってもらうよう要望します。

次に決算概要説明書81ページのホームページ経費についてお聞きしますが、21年度と22年度のホームページのアクセス数をお聞かせください。また、アクセス向上についてのお考えをお聞かせください。

 

【鈴木広報課長 答弁】

平成21年度は約106万件、平成22年度は約101万件です。また、ホームページの充実とアクセスの向上に向け、来年の2月には、コンテンツマネジメントシステム(CMS)という新しいシステムを導入し、抜本的なホームページの改善に取り組んでいます。

 

【かじや 意見】

ホームページのアクセス向上のための工夫も必要ですが、さらにそこから1歩進んでインターネット上で情報が広がっていくような方策も重要になってくると思います。例えば、市のホームページ上の個々の情報ページにおいて、ツイッターやフェイスブックなどで情報をシェアできるアイコンを設置すれば、ツイッターやフェイスブックのユーザーがクリックひとつで市の情報をシェアすることができ、さらに多くのユーザーに市の情報を広げていってくれるのではないでしょうか。これらの媒体は、防災・防犯情報の発信・拡散にも大いに活用できると考えます。

ホームページを活用した情報発信については、今後、さらなる調査・研究を進めていってもらい、市の情報に簡易にアクセスでき、より多くの市民が共有できるような仕組みを構築していってもらうようお願いします。


(Q9)まち美化啓発事業及び健康福祉フェスティバル開催事業について

【かじや 質問】

決算概要説明書87ページの「まち美化及び路上喫煙制限啓発委託料」についてお伺いします。

この委託事業については、「緊急雇用創出基金事業」を活用して実施しされているとのことですが、「緊急雇用創出基金事業」の制度の概略については、これまでの他の委員さんの質疑の中で一定説明がありましたので、その説明を前提にお伺いします。

「緊急雇用創出基金事業」の制度を活用する以前はどのような形でこの事業を行っていましたか。また、基金を財源とした補助事業が本年度で終了する予定の中、平成24年度以降はどのような形で事業を実施していく予定なのかをお聞きします。

 

【大槻まち美化推進課長 答弁】

「緊急雇用創出基金」を活用した「まち美化及び路上喫煙制限啓発委託事業」を実施する前は、市職員において街頭啓発を実施しておりました。

 今後の事業実施につきましては、関連条例の主旨を踏まえ、企業、事業所に重点を置いた啓発など、さまざまな手法を検討して取り組んでまいります。

 

【かじや 質問】

「緊急雇用創出基金事業」の制度があったから、約300万円の規模の啓発事業を行ったということであり、自主財源を使ってまで同規模でやる必要がない事業だと思います。まち美化を推進するに当たって、駅前で啓発をしながらごみを拾うことは対処療法でしかありません。もっと根本的な解決に向けての事業を展開して頂きたいと思います。今後は、先ほど答弁を頂いた企業、事業所に重点を置いた啓発や子どもたちの教育の面に重点を移してもらうよう要望します。

また、事務事業実績測定の調書を見ると「条例に基づく啓発事業を行うことにより、環境美化に対する市民モラルの向上を図り、清潔で美しいまちづくりを進めること」が事業の目的となっていますが、その達成目標を見ると「苦情件数の減少」となっています。平成20年度の目標値が20件で苦情件数が8件、平成22年度の目標値が15件で苦情件数が6件となっており、いずれも目標値を大きくクリアして実績割合が160%となっています。

「環境美化に対する市民モラルの向上を図り、清潔で美しいまちづくりを進める」という目的に対して、その目標達成の指標が苦情件数の減少というのは設定が最適ではないと思いますがいかがでしょうか。平成20年度と22年度を比べると苦情が2件減っていますが、それで本来の目的を達成したといえるのでしょうか。そうでなければ苦情をたった2件減らすのに直接経費で約300万円、人件費で約2400万円も使っているということが、市民に理解が得られないと思いますが、事業の目的と指標の設定について今後のお考えをお聞きします。

 

【大槻まち美化推進課長 答弁】

事業成果の指標のあり方についてですが、このようなルールの周知やモラル向上の啓発についての成果を、指標で表わすことは難しい面があると考えております。また、その結果である、例えばまちの美化や景観の美しさということなどについても主観的な要素が含まれますので、何を指標とするかということに苦慮するところであります。今後、当該指標を市民にわかりやすい、適切なものとするよう検討いたします。

 

【かじや 質問】

すべての事務事業に言えることですが、事業の目的とその指標や達成目標の設定が乖離しているのではないでしょうか。これでは、事務事業の総点検を行っていくうえで正確な判断ができるとは思えません。

もうひとつ、決算概要説明書126ページの「健康福祉フェスティバル開催経費」についてですが、負担金として200万円が計上されています。事務事業実績測定の調書によると、この事業の目的は「健康・福祉推進都市宣言の趣旨を踏まえ、その推進事業の一環として、枚方市健康・福祉フェスティバルを開催し、健康と福祉に対する市民の意識の高揚を図り、自ら健康づくりを実践する気運を高める」となっており、達成目標は「健康と福祉に対する市民の意識の高揚を図る」となっていますが、あくまでイベントの開催は手段であり、本来、目的とは違うと思いますがいかがでしょうか。

 

【小川健康総務課長 答弁】

健康福祉フェスティバル開催事業については、イベント開催単独の事務事業であることから、目的の説明のために、目的欄に「フェスティバルの開催」を記載しております。

本来の目的は「健康と福祉に対する市民の意識の高揚を図り、自ら健康づくりを実践する気運を高める」ことですので、今後、事務事業実績測定調書の書き方については、より簡潔な表現となるよう努めてまいります。

 

【かじや 意見】

私は別に調書の書き方の細かい部分を指摘して、揚げ足を取っている訳ではないということだけはご理解ください。この問題は、調書の細かい書き方や表現ということだけではなく、職員の意識の問題であるということにもぜひ気付いて頂きたいのです。これまで20回以上もこのフェスティバルを続けてこられて、担当される職員も数多く変わってきたと思います。その中で「健康と福祉に対する市民の意識の高揚を図り、自ら健康づくりを実践する気運を高める」という目的の達成よりも、イベント開催ありきでこれまで事業が続けられてきたのではないでしょうか。その意識が調書の目的欄の書き方に表れているのだと私は感じるのです。

施策評価のシステムは立派な仕組みができていますが、個々の事業を見てみるとその目的設定や実績測定の方法に疑問を感じるものもあります。今までやっていたから続けるとか、補助金が付くからやるとかではなく、目的を達成するにはどの手段が最適かを検討する中で事業が実施されるべきです。もう一度、各課において事務事業の目的や達成目標、指標などが適切なものなのかを再確認頂き、後からしっかりと効果が検証できるような仕組みにしていってもらいたいと要望します。


(Q10)健康家庭表彰事業について

【かじや 質問】

国民健康保険の保健事業についてお聞きします。決算概要説明書208ページに「保健事業費」という項目がありますが、国民健康保険で行う保健事業とは、具体的にどのようなものなのかお聞かせください。

 

【真鍋国民健康保険課長 答弁】

国民健康保険における保健事業とは、被保険者の健康の保持増進等を目的として行う事業です。国民健康保険法においても、保険者は保健事業の実施に努めなければならないとされています。

本市では、平成20年度に保険者に義務付けられた「特定健康診査・特定保健指導」、健康に関する教育・啓発を行う「保健普及」、レセプト点検や医療費通知による「医療費適正化」の3つの柱で構成しております。

 

【かじや 質問】

決算概要説明書209ページに、この保健事業のうち健康家庭表彰経費として335万9550円が計上されていますが、健康の保持増進という観点からは、表彰という言葉に少し違和感があります。この事業の目的、概要、実績についてお聞かせください。

 

【真鍋国民健康保険課長 答弁】

健康家庭表彰は、日頃から健康の維持増進に努め、それにより国民健康保険の事業運営に貢献いただいている被保険者世帯を表彰するもので、枚方市国民健康保険条例施行規則により実施しております。

具体的には、過去2年間、療養の給付を受けず、保険料の滞納がない世帯に対して、大阪府医薬品小売商業組合加盟店舗で利用できる3千円の商品券を贈呈しております。平成22年度は1011世帯に贈呈しました。

 

【かじや 質問】

保険料を支払っているにも関わらず、2年間も療養給付を受けない世帯というのは、国民健康保険の事業運営に貢献していることは一定理解します。しかし、医療機関にかかっていない事実をもって健康であるとも言えないのではないでしょうか。たとえ病気であっても軽いものであれば、経済的な事情などで医療機関に行くのを控えるという方もおられると思います。また、表彰を受けたいがために医療機関に行くのを控えるということがあれば、それは制度の主旨からして本末転倒ではないでしょうか。

保健事業の主旨や目的と、個人に対して表彰し商品券を渡すという手法が、合致していないと考えますがいかがでしょうか。長年継続している事業ですが、ここらへんで一旦、見直しが必要だと思います。今後、この事業の方向性についてのどのように考えておられるのでしょうか、お聞きします。

 

【真鍋国民健康保険課長 答弁】

医療機関にかかっていないことをもって表彰することの是非については、様々な考え方があろうかと思います。本事業の主旨と健康の保持増進という視点から、今後の事業の方向性を検討してまいりたいと考えます。

 

【かじや 意見】

国民健康保険自体が、今後ますます厳しくなってくることが予想されます。そのような状況の中、商品券を渡すという表彰制度が本当に必要であるのか疑問を感じます。表彰を受けられるのを楽しみにされている方もおられるとは思いますが、国民健康保険の厳しい状況をぜひご理解いただき、思い切って廃止することも検討してはどうでしょうか。

これまで実施してきたから継続するということではなく、今後、事業の目的と主旨とを十分に踏まえた上で、健康増進という目的に叶う新たな事業への転換を図っていってもらうよう要望します。


(Q11)公設浄化槽事業について

【かじや 質問】

公設浄化槽事業についてお伺いします。枚方市では、公共下水道事業の他に浄化槽事業を行っているとお聞きました。現在公共下水道を推進している中で、浄化槽事業を実施するに至った経過や位置づけについてお聞きします。

 

【静間上下水道経営課長 答弁】

浄化槽事業につきましては、公共下水道計画区域外における生活排水の適正な処理及び公共用水域の水質保全の観点から、平成17年度に「地域再生計画」を策定し、国から認定を受けて、平成18年10月より事業を開始しております。

本事業は、市が合併浄化槽の設置から維持管理までを担っており、対象としましては、80軒ありますが、これまでに10基を設置しております。

 

【かじや 質問】

それでは公設浄化槽にかかる収入と支出についてお伺いします。決算概要説明書213ページに収入として「浄化槽使用料」、219ページに支出として「公設浄化槽維持管理経費」がありますが、その中身について詳しくお聞かせ頂けますでしょうか。

 

【静間上下水道経営課長 答弁】

公設浄化槽事業における収入としましては、「浄化槽使用料」がございます。これは、浄化槽をお使いいただいている方から、浄化槽の人槽別に設定している金額を徴収しているもので、22年度決算は、31万3,110円でございます。なお、この使用料につきましては、「枚方市公設浄化槽の設置及び管理に関する条例」に規定しているものでございます。

一方、「公設浄化槽維持管理経費」につきましては、浄化槽法に基づいて、保守点検を年間4回、また清掃や水質検査などを年間1回、専門業者に委託しており、118万5,135円執行したものでございます。

 

【かじや 質問】

今の説明をお聞きしていますと、公設浄化槽事業にかかる経費に対して、使用料では約26%しか回収できていないようですが、公共下水道事業においては、下水道使用料で経費の何割程度回収できているのかをお聞きいたします。

 

【静間上下水道経営課長 答弁】

公共下水道事業の汚水処理における経費回収率を申し上げますと、約65%となっております。

 

【かじや 質問】

公共下水道事業では、使用料で経費の約65%を回収しているとのことですが、一方で公設浄化槽事業においては、使用料で経費の約26%しか回収をしていません。受益者負担や公平性の観点から、問題だと思うのですが、今後どのように対応しようと考えておられるのかお聞きします。

 

【静間上下水道経営課長 答弁】

浄化槽事業につきましては、対象区域の地形や家屋が点在している状況等を踏まえ、公共下水道で汚水整備を行ったときの投資額の費用対効果や公共用水域の水質保全の観点から、事業化したものであります。

浄化槽使用料は、保守点検や清掃、水質検査、設備部品の交換などの年間経費を積算するとともに、下水道使用料との格差にも配慮し、決定したものとなっております。

浄化槽事業の収支改善については、これまでも維持管理委託の入札を毎年行うなど効率的な執行に努めておりますが、今後は収入の確保も含めて努力してまいりたいと考えております。

 

【かじや 意見】

公共下水道計画区域外で生活や事業をされている方については、今後も下水道が整備されない中、公共下水道に代わる何らかの対策が必要なことは一定理解いたします。

しかし、公共下水道を使用されている方は経費の約65%を使用料として支払っておられるのに対し、公設浄化槽を使用されている方については経費の26%の使用料設定になっているというのは少し差があるように思います。

また、自前で浄化槽を設置されている方については、その維持管理経費はすべて自己負担になっている訳ですから、公平性を欠いていると言わざるをえません

維持管理経費の効率的な執行ももちろんですが、使用料についても下水道使用料との均衡を図ることが必要ではないでしょうか。下水道事業そのものが厳しい経営状況にある中、下水道使用料の改定も今後の課題となってきています。公設浄化槽使用料に関しても決して現状が適正であるとは思えません。下水道使用料と合わせて、今後の検討課題としていってもらいますよう要望します。